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ガシャン、と砕ける音がした。
足元には割れた鏡が散らばっている。見渡せば、見慣れた自宅の物置にいた。
慌てて抱き締めていた腕の中を確認する。
スケッチ……! ちゃんと、ある……!!
良かった、夢じゃなくて。
わたし、帰ってきたんだ!
何事もなかったように普段の日常に戻る。
時々、夏雪君と月弧さんはどうしているだろうかと思いを馳せる。
うちは親とケンカした従兄弟が転がり込んできたりで、少しにぎやかになり、彼がうちの養子になるなどと言い出して、親族が再び話し合いをしているようだ。
わたしの婿取りという話はもう少し宙に浮くらしい。
従兄弟はアホらしいからさっさと上京して逃げてしまえとけしかけてくる。
始めから反対してくれていた母も同調している。
悩みは尽きないけど、怖さに押し潰されそうになることはなくなった。
みんなちゃんと話は通じる人たちで、途方に暮れるような全く未知の怪異ではないから。
ただ目下どうしていいかわからないことがある。
さっと振り向くと、ぴょこっとニット帽のポンポンが引っ込んだ。
「……」
さらに空気を読めなかった半透明のヒヨコが首を傾げてぴょこぴょことゆっくり引っ込んでいく。
……塞の神様と〈ひな咲の間〉のひよこ数匹がついてきてしまっているのだけど。
これって、ひょっとしていつかこっちに夏雪君や月弧さんが迎えに来たりして、再会できるのを期待しちゃっていいのかなあ?
〈了〉




