表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12




鏡の中には雪が降っている。

祖母が嫁入りの時に一緒に(たずさ)えてきた、舶来品(はくらいひん)らしい()った意匠(いしょう)の壁掛け鏡だ。


音もなく雪が降り、白一色の雪原に横たわるお下げ髪の少女と線の細い青年。

二人は静かな表情で黙って雪の降りしきる天を見凝(みつ)めている。


お互いの手首はがっちりと赤い紐で絡められ結ばれている。

──結局のところ、二人の心中は未遂に終わった。


祖母の鏡には選ばなかった未来を見られる、という機能があったそうだ。

どういう経緯で祖母の所有となったのか不明だが、飾りぶちの磨耗(まもう)が多くの人の手を経たことを想起させる。


祖母はその後すぐに遠方に嫁がされた。

最初の夫とは悶着(もんちゃく)の末に離縁され、次の夫がわたしの祖父に当たる。


祖母の心中相手だった青年は元々心臓の病を抱えていた。

彼の家は高額になる治療は望むべくもなく、祖母と引き離されてからは長くは生きなかったという。


祖母の後悔が強すぎたのか、それとも既に不思議な鏡の寿命だったのか。

本来なら別の未来の時が淡々と進んでいくのが見られるはずだったが鏡は時を止めた。

鏡の中の二人は誰にも発見されないまま、さらさらと二人の上に雪が降りしきり永遠に美しい時の中に取り残されている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ