表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆誕☆極楽アナーキー姫伝説!  作者: すぎやま よういち
仁義なき異世界抗争!
8/26

神政軍の追跡、アナヒメの覚醒

崩れかけた廃ビルが立ち並ぶ地区で、カグヤたちはギャング団と対峙していた。彼らは以前カグヤが平定したマフィアとは異なり、より凶暴で、より組織だった動きを見せていた。金属が打ち合う激しい音、銃声、そして魔法の詠唱が飛び交い、戦闘は瞬く間に苛烈を極めた。

「ったく、しつこい連中だな!」

カグヤは叫びながら、次々とギャングたちを吹き飛ばしていく。彼女の爆裂魔法は健在で、当たった場所は瞬く間にクレーターと化す。しかし、ギャングの数は多く、次から次へと襲いかかってくる。

ナナは、その俊敏な動きで敵の懐に潜り込み、手にした短剣に毒を塗って、正確に急所を突いていた。彼女の動きは洗練されており、無駄がない。

「っ、この程度で私を止められるとでも!?」

ナナは、教会に裏切られた過去を持つ暗殺聖女としての、研ぎ澄まされた能力を遺憾なく発揮していた。彼女の瞳には、かつての聖女としての清らかさと、暗殺者としての冷酷さが複雑に混じり合っていた。

一方、カズマは、相変わらずナンパを試みながらも、意外なほど器用に敵をいなしていた。

「お嬢ちゃんたち、こんなところで何してるの?僕と一緒にお茶でもどうかな?」

彼の軽薄なセリフは、ギャングたちの怒りを買い、集中砲火を浴びる原因となっていたが、持ち前の素早さと、どこか幸運に恵まれたような身のこなしで、攻撃をかわし続けていた。

しかし、戦いは予想以上に長引いた。疲労が蓄積し、カグヤの魔法の威力も徐々に落ち始める。その時、一人のギャングが、背後からナナに襲いかかった。

「ナナ!」

カグヤは叫び、間一髪で爆裂魔法を放とうとしたが、間に合わない。ギャングの振り上げた鈍器が、ナナの頭上へと振り下ろされる。その瞬間、カグヤの“心”が強く揺れた。大切な仲間を守れないかもしれないという、焦燥と絶望にも似た感情が、彼女の心臓を締め付けた。

その時だった。カグヤの全身から、漆黒のオーラが噴き出した。それは、あの「禁呪書:アナヒメの心臓」から感じた禍々しいオーラと瓜二つだ。彼女の瞳は、まるで深淵のような闇を湛え、口元には不敵な笑みが浮かんでいた。

「混沌に祝福されしこの身…貴様らの自由、私が破壊してやろう」

その声は、カグヤの声とは似て非なる、冷たく、そして威圧的な響きを持っていた。それは、彼女の中に眠っていた第二の人格、アナヒメの覚醒だった。

アナヒメは、手を天に掲げた。すると、都市の空気が歪み始め、巨大な魔力の渦が彼女の掌に集まっていく。ウーゴとバイがいない中で、ナナとカズマは、その圧倒的な力にただ呆然とするしかなかった。

「な、なんだこれは……!?」

ナナが息を呑んだ。カズマも、その軽薄な表情から色が消え失せ、恐怖に顔を引きつらせている。

「ぐっ……一体何が起きた!?」

アナヒメの咆哮と共に、集められた魔力が解き放たれた。それは、カグヤの爆裂魔法とは比較にならない、まさに「町一帯」を吹き飛ばすほどの、規格外の破壊力だった。轟音と閃光が、この都市を揺るがし、ギャングたちはもちろん、その場にあったビル群すらも、瞬く間に瓦礫の山と化した。

焦げ付いた土の匂いが、新たな、そしてより大規模な破壊の痕跡を残していた。クレーターとなった都市の一角には、ただアナヒメが悠然と立っている。

その頃、異世界アーク・ディストピアの遥か上空に浮かぶ、白銀の艦隊がその異変を察知した。それは、この世界の秩序を司る絶対的な存在、神政軍の艦隊だった。

「報告!アーク・ディストピアの都市部にて、大規模な魔力反応を確認!これは……禁呪の兆候か!?」

「直ちに部隊を出動させよ!何者か知らんが、これ以上の秩序の破壊は許さん!」

神政軍の司令官の声が響き渡り、無数の戦闘艇が、光の軌跡を残しながら、この異世界の地上へと降下していく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ