裏庭も広げましょう
『りおり〜裏庭に魔力ちょうだーい、ついでにわたしにもちょうだーい』
へろへろと飛んできたティルを手のひらに乗せで魔力を流しながら、
『どうしたの?』
『ティルちゃん、大丈夫ですか?』
『裏庭の管理が大変になって来た』
『どういうこと?』
『下位精霊がなぜかどんどん増えているのよ』
『精霊って増えるの?元々いた子が見えるようになっただけじゃなくて?』
『こんなにいなかったものっ!』
『どうしてかしら?あの裏庭の空間ってティルが作ったのよね?』
『そうよ、元々こっちに流される前から使ってた小さな空間だったのよ』
『ティルちゃん、もしかして前の世界と繋がってるなんてことは、ないですよね?』
えっ!?そんなことあり得るの?
『ないと思うけど、繋がってたら世界樹育てる前にあんなに弱らなかったと思う』
『空間広げすぎて、どこかに綻びとかできてる可能性ありませんか?』
それは、あったら困るわよね。
『それって確認とか出来る?調べられるのかしら?』
『あの広さをどうやって調べるの?』
ティルでもわからないのか。
『アレドはどう思う?』
『リオール様が魔力を薄く流していけば、魔力感知で異変に気づけるのでは?』
えっ?私でわかるかしら?
『理織、お願いやってみて?』
ティルにお願いされたら、やらないわけにはいかないじゃない?
『やってみてダメだったら、別の方法考えよう』
うわー、マジで?
これは、ヒドイしヤバイわ。
『ティル、穴だらけだわ』
『えっ!?ウソ!?』
それがほんとなんだなぁ。
『穴塞ぐから、出入りしてる精霊に30秒以内に戻らないと2度と元の世界に戻れなくなること勧告してくれる?』
『わかったわ』
ティルが何かを伝えた直後に、場が一気に慌ただしくなった。
うわーめっちゃ右往左往してるわ。
早く帰ってくださいな。
空間閉じますよー?
ティルは、10秒前からカウントダウンを始めた。
焦ってるねー。
私の足元に見たことのない精霊の女の子がポツンと佇んでいた。
『あなたは戻らなくていいの?』
コクリと頷く。
『もう、2度と帰れないよ?』
またコクリと頷く。
『それなら、ここにいるのでいいのかな?』
今度は、ニッコリして頷く。
可愛いじゃないの。
『理織、塞いで!』
『りょーかいよ』
私は魔力を1億使って空間を広げて、4億分でかなり厚めに空間を包み込んだ。
これで次に空間を広げても、簡単には穴は開かないはず。
『ティル終わったわよ』
『ありがとー理織。これで少し楽になるわ』
少しなの?
『誰か一緒に管理してくれる精霊いないの?』
『上位精霊、私しかいないのよ』
あんなに契約した子いるのに?
えっ?まだほとんど下位精霊なの?
ヒマワリやハーブは中位精霊になったのね。
『ティルは、ホントはもっと大きいのよね?』
『そうなんだけど…』
『私からの魔力足りない?もっと渡しても大丈夫だよ?』
『ホント!?』
『毎日5万くらいにする?10万くらい?』
このくらいは余裕よ?
『しばらくは5万もらってもいい?慣れて少し大きくなれたらもう少しお願いするかも』
『りょーかいよ。あっ、さっき穴塞ぐついでに空間広げといたわよ』
『ありがとー、鉱脈増えたし、世界樹の近くに泉を作りたかったから、ありがたいわ』
『大変かもだけど、管理おねがいね』
『任せなさい!』
『で、次はあなたね。本当によかったの?』
『ここがよかったなの』
初めて話してくれた。
『それなら、好きなだけここにいてね。迷惑かけなければ好きなように過ごして大丈夫だからね』
『はいなの』
『もし困ったことがあったら、ティルに相談してね』
『はいなの』
『ティルよ、よろしくね』
『よろしくなの』
『ティル、あとはよろしくね。私は戻るわ』
『わかったわ、理織ありがと』
 




