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大賢者リオールは楽しみたい!  作者: トーヤ


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ミスリルの糸

理織(りおり)、アレド。相談のってくれる?』

『ティル、どうしたの?』

『もちろんですよ、ティルちゃん』


ティルには珍しく、どんよりした雰囲気だ。

いつも楽しそうにしてるのに。


『この間ミスリル育てたじゃない?』


ヒマワリがね。


『うん、そうね』

『ミスリルを理音(りおん)が剣にして、理律(りりつ)がそれを使ってるのを見て、ノワールとチョコが遥翔(はると)の盾が欲しいって言い出したの』


ノワールは遥翔と最初に契約した精霊の子よね?

チョコは複数契約できるってわかった時に契約した子かな?


『ミスリルは盾に向かないのでは?』


そうよね、魔力通しちゃうしねぇ。


『そうなのよ、だからもっと硬いオリハルコンとかアダマンタイトとかあればいいのにって、なんとかしてってノワールとチョコに言われてるんだけど、でもこの世界ってミスリルもなかったくらいだから、オリハルコンやアダマンタイトがあるわけないじゃない?それで他に盾に向いてる素材知らないかなって』


私とアレドの声が重なった。


『あーありますね』

『あーあるわね』


ティルが一瞬止まった。


『…あるの?』

『ありますが、フェリーラザ産のインベントリにある肥やしですので、ミスリルみたいに育ててからじゃないと使いにくいですよ?』

『アレドの言う通りよ、誰か育ててくれる子いるかしら?』

『ヒマワリにお願いするわ』

『ミスリルで大変なんじゃないの?』

『もうね、鉱脈になってるから、ほっといても育つって言ってた』

『そう、ならオリハルコンとアダマンタイトどっちがいいの?』


ティルは腕組みをして、唸っている。


『両方じゃダメかな?』

『いいけど、また砂つぶサイズ出したことにしてね』

『わかったわ』

『アレド、両方出してあげて?』

『どちらもカケラですが、砂つぶだったことにしてくださいね』

『了解よ、ありがと!いってくる!』


こちらが行ってらっしゃいをいう間もなく、飛んでいった。


『これで、オリハルコンもアダマンタイトも育てば、インベントリの死蔵も減らせるかもね』

『ですね。そういえばミスリルでまだ何もつくってなくないですか?』

『忘れてたわね。何作ろうかしら?』

『以前話していた、リングかバングルに即死無効とか、結界とか付与して、魔宝石つけましょうってのは、ダメですか?』


そういえばそんな話ししたわね。


『でもそれなら、愛理(あいり)のほうが得意そうじゃない?』

『…そうかもしれませんが』


うわーすごい不服そうねぇ。


『なんでそんなにミスリルのアクセサリーほしいの?』

『別にミスリルのアクセサリーがほしいわけではありません』


そうなの?いやまぁアレドは装飾品とか出来ないけど。


『じゃあどうして?』

『私はただ』


ただ?


『リオール様が何かを作っているところを見ているのが好きなだけで』


んっ?


『ならアクセサリーじゃなくてもいいの?』

『はい、楽しそうにしてらっしゃるのを見たいだけなのです』


アレドはボソリとそう言った。

たまにかわいいんだから。


『それなら、ちょっと思い出してやってみたいことがあるんだけどね。アレド覚えてたら教えて』

『もちろんです』

『ミスリルを、すっごくすっごく細い糸にして、刺繍をして魔法陣を描くみたいなことをしたことがあったような気がしたんだけど、覚えてる?』


大きめの布に刺繍したような…?


『ありましたね、あれは確か部屋を暖める魔法陣にしたタペストリーでしたね』

『あータペストリーかー。でもこっちの世界で部屋を暖める魔法陣は必要ないかな。家電で暖かいものね』

『ですが、エネルギーの節約にはなるかもしれませんね』


確かに、暖房費が浮いたら違うものに使えるものね。


『でも、今の幼女の姿じゃ刺繍はさすがにむりなのよね』

『ミスリルってどうやって糸にしてましたか?買ってました?私の記録にはないのですが』

『ううん?魔力流して作ってたわよ?ミスリル出してくれる?』

『1キロくらいで大丈夫ですか?』


私は頷いて、出してもらったミスリルに魔力を流した。

一瞬で糸の出来上がり。


『ほらね?』

『はっ!?今何をしたんですか?』

『糸になれって魔力流しただけよ』


簡単でしょ?


『リオール様、非常識にも程があります』

『何がよ、どこがよ?』

『全部ですよ、魔力流したら糸になる?ならないですから普通!』


えー?非常識ってひどくない?

そう言われてもなるものはなるのよ。

ちょっと、おっきなため息つくのやめてもらっていいかしら?

何よ、もう。


『それで、前はこの糸で刺繍してたんですか?』

『そうよー、ミスリルで針も作ってチクチク刺繍したのよ。暇だったのねー、気長に刺してたわね』


思い出したわ。壁一面に飾るようなタペストリーよ?

しかもミスリル硬いのに、細い糸にしたから下手したら指がなくなる可能性があるのよ。

切れ味良すぎて…。

強めの強化を付与した手袋をしないと刺繍もできないという代物だったわ。

だから、実際に刺繍するのは今回はムリ。


『今回はどうするんですか?』

『どうするって、魔法つくるしかないわね?』

『ミスリル糸を使って魔法陣を刺繍する魔法ですか?』

『そんな感じになるかしらね?』


どうせ作るなら汎用型にしたいわよね。

糸と魔法陣は指定すればいいわよね?

刺繍するものは、布限定の必要はないわよね?


『ねぇ?たとえば盾にミスリル糸で硬化の魔法陣刺繍とか出来たらよくないかしら?』

『布限定にしないと言うことですか?』

『その方が使えそうじゃない?』

『盾とかなら今まで通りに魔法陣描くだけではダメなのですか?』

『ダメなわけではないけど、ミスリル糸使ったほうが魔法の通りがいいから、硬化も上がりそうじゃない?』

『そこは実際試さないことには、わからないですけどね』


それはそうね。

リオールの時も、さすがに盾に刺繍しようとは思わなかったしね。


『久しぶりに魔法つくりましょう』

『魔力5億とか持っていかれるんですかね?』


あっ、封印解放されてから、魔法作ってないわね?

5億ってすごいわよね?

上限とかないのかしらね?

まぁいいわ。魔法作ろう。



魔法陣刺繍魔法

どんな魔法か定義


「指定した糸で指定した効果の魔法陣を、指定した素材に刺繍する魔法」


魔力量1億を消費。

クリエイトボタンをタップ。



チビキャラ作成魔法の横に、魔法陣刺繍魔法が表示された。


『アレド、上限あるみたい。1億で出来たわよ』

『1億ですか、それはそれでおかしな魔力量の持っていかれ方ではあるのですが、今のリオール様だと、あんまり持っていかれなかった、みたいに感じますね』


確かにね、5億持っていかれると思ってたところに1億でした、だとなんとなくお得感すらあるわね。


『さて、さっそく刺繍してみたいけど、何になんの魔法陣刺繍しようかしら?』

『では、靴に転倒防止の魔法陣はいかがですか?リオール様転ばないように』


確かに私よく転ぶけれども。


『えー?靴なら飛翔の魔法陣の方が良くない?』

『飛翔にするなら、空飛ぶ絨毯とかホウキでは?』


あっ、そういえば前にそんなことみんなにきいたわよね。


『わかったわよ、大人しく転倒防止にするわよ』

『賢明な判断ですね』

『あっ、靴玄関まで取りに行かなきゃダメじゃない。絶対誰かに見つかって何するかきかれるじゃない。ダメだわ。この部屋にあるものにするわよ』

『とりあえずお試しですよね?』

『そうね』

『では、ハンカチに涼しくなる効果の魔法陣はいかがですか?』


これから、夏になるしちょうどいいかしら?

持ってるだけでなんか涼しいのはいい気がする。


『それにするわ、ハンカチあったかしら?』

『あの引き出しにありますよ』


柄のないハンカチを1枚用意する。


『涼しいってどんな感じかしら?』


ずっと冷たい風が出るとかはイヤよね。寒いわ。


『そうですね、自分の体温より1℃か2℃低い温度の空気で自分を包むと言うのはどうでしょう?』

『良さそうだけど、そんな魔法陣ないわよね?』

『魔法作って、魔法陣に変換しますか?』


また魔力を1億使って、魔法つくるの?

まぁいいけど。



冷房魔法

どんな魔法か定義


「対象者の体温より2℃低い空気の層で対象者を包む魔法」


魔力量1億を消費。

クリエイトボタンをタップ。



魔法陣刺繍魔法の横に、冷房魔法が表示された。


続いて、魔法陣展開魔法をタップ。


展開する魔法を指定

冷房魔法

必要な魔力量 15,000

魔力提供者

理織

展開ボタンをタップ。


出来たわね。

やっぱり合図ほしいのよね。

どうにかならない?


『魔法陣に展開するのに、魔力15,000とか少ないって思っちゃうわよね』

『魔法作るのに1億ですからねぇ』

『これで、揃ったから刺繍魔法やってみましょう』


どんな感じになるかしら?



魔法陣刺繍魔法をタップ。

指定する糸

ミスリル糸

指定する魔法陣

冷房魔法陣

指定する素材

ハンカチ

必要魔力量 10,000

刺繍作成ボタンをタップ。



ハンカチが小さく光って.ミスリル糸が少し減った。

鑑定してみると、ちゃんと出来ているようだ。


『アレド、出来たよー』

『ミスリル糸あまり使いませんでしたね』

『そうね、でも魔力10,000は使ったわよ?』

『試しに使ってみてください』


そうね、使わないとわからないわよね。

ハンカチを持って、魔力を少しだけ流して起動する。


んっ?

あまり変わらない?


『アレド、いまいち涼しくないかも』

『本当ですか。ではさらに2℃ほど下げましょう』


魔法陣に手を入れて、魔法陣刺繍を繰り返す。


結局、自分の体温より10℃低い温度に設定した時に、ふわっと自分が冷たい空気に包まれたのがわかった。


『これは、すごくいいものな気がするわよ?』


この温度を見つけるまで長かったわね。

魔法陣を何回修正したのかしらね?


その度に魔力持っていかれるのよね。

足りてよかったわ。


『どなたかに試してもらいます?』

『そうね、とりあえず起動止めて、複写で10枚くらい増やしてみんなに渡してみようかしら?』

『なるほど、よい案だと思います』



複写スキル レベルMAX。

対象 冷房のハンカチ

個数 10

必要魔力量 1000

複写スキル発動。



目の前にハンカチが10枚出来上がった。

1枚持って起動してみる。

またふわっと冷たい空気に包まれた。

大丈夫そうね。


冬になって寒くなったら、暖かい空気で包まれるようにすればいいわよね?


アレドにそう言ったら、とりあえず今作りましょうと言われて、あったかバージョンも作った。


寒くなったら、温度設定の調整しなくちゃダメだろうね。


冷房魔法の横に、暖房魔法が出来たわ。


ひんやりバージョンとあったかバージョンをセットで連理(れんり)達に渡したら、登録書類書くから説明しなさいと連理に言われて、単語で頑張って説明したわよ。


それが一番大変だったわ。


登録した後でも変更はできるらしく、とりあえずあったかバージョンも一緒に登録することになった。



後日、理結(りゆう)がオリジナルのハンカチを大量に複写していったことだけは伝えておくわね。

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