うちの子すごいかも!〜連理
理織を部屋で寝かせた後、私は屋敷の隣にある理さんの工房へ走った。
「理さんっ!」
ばぁんっ!と扉を思いっきり開けて駆け込んだ。
ビクッとさした理さんが、
「どうしたの?何事?」
焦ったように立ち上がった。
「あっ、お仕事中にごめんなさい」
「いや、大丈夫だよ。キリのいいところだし話聞くよ」
ふわりと笑ってそう言ってくれた。
うーん、理さんてば相変わらず優しいんだから、もう。大好き!
「ありがとう。あのね、さっき理織に何しようか聞いたら、魔法使うっていうのよ。だから魔力のこととか説明しなくちゃと思って、ステータス画面の魔力の数値を確認したのね。」
「あれ?リオは文字読めるんだっけ?」
「ううん、まだよ。明日から少しずつお勉強始めようかなって思ったのよ、理織も文字解りたいみたいだったから」
「そうか、ムリさせない程度にゆっくり始めてみようか」
理さんも賛成してくれた。良かった。
「それでね、魔力の数値が20らしいのね。理人達より気持ち多いくらいだったんだけど、すごいのよ!」
「何が?」
「私が魔力を理織に流したら、すぐにポカポカっていうんだもの。いきなり魔力感じたのよ、理織ってば」
「本当かい!」
「えぇ、本当よ!すごくない?」
「すごいよ、理人達は1時間かかってもわからなくて、途中で飽きて何日もかかったんだよね。確か」
そうそう、と頷く。
飽きてゴネて泣いていやだーーーって、違う意味ですごかったの思い出したわ…
ちょっと遠い目をしちゃうわね。
「しかもそれだけじゃないのよー」
「魔力感知しただけですごいと思うけど、まだ何かあるのかい?」
理さんは目をパチクリさせている。
「聞いて驚けー、なんと魔力循環もしてみせたのよー」
「はっ?循環もしたの?ウソでしょ?」
「ウソじゃないのよー、本当なのよーすごくない?うちの子すごくない?」
「すごいに決まってる、って言うかすごすぎない?」
もうね、私も理さんもすごいすごいの繰り返しになっちゃったのよ。
「しかもね」
「えっ?まだ何かあるのかい?」
「確証はないんだけど、理織魔力見えるのかも」
「ホントに?どうしてそう思ったの?」
「だって、私が魔力視で魔力が動いてるのみてたら、ママのおめめきらきらって言ったのよ、あの子」
「確かに連理さんの魔力視使用時は目がキラキラしてるよね、あれは綺麗だよね」
もう、理さんってば恥ずかしいじゃないのよー。
頬を両手で覆って、クネクネしたら苦笑われたけれど、ちょっとひどくない?
「あっ、でリオはどうしてるの?」
「体力10しかなくて、魔力循環したら疲れたみたいで寝ちゃったのよ。それで相談に来たんだけど、理織の分の魔力枯渇させる魔導具用意してもらえる?」
手のひら合わせてお願いって首傾げたら、再度苦笑いされたのは何故かしら?
「まいったな、昨日の今日で必要になるとおもってなかったから、リオ用に調整終わってないんだよなぁ」
あら、どうしましょう。
「理織、魔力増やす気満々で今日の夜から?ってお昼寝前に言ってたんだけど…なんとかならない?」
マジかーって、天井仰いじゃったわ、理さん。
ごめんね、私だって予想外だったのよー。
初日から魔力循環まで、出来るようになるなんて誰も思わないわよ。
こんなに魔力操作が上手いなんて、もしかして理織ってば、天才なのかしら?
なんちゃって。
天才でも違っても、好きなことをのびのびさせてあげたいわ。
「リオがお昼寝から起きたら、連れてきてもらえるかな。なんとかするから」
魔道具のことは、やっぱり理さんね。
「頼りになる。ありがとう。またあとでね」
そう告げて私は、工房から屋敷へ戻った。
あぁーもうホントに理織すごいなぁー。
将来が楽しみね。
むしろ、明日からが楽しみね。