お腹は空くのです
ティルに連理を呼んでもらったら家族全員で部屋に雪崩れ込んできた。
ビックリした。
「理織、目が覚めたのね。大丈夫?熱は?」
連理はそう言いながら、私のおでこを触ったり、頭を撫でたりしている。
「だいじょぶ」
「リオ、お水飲めるかい?」
理がコップを渡してくれる。
渡されて、ものすごく喉が渇いていたことに気づいた。
「おいちー」
ただの水のはずなのにとても美味しかった。
水で刺激されたのか、お腹がグゥ〜となった。
「ママ、お腹、ぺこぺこ」
連理はくすくす笑って、スープ持ってくるわねーといなくなった。
私がいつ起きてもいいように、スープは毎日用意されてたんだって。
料理人さん、ありがとう。
「リオ、びっくりしたんだぞ?ティルが理織が倒れたーって飛び込んできたから」
理人はそう言って、私の頭を撫でる。
そうだ、意識なくなる前にアレドからティルにお願いしてもらうようにしてたんだった。
「リオ、もう大丈夫かスキャンさせてね」
『アレド?スキャンされて大丈夫なの?』
『寝てる間、毎日されてましたよ』
あーそうか。
『もしかして、色々バレてる?』
『大丈夫だとは思いますが、完全にリオール様とリンクしてしまったので、なんとかスキャンもごまかせるのでは?』
『出たところ勝負なわけ?』
『理理様もスキル増えてますし、レベルアップもしてるので、絶対はないと思うのですよ』
あー、みんなスキルポイント活用してるのね。
「うん、もう身体に悪いとこないね」
笑顔の理理がそう言った。
あっ、いつの間にかスキャン終わってた。
「リオ、よかったー」
理哉がぎゅっとしてくれる。
「リオ、1週間も熱は下がらないし、目が覚めないしで、心配したんだよ」
理の顔がとても疲れていた。
『リオール様、夜中も誰かがずっと付き添っていたのですよ。愛されてますね』
そうなんだ。
こんな時はなんて言えばえのかしら?
『理様に抱きついておけばよろしいのでは?』
そういうものなの?
私は言われた通り、理に抱きついた。
理にぎゅっとされて、なぜだかとても安心した。
そこへ、お待たせーと連理が良い匂いのスープを運んできた。
再度お腹はなったわよね。
少しずつゆっくり食べるように言われた。
1週間まともに食べてないから、負担かけないようにと。
一口たべたら、お腹の中からほんわりと、あったかくなった。
お腹が満たされたら、また眠くなった。
うとうとし出した、私にもう少し寝なさいと、布団をポンポンとされたらすぐに意識はなくなった。
寝て起きたら、すごくすっきりしてて、もう大丈夫って思える。
『おはよー、アレド』
『おはようございます、リオール様』
『一回起きてスープ食べてからどのくらい経ったかしら?あれって何時頃だったのかしら?』
『夜の7時頃でしたね。今は翌日のお昼ですね』
『また結構寝てたのね』
『朝は、みなさん顔を見にきて笑っていらっしゃいましたよ』
なんで!?人の顔見て笑うのよ?
寝顔が変だったのかしら?
『ヨダレ!?』
口元を確認する。違うみたい。
『ヨダレじゃありませんよ。リオール様とても幸せそうな顔で寝てらしたんですよ』
そうなの?
醜態じゃないならいいことにするわ。
『リビング行こうかな』
『ひとりで大丈夫です?ティルちゃんに誰か呼んできてもらいます?』
『とりあえず行ってみる、ダメだったらお願いしよう』
まぁなんとか辿り着きましたよ、リビングまで。
誰もいなかったけど。
あれ?いつもは誰がいるんだけどな?
『なんで誰もいないのかしらね?』
『やっぱりティルちゃんに探してもらいます?』
『裏庭に誰がいるかもしれないし、ティルに聞いてみようか、アレドお願い』
『承知しました』
『ティルちゃん、そちらにリオール様のご家族どなたかいらっしゃいますか?』
『………』
『誰もいないそうです』
あれ?ホントにどこにいるんだろう?
「あっ、リオいたー」
背後から理哉に声をかけられて、驚いた。
「りなねえ?」
「部屋にいないんだもん、探したよ」
「お腹、ぺこぺこ」
「お腹空いて、降りてきたの?」
そう、お腹空いてるのよ。
「あい」
「今、奥の部屋にみんな集まってるから行こう?そこでお昼食べるみたいだから」
「あい」
理哉の手を繋いで歩いて行くと、前回神凪一族会議した円卓のある部屋だった。
また会議するの?
何か、新しい発見があったのかしら?
でもとりあえずお腹空いてるの。
ご飯欲しいのよ。
って、この間より人が多いんですけど!?
『アレド、会ったことのない人がいる』
『分家の方ですね。今回は一度に何か伝えるみたいですね』
『アレドもわかんないの?』
『はい、基本的にリオール様と一緒ですしね』
『それは、そうね』
なにが始まるのかしらね?




