人工宝石
『リオール様、お願いがあるのですが』
『珍しいね、アレドがお願いとか』
リオール時代にも、お願いなんてあったかしら?
『以前、ハチミツの結晶化を調べたときに、気になるものがありまして、魔力量の増えた今のリオール様なら、創造魔法でなんとかなったりするのかもしれないと思いまして』
『いいわよー、何かわからないけど、アレドは気になってるのよね?』
『はい、魔法を使わなくても出来るものなのですが、材料がこの世界特有の科学のものばかりなので、手に入るのかどうか不明なものなんですよね』
なるほどね。なら魔法を使うのが手っ取り早いわね。
『いいわよ、やってみましょう』
『よろしいのですか?』
『もちろんよ、何をするのかしら?』
アレドは、記録からあるデータを表示した。
『人工宝石?』
『宝石を人工的に作れるのだそうです』
へぇー何それ。
おもしろそう。
『アレドはそれを何に使うつもりなの?』
『あ、それは、空の魔石の代わりにならないかと、思ったのです。まぁ魔石が無くても、直接魔力を魔石に変換してしまえるようになってしまいましたし、蜜魔石のように魔力が入らない可能性もありますし、必要はないかもしれませんが』
あー色々考えててくれたんだね。
さすが、私のアレドだね。
『楽しそうだもの、やってみましょうよ。魔力は入らなくても付与はできるかもしれないし、ダメでもアクセサリーには、できるんじゃない?人工なら安く仕上がるかもしれないわよね?』
新しい創造魔法よ。
楽しみしかないわー。
『アレドー、さっきの人工宝石の資料見せて』
うーん?人工と天然の違いがよくわからないけど、どちらも同じものの成分で作られているのね。
『アレド、色々な宝石の形成成分みたいなもの集めておいてもらえる?』
『承知しました。含有成分ですね。インターネットで拾い集めて参ります』
たとえば、ルビーは、アルミニウム(Al)が2つと酸素(O)が3つで結合し、結晶化しコランダム(Al2O3)になり、そこに着色要因であるクロム(Cr)が2~3%入ると赤くなる。みたいなものを探して欲しい。
これを創造魔法の指定条件にしたいと思う。
それを魔力で作るのだから…魔宝石でどうかしら?
今は、このルビーの情報があれば、なんとかなるはずよね。
『ルビーでやってみるわ。人工宝石じゃなくて、魔宝石でいいかしら?』
『そのほうが、素敵です。お願いします』
ステータスの創造魔法を触る。タップって言うんだっけ?
もうひとつ画面が表示される。
創造する魔法の名前は
魔宝石変換魔法
どんな魔法か定義
「魔力を魔宝石に変換する。魔力量は指定、魔力提供者は指定、魔宝石の形成成分も指定」
魔力総量の半分を消費
クリエイトボタンをタップ。
魔石変換魔法の横に、魔宝石変換魔法が表示される。
『アレド、魔宝石変換魔法できたよー。やっぱり魔法作るには、魔力総量の半分もっていかれたわ』
『やはり半分ですか。これからどんどん持っていかれる量ふえますね』
『そうね、新しく創造するときは、魔力がすごく余ってる時にするわ』
『ではでは、魔宝石ルビー作ってみてください』
アレドが珍しくワクワクしている。
アレドが楽しそうだと、私も楽しいわね。
『わかったわ、魔宝石ルビーね』
創造魔法→魔宝石変換魔法→魔力1500、提供者理織、形成成分Al2O3にCrを2%
変換ボタンをタップ。
『できたわよー。キレイね』
『綺麗ですね。魔力使用量は?』
『1500よ?』
『1500でこのサイズなら、300くらいで指輪やピアスなどにちょうどな大きさになりそうですね』
『確かに少し大きいかもね』
手のひらのものを鑑定する。
魔宝石ルビー
天然ルビーとも人工ルビーとも違い、魔力で作成されたルビー。
魔力を貯めておけないが、付与魔法と相性が良い。
アクセサリーにも適する。
『アレド、やっぱり魔力は貯められないみたい』
『予想通りですね。付与はどうです?』
『そっちは相性が良いって』
『そうなんですね。しかしこの魔宝石を誰かに加工してもらうことができないのが、残念ですね』
『また部屋の宝箱行き?』
『ですね』
『スキル的には自分で加工できるけど、幼女の不器用さじゃムリなのよね』
『もうしばらくは大人しくしていてくださいませ』
なによー、アレドが作ってみてって言ったのにーーー。




