メープルのカステラ〜香華堂店主
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「お父さん?どうしたの?」
「ん?あぁ菜実か」
娘の菜実に声をかけられても、俺は、手元にある小瓶を見つめていた。
「それって、ハチミツ…じゃなくてメープルシロップ?」
「あぁ、理結さんに渡された。ダンジョン産のメープルシロップだそうだ」
そう、理結さんから都合の良い時に会社の方に来て欲しいと連絡があったので、今日行ってきたのだ。
で、渡されたのがこのメープルシロップだった。
「ダンジョンからメープルシロップ?」
「そうらしい。たくさんあるからこれでカステラを作れないかと打診された」
「メープルのカステラ!?」
「あなた、そのメープルシロップって味見できるかしら?」
妻の実紗が、聞いてくる。
あぁ、実紗はメープルシロップが好きだったな。
ハチミツも好きだしな。
「あぁ、もちろんだ。みんなで味見しようじゃないか」
純粋にメープルシロップの味を確認したくて、スプーンに取り分けていただくことにした。
これは、なんて濃厚な味わいなんだ。
「おいしー」
菜実がほっぺたを押さえている。
「ホントに美味しいわ。カステラ分だけじゃなくて、うちの食卓用も仕入れて欲しいわ」
実紗よ…
「師匠、これでカステラが作れたらまた人気でますね」
確かに、この味なら美味しくなるだろう。
「そうだな、とりあえず配合からまた考えて試作しようじゃないか」
そこからは試行錯誤の連続だ。
ハチミツをメープルに置き換えるのをはじめとして、コカトリスのタマゴからコッコのタマゴに変更してみたり、メープルシロップからメープルシュガーを作ってみたりもした。
結局、コカトリスのタマゴからコッコのタマゴに変更と、ハチミツをメープルシロップに変更。
岩糖をメープルシュガーに変更することで満足のいくメープルのカステラができあがったのだが、問題が生じてしまった。
メープルシロップからメープルシュガーを作成するのに手間と時間がかかりすぎて、うちではメープルシュガーを作ることが出来そうにない。
「あなた、メープルのカステラを持参して神凪さんに相談した方がいいんじゃないかしら?」
実紗の言う通りだな。
連絡して、時間をもらおう。
「これが、メープルのカステラですか。食べてみても?」
「もちろんです」
理結さんは、メープルのカステラの試作品を口にして、
「ものすごく美味しいですね。メープルの良さがとても出ている」
「ありがとうございます」
よかった。
「これは売れますね」
理結さんの顔が商売人の顔になっている。
「だといいのですが、実はひとつ問題がありまして」
「それは…?」
「今回のカステラは、材料を色々変更しました」
「そうでしたね。コカトリスではなくコッコのタマゴにしたんですよね?」
「はい、ハチミツは使わずにメープルシロップにしています」
ここまでは問題はない。
「なるほど、ダンジョン産のハチミツも味が濃いですからね」
「そうですね、両方使用するのは味がケンカしそうでしたので」
最初から、ハチミツは使わないつもりだったのだ。
「このカステラを食べたらそれが正解だと思いますよね」
「それで実は岩糖も使用していません」
「んっ?では普通の砂糖で?」
「いえ、メープルシロップからメープルシュガーを作って使用してます」
「メープルシュガー!?」
「はい、メープルシロップを煮詰めていくと、メープルシュガーになります」
すごく大変なんです。
「それで、こんなにメープルが前面にくるんですね」
そうなんです。
わかっていただけますか。
「それで、先ほどお話しした問題というのが、このメープルシュガーなのですが」
「あー、なるほど。作る余裕がない感じでしょうか?」
「はい、おっしゃる通りです。何か良い案はないでしょうか?」
ホントに色々頼ってばかりで申し訳ないのですが…
「では、うちの方でメープルシロップをメープルシュガーに加工してから納品しましょう」
「よろしいのですか?」
簡単に加工しましょうっておっしゃったな。
魔法とかで、簡単に出来るのだろうか?
「はい、問題ないですよ?メープルシロップと同様にメープルシュガーも売れると思いますし」
メープルシュガーも売るんですね?
さすが商売人ですね。
「本当にお願いしてもよろしいのですか?」
「もちろんです」
「では、よろしくお願いします」
これで、メープルのカステラが作れるようになる。
「あっ、これ理織さんに試作ですがお渡しいただけないでしょうか?」
「メープルのカステラですね。楽しみにしているので喜ぶと思います。ありがとうございます」
理織さん、喜んでくれるといいけれど。
後日とても喜んでいたことを理結さんから教えていただきました。
よかった。
レストランヤミーと香華堂の店売りはコカトリスのカステラと同じ本数で売り出すことにした。
こちらも好調で毎日売り切れるほどの人気商品となった。
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