モデルなんてムリですよ?〜輝夜
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ありがとうございますm(_ _)m
嬉しいです(^o^)
「よろしくお願いします」
理結さんのススメで、カンナギエージェントで働いてみることになった。
私のギフトである、正確な視界が役に立つんじゃないかって言われたんだけど、何がどう役に立つのか私にはわからなかった。
職業のカルキュレーターだって、使いどころがわからないままだし。
けど、理結さんがココを薦めるならココで頑張ってみよう。
「「あーかぐやちゃんだー」」
そこには、twinkle✖️twinkleの双子ちゃんがいた。
けれど私的にはtwinkle✖️twinkleと言うよりは、スノーピークの双子ちゃんのイメージの方が強いかな。
「かがりちゃんときらりちゃん。こんにちは」
「「こんにちわー」」
「あら、もう顔見知りなの?」
「「そーだよー新宿ダンジョンであったよー」」
ねー?って首傾げられたので、同じようにねー?って返しておいた。
最初やらなったら、やるまで、ねー?って言われ続けたことがあるのよね。
意外に我を通すのよね。
でも絶対やらない人には、最初から挑んでないみたいなので、双子ちゃんはちゃんと人を見極めているらしい。
「ノリが良いのね?私がここの社長を務めている美凪麗よ。よろしくね」
「月城輝夜です。よろしくお願いします」
「理結から聞いてるけど、なんかすごい目と計算能力を持ってるんですって?」
えっ?理結さん?
どんな説明したのよ!?
「すごくないです。自分で職業もギフトも活かし方がわからないです」
「そうなの?空間認識とか距離認識がピカイチだって聞いたけど?」
えっ?
「そんな大層なものではないと思うのですが」
部屋の中心の場所がわかるとか、モノのサイズが計らなくてもわかるくらいだ。
「まぁ、その辺はおいおいわかるでしょう。
とりあえず今度双子が、ライブハウスでライブをやるのね」
「すごいですね」
「「えへへ〜」」
照れてて可愛いわね。
「双子のダンスレッスンに付き添ってくれない?」
「私で良いのですか?」
「輝夜が、あっ呼び捨てで大丈夫かしら?」
私は頷く。
「輝夜が適任だと思うのよ。双子の曲のダンスってシンメトリーが多いのだけれど」
あっ、確かに。
歌番組で見たことあるけど、かなりのシンクロ率よね。
「今回の新曲のダンスが、シンメトリーなのに双子が踊ると違和感を感じるのよね。輝夜ならその原因みたいのわかるかもって思って」
なるほど?
ダンスのことはわからないけど、2人のズレを探せればいいのかしら?
「わかりました。やってみます」
「「かぐやちゃん、おねがーい」」
2人は手を合わせて、お願いポーズをしている。
可愛いわ。
「はい、お願いされました」
レッスンを見て、すぐに違和感を覚えた。
ダンスにズレはない。
根本的な問題だわ。
今まで同じだったからと、双子だから同じと言う思い込みね。
「「かぐやちゃん、どーぉ?」」
「たぶん、わかったわ」
「「ほんと!?」」
私が頷くと、
「「どこがへん?」」
双子ちゃんが前のめりで聞いてきた。
「どこも変じゃないわよ?」
「「えー?さっきわかったっていったー」」
言ったわね。
「わかったわよ?ダンスは変じゃないのよ」
「「えー?でもいわかーん?」」
そりゃそうよね。
「あのね、かがりちゃんの方が3センチくらい背が高いのよ」
双子ちゃんは、顔を見合わせて、言った。
「「あっ!!それだ!!」」
双子だからって、ずっと同じ成長するのかといえば、そんなことはないのだろう。
普段はかがりちゃんは、嵐くんと走り回ってるみたいだし。
きらりちゃんはピアノ弾いてるって聞いたことがある。
動と静だものね。
そりゃかがりちゃんのが大きくなるかも…
「どーする?きらり?」
「どーする?かがり?」
「「あとでりおりにそうだんするー?」」
息ピッタリなのね。
「それなら、今はダンスのレッスンの続きしましょうか」
「「はーい」」
「ありがとう、輝夜。まさか身長に差が出てるとは思ってなかったわ」
「2人は息ピッタリですしねぇ」
ホントに息ピッタリよ。
ダンスも身長差がなければ、完璧。
身長差があるから、違和感が出る。
「さて、どうしたらいいかしらね?」
「2人はりおりちゃんに相談するって言ってましたよ?」
社長は怪訝顔した。
「理織に?あとで確認しなきゃダメね」
なんでそんな顔を?
りおりちゃんはすごいわよね。
「双子のことは、後で確認するとして…うちの事務所に、ランウェイモデルが何人かいるんだけど、最近オーディションの落選が続いてる子がいてね。自信無くしちゃってるのよ」
ランウェイモデル?って何?
「あのランウェイモデルと言うのは?すみません」
「あー、ごめんね。ファッションショーとかで真ん中の細い通路を衣装を着て、観客の間を歩いて行くのを見たことない?」
「あっ、あります!パリコレ?とかそういうのですか?」
「そうそう。そんな感じね。あの歩いてるモデルさんのことをランウェイモデルと言うのよ」
なるほど。
モデルさんは、雑誌の写真とかの人かと思ってたわ。
色々あるのね。
「そのランウェイモデルさんに付き添うのですか?」
たぶんそういうことなんじゃないかな?
「えぇ。他の事務所のランウェイモデルさんたちと合同で、合宿しながらのオーディションって感じで開催されるのよ。そこで他の事務所のランウェイモデルさんたちとの違いを見つけて欲しい」
なんか難易度高くなったんですけど?
「ダメでも怒らないでくださいね?」
「そんなことで怒らないわよ。もし何かがあれば教えてあげて欲しいのよ」
「わかりました」
うわー。
みんな背が高いのね。
私もかなりデカい方だけど、私より大きい人が何人もいるわよ。
私、普通の人になったみたい。
しっかし、みんな細いわねぇ。
私は骨太だから、どんなに痩せようと思っても、あの細さにはなれないのよね。
いや、モデルとかやらないけど。
うちのモデルさんは…どこかしら?
あっいた。
けど、何だろう。
他の人と雰囲気が違う。
姿勢はキレイよね?
他の人も姿勢はキレイ。
でも何かがダメだと言っている。
うちのモデルと他の人の違い。
………たぶん角度ね。
うちのモデルさんたちに近づいて、2つ角度を修正してもらった。
肩が内側に入っているので、3度ほど胸を開くようにしてもらうこと。
もうひとつは、他の人よりも視線が10度ほど下がっていること。
たぶん落選が続いたことでの精神的なモノの影響だろう。
視線を10度ほど上げてもらう。
うん、全然さっきまでと印象がかわった。
あとは、歩いてる時の違いも見たい。
うわ、色々と細かいわね。
歩幅につま先の向く角度。
その時の腰の角度に肩の角度。
パリコレの映像も確認してきた。
トップと言われてるモデルさんのランウェイの映像も確認してきた。
この中にいるモデルさんの中で、あのモデルさんが1番近い。
うちのモデルさんたちにも、この合宿に入る前に練習はしてもらったけれど、彼女と比べると足りないのがわかる。
どこに足す?いや引く?
難しいわね。
トップの人たちは、どう歩いていた?
つま先はこの角度、歩幅はこのくらい。
膝の角度はこれで、視線はあのあたり。
腰と肩はこの角度ね。
うん、これなら大丈夫なんじゃない?
私は無意識に歩き回っていたみたいだ。
「ちょっとあなた?」
肩を掴まれて、自分が話しかけられていたことに気づいた。
「えっと?私ですか?」
「そうよ。あなたどこの事務所のモデル?」
はっ?
モデルではないけど?
「あのモデルではないです」
「はっ!?あんな完璧にキャットウォークしておいて!?モデルじゃないですって!?」
「あのキャットウォークとは?」
「はぁ!?キャットウォークも知らずに、キャットウォークしてたって言うの?」
そんなこと言われても…
「なんかすみません」
謝るしかないじゃない。
「なんでこんなところにいるのよ!?」
「彼女たちの付き添いです」
うちのモデルさんたちを示す。
「カンナギエージェントの人なの?あなたもモデルやってみないかしら?」
はっ!?私がモデル?
イヤイヤイヤイヤ…無理でしょ。
「あっいえ、すみません。お断りさせていただきます」
「えぇ!?どうしてよ!?あなた身長もあるしキャットウォークも完璧なのよ!?」
目立ちたくないんだってば。
「ストーカー被害に遭ったので、目立つことはしたくないので、お断りさせていただきます」
もう一度、否の返答をする。
「あー、そうなのね?ならあなただってわからなければどうかしら?」
なんでそこまでして、私をモデルにしようとするのかしら?
「どうと言われましても…」
「さっきのあなたのキャットウォークが、私のデザインにピッタリなのよ」
って、えっ!?
デザイナーさん?
有名な人なの?
私、そういうの全然わからないからなぁ。
合宿に来てるみなさんにしたら、私ってば最悪なのでは?
デザイナーさんの誘いを断ったってことでしょ!?
やっちゃったかしら?
でも私には、モデルなんてムリですよ?
「申し訳ございません。やはりお断りさせてください」
「そう、しかたないわね。それならあなたが、事務所のモデルにキャットウォーク仕込んで仕上げなさい。わかったわね?」
私がモデルをやるよりも、その方がいいに決まってる。
「承知しました」
合宿中に、うちのモデルさんたちには輝夜の鬼とか言われながら、角度調整を行なってキャットウォーク仕込んだわよ。
3人とも完璧。
見事、オーディションに合格した。
やり遂げたわよ、私。
社長に合宿の報告をしたら、
「やっぱり、輝夜に任せて正解だったわね。なんならモデルもやればよかったじゃない」
と言われて、全力で拒否した。
「嫌ですよ。目立ちたくないですから」
「輝夜だってわからなければいいんじゃないの?」
なんで、社長もあのデザイナーと同じこと言うのかしら?
見る人が見ればバレるでしょうよ?
「あっ、双子の身長の件なんだけど、きらりが魔力で身長3センチ上乗せすることにしたわ」
「はっ?魔力で身長上乗せ!?」
「詳しいことはよくわかんないけど、魔力が多いとそんなことも出来るんですってよ」
ちょっと意味がわからないですけど?
「だから、あなたも魔力で別の顔になればモデルしてもいいんじゃない?」
そんな簡単に言われても…
そもそもモデルやりたいって言ったことないと思うんだけど?
やりたそうに見えてた?
「輝夜はモデルとか向いてると思うわよ?」
「どうしてですか?」
「んー?私のギフトの適性判定が、そう言ってるのよねぇ」
まさかのギフト判定だった。
「とりあえず、きらりに魔力で身長上乗せ見せてもらいなさい。もしやる気があるなら、理織に魔力で見た目変えるやり方聞きなさい」
「えーと?」
「返事は?」
「…はい」
理結さんの後押しもありモデルとしてやってみることにした。
まさかモデルをやることになるとは、思いもしなかった。
顔を変え、芸名で私とはわからないように活動するのを条件とした。
モデルとかムリだと思うんですけどね?
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。