錬金鍛治師〜咲夜
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嬉しいです(^o^)
アクヤお兄ちゃんとハクヤお兄ちゃんとカグヤお姉ちゃんと相談して、引っ越しすることにした。
神凪の敷地内にいれば、
認識阻害の魔導具がなくても大丈夫だろうし、
何より家賃もかからない。
ファミリータイプのマンションに4人でもいいし、
1人ずつでもいいと言われたので、1人ずつ暮らしてみることにした。
今までずっと実家で暮らしてたから、1人の時間を楽しんでみたい。
それに今日から、みんなバラバラの仕事になる。
ずっと一緒にいたから変な感じだけどね。
「あの、おはようございます。今日からよろしくお願いします」
理音さんの工房が私の職場になる。
「おはよう。よろしくね。
あとオレの方が歳下みたいだから、
敬語とかいらないし、
もっとフランクで大丈夫だよ」
そう言われても、いきなりは難しい。
「あの、はい」
返事するので精一杯なのよ。
理音さんは、あー、と頭をかいて、
「徐々にで、いーからさ」
私はコクリと頷いた。
「じゃあ、とりあえず工房の中を案内するね」
理音さんが、素材の場所や計量器具などを教えてくれた。
鍛治師の工房だけれど、錬金鍛治師には炉などは必要ない。
だから実は工房とかなくてもいいんだけどね、と理音さんが笑う。
「うちはさ、親父と爺様が鍛治師なんだよね。
だけどオレは錬金鍛治師で鋼を扱うことが出来なかった。
劣等感がすごかったよ。
一時期は何をしててもつまらなかったな」
でも、今の理音さんからは、そんなこと微塵も感じられない。
劣等感か…
なんかすごくわかるかも。
武器が作れるかもと鋼の採掘して、
いざやってみたら、武器どころかクギって…
あの時の惨めな感情は忘れられない。
「でも、理音さん楽しそうですよね?」
「んっ?楽しいよ?色んなものを作れるようになったら楽しくなったよ。現金だけどね」
そう言って笑う理音さんを羨ましく思うのはなぜなんだろう?
「さてと、咲夜さんにもその楽しさ味わってもらいたいけど、
現状も見ておきたいから鋼の錬金からやってもらってもいいかな?」
「えっ?鋼ですか?」
「うん」
「あの、クギしか出来ませんけど…」
「うん、それでいいよ?」
いいの?
「わかりました」
「その作業台使って、それ咲夜さん用だから」
えっ?これ私のなの?
「他の工房の人のでは?」
「んっ?あ、他に人いないんだよ」
えっ?1人で作業してるってこと?
「あっ、ごめん。男と2人とか嫌だよな?気がつかなくてごめん。
今からでも暇そうなばぁちゃんとかに来てもらおう」
えっ?違う。
そんなこと思ってなかった。
「あの大丈夫です、から!」
「でも眉間にチカラ入ってたけど…」
…?みけん…?えっ?シワよってた!?うそよね?
「あの、1人で作業してたのかなって思ったので…」
「あーうん。他にミスリルとか加工出来る人見つからなくてね」
もしかして、私、責任重大!?
理音さんが鋼の塊を作業台に置いてくれた。
私は久しぶりの錬金鍛治に緊張を隠せない。
だってクギよ?クギしか作れなかったのよ?
スーハースーハー深呼吸してたら、
「失敗したっていいんだから、そんな緊張しなくても」
と、理音さんに笑われた。
そんなこと言われても…ねぇ?
「久しぶりなので…」
「ずっと錬金鍛治やってなかったんだ?」
「はい、クギを量産してもしかたないので…」
クギを量産って…とまた笑われた。
理音さんは笑い上戸?
クギがたくさんあっても使い道がないのよね。
せめてナイフだったら、まだ使い道あったかもしれないけれど。
さっき見せてもらった理音さんの鋼のナイフは私のクギとは全然違ってキレイだった。
私もあんなナイフを錬金できたらいいのに。
そんなことを思いながら、錬金魔法陣を展開して、その上に鋼の塊を置いた。
私のギフトは錬金魔法陣だから、錬金する時は魔法陣を使う。
理音さんはどうなんだろう?
錬金魔法陣に魔力を流し錬金する。
「あれ?」
クギじゃ、ない?
「ナイフ作ったの?」
「いえ、いつも通りに錬金しただけなのですが」
なんでナイフできたのかな?
「あっ、クギじゃなくて、
理音さんみたいに、ナイフが出来たらいいなと思いました」
「あー、なるほど?錬金ってさ。
結構イメージも大事だったりするんだよ」
どういうこと?
首を傾げた私に、
「咲夜さんは、いつも錬金する時に、またクギが出来ちゃうって思ってなかった?」
確かに、またクギかもって思ってたかも。
「えっ!?それが原因?だからいつもクギしか出来なかった!?」
ホントに?
えぇ!?そんなことなの!?
「試しに鋼で長剣のイメージで錬金してみて?オレは剣を作れなかったけど」
理音さんが出来ないのに私が出来るはずが…
ってこれもイメージに繋がっちゃうのかな?
「長剣ですね?やってみます」
長剣のイメージで錬金する。
あれ?剣の形状だけど、これは…
「短剣だね」
「長剣をイメージしたのに…」
「これが錬金鍛治師の鋼での作成の限界なのかもね」
オレは短剣も出来なかったけどなーって笑ってる。
どうして笑えるの?
強がってる風には見えない。
「さて、次はミスリルで長剣を作ってみようか!」
「ミスリル、ですか?」
「ミスリルの加工はしたことある?」
「ないです。って言うか、見るのも初めてです」
なので、錬金するとか怖いですけど?
失敗したらどのくらい弁償でしょうか?
「はい、これがミスリルね。
この量でだいたい長剣1本出来ると思うよ」
これがミスリル?
青?水色?っぽい銀色っぽい色合いをしている。
すごくキレイね。初めて見た。
「失敗しそうで怖いです」
「んっ?大丈夫だよ。失敗しても繰り返しミスリル使えるし、
そもそも神凪にあるダンジョンで、採掘出来るからいくらでも使えるよ?」
はい!?
ミスリルを採掘できる?
プライベートダンジョンで?
ホントに?
「だから、気軽に錬金試してみて」
その言葉に背中を押されて、挑戦してみることにする。
錬金魔法陣を展開して、ミスリルを置く。
長剣をイメージして、魔力を流す。
いつもよりも強く光った。
すごく光ったみたいだったけど。
出来たのかな?
「やっぱりね!錬金鍛治師はファンタジー素材と相性がいいね」
理音さんが言う通り、目の前には長剣が出来上がっていた。
「えっ?ホントに長剣?私が作ったんですか?」
「そうだよ?やったね」
「はい、嬉しいです」
嬉しい。
素直に嬉しい。
だって剣だよ?実用に足りるかはわかんないけど、クギしか作れなかったのよ?
すごいわ!
「あの、理音さん。聞いてもいいですか?」
「何?」
「あの、私はギフトが錬金魔法陣なので、
魔法陣で錬金するのですが、
理音さんはどうやって錬金しますか?」
「んっ?オレのギフトも錬金魔法陣だから、
魔法陣使って錬金するよ?」
あれ?職業もギフトも同じ?
そんなことってあるのかな?
もしかして…
「錬金鍛治師のギフトは、錬金魔法陣がセットなのでしょうか?」
違うのかな?
「どうだろう?オレ以外の錬金鍛治師は咲夜さんが初めてだからなぁ」
私も自分以外は理音さんしか知らないわ。
けれど、ミスリルから長剣が作れた。
出来なかった事が出来た。
それだけで楽しくなってきたのは、現金かな?
理音さんが、魔法陣について色々教えてくれるって言ってくれたのでお願いしたの。
うん、理音さんの工房で働いて行けそう。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
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