リジェネルとチェッキン〜ギルマス
リジェネルとチェッキンと言う魔導具の登録が無事に終わった。
最初に対応した受付が、書類と実物を見た途端、ギルドマスター室に駆け込んできた。
つまり、私の執務室なんだが。
ギルドでは、クエストの受付、報告、報酬の受け渡し、素材の買取、相談事、もちろんギルド登録も行なっている。
それと、魔導具や魔法薬などのレシピ登録も業務の内容になっている。
レシピの登録は、特許制度と似たものとなっているが、こちらの方が登録の簡素化がされている。
ギルドに魔導具や魔法薬の新規登録の書類を提出することで、開発者として登録される。
第三者が情報を購入し、それで商売などをする場合には、使用料や売上の一部、契約時に決めたパーセンテージが開発者の手に渡る。
このリジェネルとチェッキンは、ギルドにとって、ひいては国にとって、重要な魔導具となることが、登録した時点で決定付けされていた。
私はそう判断した。
魔力増加のためには、魔力を枯渇しなければならない。
今は、ただ放出するだけ。
しかし、これからは放出した魔力を魔石にチャージし、再利用ができるようになる。
それに伴い、魔力を使い切ったため、使用出来なくなって捨てるしかなかった空の魔石が再利用できるようになる。
しかも、魔石に属性まで設定してくれる魔導具である。
足りない属性の魔石を選択して作ることができる。画期的すぎる。
ギルドとしては、一家に1台必需品としたいくらいだ。
自分の魔力で魔石が作成でき、ギルドに売ればお金になる。
生活が少し豊かになる可能性がある。
ギルドは、魔石が手に入れば、安定したエネルギー源の確保。
輸入に頼らない自国でのエネルギー自給率を上げることができる。
この魔導具が大量になければ、一台あたりの値段が高額になることは目に見えている。
それでは普及し難い。
だが、この開発者は国で大量製作したらいいと言う。
安価で取引されれば、開発者の手に入る金額は少なくなる。
しかし、それで問題ないと言う。
娘が、魔力を放出するだけなのはもったいないから、魔石に入れられないかとお願いされただけだからと。
すごい発明なのに、開発者の彼は困った顔をしていた。
娘の願いを叶えただけだから、ギルドで利用価値があるなら使用したらいいと。
契約時条件で、問題ないからと。
ありがたいことだと思う。
国の魔導具開発製作部署が忙しくなるのか、魔導具師を募集して、新しく事業として立ち上げるのか。
上層部に判断を仰ごうではないか。




