それは家族なの?〜理理
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リオがスキルオーブ作ろうか?って言うから、冗談で病院の経営者に相応しい人を探せるスキルが欲しいって言ったら、魔導具が出来てきた。
えっ!?ホントに?
検索ワード入力?どこに?えっ?魔力流して念じる?
検索された人にマーカーが見えるようになるの?
えっ?試してみていい?
どうしよう?
あっ、錬金術師!
理人兄さんとお父さんとリオにマーカー出た!すごい!
検索ワードは何個でもいいの?
明日とりあえず学校でやってみよう。
「おはよー栞」
高校に入ってから出来た唯一のリノの友達である、姫宮栞に声をかけた。
栞もリノと同じ外部受験組、それもあったのと3年間クラスが同じだったのもあって、気づいたらよく2人で話すようになっていた。
「おはよーリノ」
栞は席から私を見上げて、笑って視線を自分の手の中の紙に戻した。
「どうしたの?」
リノは栞の隣の自分の席に座りながら聞いた。
「あーこれ、どうしようかと思って」
見せてくれた紙は、進路希望のプリントだった。
「あれ?リノと同じ大学行くんじゃなかったっけ?」
「あーうん、それはそうなんだけど、学部変更しようかなって」
んっ?学部変えたら、医者になれないんじゃないの?
「医者にならないの?」
栞は視線を左右に揺らしてから、きいてくれる?と問いかけてきた。
もちろん聞くに決まってるよね。
リノが頷くと、栞は一度息を吐いてから言葉も吐き出した。
「うちってさ、親も兄も姉もみんな医者なのは言ったことあるよね?」
それは聞いた。
すごいなって思ったもん。
だから、栞に頷いて見せた。
「みんなね、職業がDoctorなんだよね。家族全員がDoctorで当たり前だと思ってる。でも私はさ、職業Doctorじゃなかったんだよ」
栞の話は、ダンジョンに入って栞の職業がDoctorじゃないと分かった途端、なんの職業かも聞いてもらえなかったこと。
Doctorじゃないなら、家族じゃないと言われたこと。
その日から家族全員からいないものとして扱われ出したこと。
それまで末っ子で溺愛されていたのに、突然の変わりように何がなんだがわからなくて、怖かったこと。
ずっと職業がDoctorじゃないことに引け目をもっていたこと。
Doctorの職業じゃなくても、医者になれば認めてもらえるかもしれないと思ったこと。
ここまで勉強頑張ってきたけど、本当は医者になりたいわけじゃないことに気がついたこと。
本当は別のことをやりたいこと。
リノは栞の話を聞いて、怒りが湧き上がっていた。
職業だけで何を判断してるんだ?
ってか、その話が本当なら栞の家族は栞の職業知らないんじゃないの?
何よそれ!?
信じられないんだけど!!!
そんなの家族って言わなくない!?
「リノは家族に職業とかで何か言われたことある?」
「いや、特にないけど。うちみんな職業バラバラだし」
「そうなんだ」
「聞いていいかわかんないけど、栞の職業ってなんなの?」
Doctorじゃないんでしょ?
「あのね、病院マイスターって言うの」
病院マイスター?
「それってどんな職業?」
マイスターって、名人とか巨匠とかって意味じゃなかった?
病院の巨匠?どういうこと?
「なんかね、病院をより良くするための知識とかが備わってるみたい?」
んっ?それってさ?
「病院の経営とかってこと?」
「なのかな?はっきりしたことはまだよくわからなくて、でも経営はやってみたいと思ってる」
これはもしかして、リノの探してた人材なのでは!?
「それで大学は学部を経営とかそっちに変更しようとしてるの?」
「変かな?たぶん親に言ったら反対される」
なら、家出て神凪に来ちゃったらいんじゃないのかな?
「栞、リノは将来、開業医として街に病院を作りたい」
「えっ!?大学病院とかで働くんじゃないの?」
「そりゃ、何年かは働かなくちゃダメかもだけど、早めに開業したいんだ。ずっと一緒に仕事の出来る、病院の経営任せられる人を探してた。それが栞ならとても嬉しい。一緒にやらない?」
「やりたい!…でも親が…」
「姫宮から出ちゃったら?神凪には支援プログラムがあるよ。小学生から高校生までのやる気のある孤児の子達が、何人もいるよ。大学だって大丈夫だよ。稼ぐ方法はいくらでもあるよ」
リノはニッと笑って、今日帰りに神凪に行って話してみない?
ちょっと強引だけど、1番いい気がした。
「あー、りのねえがお友達連れてきたー」
わーい。すごーい。って、栞を連れて帰宅したら、リオに喜ばれた。なんで?
それよりもまずは、栞のこと話したい。
「リオ、お母さんいるかな?」
呼んでくるねーとたぶん走って呼びに行った。
たぶんリオ的には全速力なんだと思う。
めっちゃ遅いけど。
「妹さん?」
クスクス笑う栞に聞かれて、
「下の妹だよ」
「あれ?何人兄妹だっけ?」
「兄と妹2人の4人兄妹だよ」
「そっか、うちは兄2人と姉1人の4人兄妹だけど、私はカウントされてないのかも」
なんて悲しいことを言うのよ。
でも、聞いた話からだとあり得そうで、軽い感じでそんなことないよ、とは言えない。
「りのねえ、ママすぐ来るって、リビングにいてって」
「ありがとう、リオはお部屋戻る?」
「りお、工房に行ってくる」
「気をつけてね、危ないことしちゃダメよ?」
「はいです」
リオは家を出て工房へと向かった。
「工房?」
「あーあの子、魔導錬金術師なのよ。魔導具作ったり色々やるのよ」
ほんっとに、色々やらかすのよね。
「えっ!?小学生よね?」
「うん、2年生かな?」
「に!?それで魔導具つくるの?」
作るのよー、嬉々として作るのよー。
「すっごい作るよ、楽しそうだからいいけどね」
栞が驚いているところに、お母さんが来た。
「いらっしゃい、ゆっくりしていってね」
ジュース出していなくなろうとしないで、待って!
「お母さん待って、相談ある」
お母さんは、ん?ってクビを傾げた。
「相談はお母さんでいいの?理芳兄さんとかがよければ、呼ぶけど」
あー、確かに理芳おじさんも必要かもだけど、
「とりあえずお母さん聞いてくれる?」
「わかったわ、座りましょう。紹介してもらえるかな?」
だよね、忘れてたわけじゃないからね?
「学校の友達で、姫宮栞ちゃんだよ」
リノがそう言うと、栞が、
「初めまして姫宮栞です。よろしくお願いします」
「しおりちゃんね、よろしくね」
こういうときにふんわり笑えるお母さんってすごいよね。
リノにはムリだなぁ。
リノは、お母さんに栞の置かれている状況と、将来病院を開業するときの相棒になってもらいたいことを話した。
「なるほどね、やっぱり理芳兄さん案件ね!でも大丈夫よ、悪いようにはしないわ。将来理理の面倒みてくれるのでしょ?神凪でがっつり囲わせてもらうわ。しばらくは今まで通りの生活しててもらえる?早めになんとかするから」
「栞、大丈夫?」
栞を置いてけぼりにお母さん話し進めるから固まっちゃったじゃない。
サビたおもちゃみたいに、ギィーって音しそうな感じで頷いたけど、ホントに大丈夫?
「しおりちゃんは、ご家族と縁切れるのは望む?姫宮の籍から抜けるのは嫌かしら?」
あーそういうことも頭に入れとかないとダメなのね。
どうなんだろう?
「あの家とは、関わりにならなくていいのなら、関わりたくないです。ずっと家族になりたかったけど、ムリだとわかってましたし、私は家族だと思われてないし、家政婦みたいな扱いでした。だからこそ、食べることには困らなかった部分もありますが…」
家のこと、栞がやってたの?
全員Doctorで金持ちなんじゃないの?
うちでさえメイドいるのに?
「栞…もしかしてみんなの言動とか何かに残してたりしない?」
リノたちなら、すぐにレコーディングするけど、生活魔法持ってなかったらレコーディングはできないよね?
「あ、ある。ボイスレコーダー?ICレコーダー?とスマホの動画あるかも」
「しおりちゃん、それ貸してもらえないかしら?」
「はい。あっでもスマホ渡すのはちょっと…」
そりゃそうよね。
「動画見せてもらっていい?こっちで記録するから」
「それなら」
見せてもらった動画は、酷かった。
なんであんなこと言ったり出来たりするんだろう?
なんで医者なのに、自分の娘を傷つけるの?
信じられない。
「お母さん、レコーディングも持っていって」
「わかったわ、それらも渡して、縁切りの件も伝えて兄さんになんとかしてもらうわ。今日は晩ご飯食べていきなさいね?」
お母さんはそう言って、家を飛び出して行った。
理芳おじさんどこにいるか知ってるの?
「リノ?ホントに任せてしまっていいのかな?」
「大丈夫大丈夫!なんとかしてくれるから!」
なんとかなるよね。
いつもなんとかしてくれるもん。
お読みいただきありがとうございます!
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トーヤのテンションがあがります(笑)




