コトワリノハネのこれから〜遥翔
「リナは高校はどうするんだ?」
15歳の中3に聞いてみる。
「リナは、リリやハルの行った高校に行こうかと思ってるけど?」
あーそうなんだ?
「リナは大学行かないのか?」
理律が聞く。
「えっ?行かないけど?リノ姉みたいに勉強できないし」
うん、知ってるけど。
「連理さんたちは、何にも言わないのか?」
「ん?別に何か言われたことはないけど」
自主性に任せる感じか?
「そうか」
「リリとハルは大学行くの?」
「いや、俺たちは行かないよ。探索者1本で行くつもり」
俺と理律はそうする予定だ。
リナが膨れた。
「ズルい。リナだけ置いてけぼりになる」
やっぱりそう言うよな。
「学校休みの日は、一緒にダンジョン行けるだろ?」
「でもリリとハルは毎日潜るんでしょ!?リナも高校行かないで一緒にダンジョン行く」
言うと思ったぜ。
「ダメだ」
理律が怒る。
「ダメだ、高校だけは出ておけ。俺たちも行って良かったと思ってる」
俺は理律の言葉に頷く。
リナも本気で行かないと言ったわけではないのだろう。
俯いて小さく頷く。
「別にパーティ解散するわけじゃないんだ。なっ?」
俺はリナの頭を撫でながらそう言う。
「けどリナ、それじゃなくても足手まといなのに、またさらに足手まといになっちゃう」
「足手まといなんて思ったことねぇよ?」
俺の言葉に、リナは首を振る。
なんでだよ。
「確かにリナは攻撃力は少ないけど、それ以外で俺たちをたくさん助けてくれてるぞ?」
「だな。リナのエンチャントはすげぇんだぞ?お前あんまわかってねぇだろ?」
リナは首を傾げてる。
こりゃ、本当にわかってねぇな。
「兄貴のミスリル剣の威力がすげぇから、リナから見たらバフなくても大丈夫なんじゃない?とか思ってるかも知れないけど、全然違うからな?バフありとなしじゃ。魔力の属性付与もかかりかたが全然ちがうんだよ」
「そうだな。体力消費軽減とか魔力消費軽減とかは段違いに違うな。リナいない時の体力の減りは驚くくらい早いぞ」
「そうなの?」
俺と理律は、思いっきり頷く。
「わかった。高校はちゃんと行く。でもあんまりおいていかれたくない」
「わかってる。俺たちはリナのいない時は攻略じゃなくて、ダンジョンでの訓練に時間をあてるつもりだ」
「訓練?」
「俺なら、このミスリル剣で色んな属性を付与出来るようにとかな。やっぱり火属性が付与しやすいからな。他の属性も同じように付与出来るように」
ホントになんで、火属性以外は微妙なんだろうな?理律は。
「俺なら、ヘイト管理や身体強化の使い方とかだな」
リナは、頷いてから、
「学校には、ダンジョンに行かない人も行く人もいるよね?」
「だな、俺たちの学年は行かない人の方が多かったかな?」
「普通の高校生ってこんな感じなんだなーって思ったよな?」
「バイトとか彼女とかの話題ばっかりだったな」
「リリとハルは彼女いなかったの?」
「あーそれきいちゃうの?」
「いるわけねぇじゃん。リノじゃねぇけど、みんな同じに見えんだよ。それなのに彼女とか無理だろ?」
「あーなら、リナも同じにみえるのかもねぇ」
あっ、なんか希望の芽を摘んじまったか?
「いや、ほらイケメンとかいるかもしれねぇじゃん?」
しらねぇけど。
「いないでしょ?リリやハルよりイケメン見たことないもん」
はっ!?
お前は何を言ってるんだ?
「リナだってモテただろ?」
「リナめんどくさいから、リナにはリリとかハルがいるからって、態度してたから。もちろん言ったことはないよ?言質は取らせたりしないけどね」
俺と理律は顔を見合わせてしまった。
「もし高校でもなんかあったら、リナにはリリとハルがいるって言ってもいいかな?あーでも彼女さんに悪いか」
バカだな。
「彼女なんかいねぇから、困ったら俺でも理律でも使え」
「そうだな。困ることはないからそうしろ」
「いいの?」
俺と理律が頷くと、ありがとうと笑った。
リナがいつか、俺たちのどちらかを選ぶかもしれないし、どちらも選ばないかもしれない。
けれど、俺と理律はリナの決定を待つことにしてるんだ。
小さな頃からずっと大切な女の子だからな。
もうずっと前からそう決めてる。
今はまだ、右手には俺を左手に理律を繋いでいるけれどな。




