神凪一族緊急招集10
「エリクサーが出来ました!」
理人の一言と、テーブルに乗せた小瓶のためにいきなり場が沸騰した。
「「はぁぁぁ!?」」
「「「エリクサー!?!?!?」」」
何人かの声が重なる。
「どういうことだ!?ティールブルーの階層追加は順番を決めてやってるのにエリクサーの素材の階層無断で作ったのかっ!」
理芳の怒鳴り声に近い声が響いた。
あっそう思っちゃうよね。
「違う違う。リオのインベントリから出てきた」
そう、これは私の素性?をバラすための緊急招集でもある。
「理織のインベントリ!?なんでそんなもん入ってんだ!?」
そりゃそうよね、なんでドラゴンのウロコとかインベントリに入ってんのかってなるわよねぇ。
「笑理は知ってるけど、理織はね、転生者なのよ」
連理、普通にバラしたね。
一瞬みんな固まったわよ?
「「「「転生者!?!?」」」」
「転生者って、あのアニメとかラノベとかで流行り?の?」
「そんな感じかしらね?理織、名前と職業のところのステータスのスクショ見せてあげなさい」
「はいです」
私は言われた通り、スクショを見せる。
名前 神凪理織(リオール ディレナ)
職業 魔導錬金術師、ダンジョンサブマスター(ティールブルー)、(大賢者)
「笑理、これは本当か?」
「本当よ、3歳の最初の時からあったから」
「なんで言わないんだ?」
「なんで言わなきゃダメなのよ?理織一生懸命隠してたのに」
それは言わないでーー。
バレてるのに隠せてると思ってた子供の浅知恵が恥ずかしいから。
「なんで今になって、バラしたんだ?」
そりゃそうよね。私だってバラすつもりはなかったし。
「私たち家族は知ってたけど、秋くんとのこともあったし、ダンジョンサブマスターとかのこともあったから、隠し事は無しにした方がいいと思って、バレる様に誘導したのよ」
連理がそう言う。
「転生の話をするってことは、前世?が関係してるわけだ?インベントリ」
理結に冷静に分析される。
「そうなの!理織すごいのよ」
?何が?
「もう1人の理織は、リオールって言うのだけれど、異世界の大賢者だったのね。リオール時代のインベントリの中身とかスキルを全部そのまま理織に引き継いでるのよ!すごくない!?」
「「「異世界!?」」」
「あっ、だからドラゴンのウロコとかもってんのか!」
てへって笑ってみる。
「他にも珍しいもの持ってんのか?」
ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトは工房のマジックボックスの棚に各1トンくらいあること。
インベントリにヒヒイロカネ、ニジイロカネ、アオイロカネ、コガネイロカネがそれぞれ500キロ以上あること。
異世界の貨幣が大量にあること。
魔物の素材も大量にあること。
魔法や魔法陣の研究資料も大量にあること。
このインベントリの異世界産の中身をどうしたらいいか、相談したいこと。
銅貨を試しにインゴットにしてみたこと。
銅100%のインゴットは使い道があるか、それとも売れるか?
処分する方法を相談したいこと。
1度にたくさんの話をしたからか、みんな口を開けて固まっていた。
大丈夫?
「ツッコミどころ満載だが、他にあるか?あるなら吐き出しとけ」
連理を見たら頷いたので、
「リオール時代からの亜空間がダンジョンリオランドになりました。このダンジョンのダンジョンマスターもやってます」
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」」」
「ティールブルーのダンジョンサブマスターだけじゃなくて、リオランド?のダンジョンマスターだ!?」
「リオランドの方が先だけど」
「おまえはどこまで、非常識なんだ!?」
理芳の言い方!
えぇー?
私のせいじゃなくない?
不可抗力だもん。
「ちょっと兄さん?その言い方は聞き捨てならないわね。神凪コーポレーションもたくさんあやかってるのに、その言い方はひどくない?最近のヒット商品はほぼ理織絡みじゃないのよっ!」
「そうだぜ、親父。その言い方はない」
「あぁ、だな。すまん、理織」
連理の剣幕と理結の冷静なツッコミに理芳が謝ってくれた。
「はいです」
常識はないけど非常識ではないはず!
それに、ダンジョンマスターは不可抗力だったんだもん。
「あれ?ティールブルーの鉱脈とかって…?」
あっ気づいちゃいました?
「そう、りおのインベントリにあったカケラを育ててもらったやつ」
「やっぱりかー」
「魔力の実とかの加工する実はリオランドで収穫したやつ。それをティールブルーで育てたらそのまま食べるのに変化した」
「そういうことか」
なんとなく納得してくれた?
「で、理人?」
「えっ?俺?」
「そう、お前だ。エリクサーどうすんだ?」
「あーどうしよう?複写はできるけど?」
「効果なんだっけ?死んでなければ大丈夫的なヤツだったか?」
「そんな感じ?」
「怪我にも病気にも効くのか?」
「死んでなければすべてを正常に戻すってかいてあるけど、神眼的にはどうかな?」
「死んでなければ大丈夫だけど、遺伝子レベルでの病気とかだとダメみたい」
「遺伝子レベルなら、リノのスキャンとオールクリアで治らないかな?」
あー治りそうね。
エリクサーと理理がいれば、大丈夫そうね?
「でも、インベントリに素材あるって言っても限りがあるだろ?」
えっ?何言ってんの?
「リオランドにドラゴンもフェンリルもクリスタルディアもいるから問題ないでしょ?剥がれたウロコとか抜けた牙とかツノとかもらえばいいんだもん」
ねっ?って理人を見たら、すごい顔して耳を押さえてた。
なんで?
「「「「「ドラゴンがいるーーーーー!?」」」」」
ぎゃーーーうるさーーーい!!
あれ?さっき話さなかったっけ?
『話してませんよ?リオランドは実の話しかしてません』
『うそーー?』
後日、みんなでリオランドに行って、ドラゴン6体に遭遇して腰を抜かした人がでたのは、また別の話である。
シルク爺が、豪快に笑っていたことだけはお知らせしておきます。




