秘密2〜連理
理織の秘密が増えている気がするのよね。
3歳の時に、職業とギフトをもらってステータスが表示されたあの日から、理織の秘密はどんどん増えている気がする。
神眼を持つ笑理から、理織が異世界からの転生者であることが告げられた。
思いっきり動揺してしまったわよ。
だって転生者って?異世界って?ってなるでしょ?
でも、理織に自覚があるかないかわからないとも言われてた。
その時に、理人が、リオール?含めて理織なんだから、それがリオってことでいーだろ?うちの可愛い末姫にはかわりねぇよって言った言葉で、すとんと腑に落ちた感じでそうだよねって納得したのよね。
いつからか、前世を自覚しているようで、ステータスも隠蔽やら偽装やらを施してることは笑理から聞いていた。
ものすごい量のスキルを持っていることも。
だから、それからいくら理織が魔法のアイデアとか出してきても、リオールの記憶なんだなって、納得しちゃったのよね。
だって、利になることばかり次々とやらかしてくれるんだもの。
スキルポイントの存在促してくれたり、魔物のお肉食べられることも教えてくれたり、そんなことも段々たのしくなっちゃったんだもの。
そんな理織を見てるのが。
でも、転生者とは別のことで秘密が増えてる気がするのよね、最近。
もう4年も頑張ってるからそろそろバレてること教えてあげて、他の秘密も話せるなら話してもらった方がいいかなって、家族で話し合った結果、婚約者になった秋くんも含めてね。
2人は婚約したら、なぜかダンジョンマスターとダンジョンサブマスターとかになっちゃったし。
秘密はない方がいいと思うのよ。
「理織、みんなでケーキ食べるわよ」
「はいです、食べるです、ケーキです!!」
いやだから、どれだけケーキとか好きなのよ。
ダッシュで来たわ。
いや、ダッシュというには、だいぶ遅いんだけど。
運動神経いまいちよね、この子。
誰に似たのかしら?
「みんないるです、シュウもいるです。みんなでケーキです?」
「そうよ」
「食べていいです?」
って、もうフォーク持ってるじゃないのよ。
「いいわよ、いただきますしてね」
「いただきます」
理織が口いっぱいにケーキを頬張る。
わー、美味しそうな顔ね。
でもごめんね?
「リオール、美味しい?」
「はい、美味しいで、す…?」
理織の表情が目を見開いて固まった。
うぅ、罪悪感が半端ないんですけど。
「…な、んで…?」
「ごめんね、理織が一生懸命隠してたのはわかってたんだけど、もう隠し事なしにしない?」
私がそう言うと、
「いつから、知ってた、の?」
絞り出すように理織が聞いてきた。
「んー?理織が3歳で職業とギフトもらった時から?」
事実を教えると、
「えっ?最初から?みんな知ってたの?」
「知ってたよー」
理哉、軽いわね。
「じゃあなんで?気味、わるくないの?」
「どうして?」
「だって、理織とは別の人の記憶あるんだよ?」
「んー?でもママたちリオールも含めて理織だと思ってるんだもの、気味悪いわけないじゃない?」
理織の目が信じられないくらい見開いている。
目こぼれるよ?
「色んな魔法もリオールの記憶から作ったりしてるんだろうなって思ってたし」
理さんも頼りにしてるんだよって笑ってる。
いや、父親としては、頼りにされた方が?
「理織はそれで、楽しそうだったしね」
たまに悪い顔してたけど。
「前世の記憶あるなんて言ったら、気味悪がられて、捨てられると思った。魔力多くて魔女だってまた捨てられると思った。だから絶対言ったらダメなんだと思ってた」
理織がボロボロと大粒の涙をこぼしている。
ちょっと今聞き捨てならないこと理織言ったわよね?
「アレドくん?説明してくれるかしら?」
「アレドのことも、知ってるの?」
鼻をぐずぐずさせながら、理織が聞いてくる。
「知ってるわよ、理織たまに声に出して話しかけてたもの」
「えっ!?」
そんなバカな!?みたいな顔しないでくれる?
「リオール様、だから言ったではないですか。ご家族に対してはリオール様ポンコツですよって。連理様、皆様はじめまして。アレドと申します」
あら、アレドくん、いい声ね。
「アレドくんでいいかしら?」
「お好きなようにお呼びください」
「まず、アレドくんはなんなのかしら?」
まずはそこでしょ?
みんな、うんうんと頷いてる。
「私は、リオール様の記憶の保管箱、あるいは記録の保管箱ですね。名前はアカシックレコードからアレドと付けていただきました」
「なるほど?リオールの記憶とか記録とかはわかるわけね?」
「そういうことになります」
それなら、聞きたいことがたくさんあるわよ?
「リオールのこと教えてもらってもいいかしら?」
「よろしいですか?リオール様?」
理織は、コクリと頷いた。
そろそろ泣き止みなさい?




