神凪一族緊急招集9
「フェニックスのハナヒメ。俺が契約した」
虹樹が赤いひよこを見せてそう言った。
フェニックス!?ひよこじゃないの?
あっ、ホントだ。
鑑定したら、フェニックスになってる。
「どこにいた?」
理芳の問いに虹樹は、
「新宿ダンジョンの18階層にあった宝箱の中、タマゴだった」
「タマゴ!?」
「そう、タマゴ。19階層に降りたら孵化した」
「ハナヒメだぇ。よろしゅうだぇ」
「「「喋んのかっ!!!」」」
孵化したばっかりの割には、魔力量すごくない?
『アレドどう思う?』
『確かに、孵化したてには思えませんね』
はっ?元々25階層のボスモンスターだった!?
30年くらい前に倒された時に、散ってダンジョン内に拡散した自分の魔力を回収してきた!?
だから、魔力量すごいんだね。
『納得ですね』
「魔力戻ってきただぇ、もう少し大きくなれるだぇ。コウキが小さい方が可愛いって言うから小さいままでいるだぇ」
虹樹よ。
どんだけ小さくて可愛いもの好きなの?
「で、愛理、ハナヒメの足環っつうかアンクレットつうか、作ってくれねぇ?俺の魔力で作った魔宝石も使って」
「花のモチーフがいいだぇ」
「いいわよ。ハナヒメちゃん大きさ変えられるなら、自動サイズ調整つけた方がいいわよね?金属でいいのかな?」
「金属はイヤだぇ」
「そうなの?なら革とかかな?後で色とか素材とか相談させてね」
「わかっただぇ」
「虹樹たちの報告は、終わりか?」
大樹が頷いたのを確認して、理芳が続けた。
「理編が結婚することになった。お相手はこれから神凪コーポレーションの専属モデルもお願いする仁科果梨さんだ」
果梨が、よろしくお願いしますと頭を下げている。
果梨は1度、うちに来ている。
理理に病気の因子を消してもらうためだ。
なんか食べ続けて、それを吐く。でまた食べてみたいなことを繰り返しちゃう病気なんだって。
理編のお嫁さんになるからって、紬が連れてきたの。
理理が、スキャンしてオールクリアで病気の元を無くしたから、もう食べて吐くなんてことはしなくなると思う。よかったね。
果梨は美人さんだ。
背も高くて、細くてスタイル抜群だね。
リオールにはなかった、たわわなお胸もお持ちだ。
羨ましくないんだからっ。
理織だって大人になれば、きっと。
あっ、でも連理もあまりお胸は大きくないね。
うん、気にしない。
気にしないったら気にしないもん。
でね、果梨はティルイーリオのメインモデルとかをやるみたい。
でも、ティルイーリオってショップはあるけど、ほとんど口コミで広がっててあの売り上げなのに、大々的に宣伝するの?
生産間に合うの?
世界樹の葉っぱ足りる?
ダイエットの実もじゃない?足りる?
その辺は紬とか理芳が調整してね?
あと、紬が手掛ける女性向け探索者の装備なんかのモデルもやるんだって。
神凪コーポレーション、次は芸能部門を立ち上げるそうだ。
私と双子にも、子供用装備のモデルになって欲しいって話がきたけど、私は目立ちたくないからパスしたけど、双子はやるんだって!
頑張ってね。
可愛いから人気出ちゃうんじゃない?
『リオール様もやってみたらよろしいのでは?』
『いやよ、魔法とか魔導具作ってる方が楽しいもの』
『わかってますよ、言ってみただけです』
で次は、何の話?
「ダンジョンティールブルーをどんなダンジョンにしたらいいか相談したい」
あっ階層をどうするかってこと?
「なんかおいしいダンジョン?」
じゃなかったかしら?
もっと細かいことだって怒られたわ。
「増やす階層には、聖水の泉を常備したい」
えっ?どの階層にも、聖水の泉を作るの?
「なんで?」
「予想だが、聖水を飲んだ魔物の肉が美味くなる気がしてる」
なんですって?
「作ろう!」
魔物の肉は美味しくなるならそれは、作らないとダメでしょ?
おいしくなーれ!
「裏庭空間だったところはそのまま地上階としたらどうだろうか?」
今あるものはいじらないってことね。
いーんじゃないかしらね?
「増やした各階層に精霊も散らばってもらったほうがいいかと思うんだが」
「泉あるし、それがいいと思う」
地上階、精霊多すぎよね。
「地下1階層は、水田にしたい」
って、言われた。けど?
「水田って何?」
まずそこからわからないんだけど。
「お米の畑?みたいなものかな?」
「えっ?お米を作るの?」
ダンジョンの方が、美味しくなりそうだからだって。
「ダンジョンって季節とか設定できるのか?」
「設定できる、って出てる」
そうなの?シュウがそう言ってるから、できるんだろうけど。
「それなら、季節があって、太陽もあるといいよな、ダンジョンって明るいけど太陽ってないよな?」
気にしたことなかったわ。
確かに太陽は見たことないかも。
草原エリアとかでも、太陽はないわよね?
外と同じ環境で米を育てると?なるほど。
「わかった」
って、シュウが言ってるし。
えっ?シュウ出来るの!?
「オプションに太陽もある」
えっ!?ホントに!?
「でも、外と同じ時間かける必要はないだろ?ダンジョンなんだし、時間は早回しにならないか?」
「無茶言わないでよ」
って、私が言ったのにシュウが
「時間もいじれるっぽい」
時間の流れも操作できるの?
「ホントに!?」
ダンジョンマスターってすごいのね。
サブマスターの項目には、太陽すらないわよ?
リオランドでもできるのかしら?ダンジョンマスターだけど…まぁ、あそこはシルク爺たちが自由に過ごしてるから別にいいか。
「管理はどうする?」
「ゴーレムでできるって言ってなかったか?」
そう言えば、そんなことを理が言ってたわね。
「米作りのノウハウをインプットしたゴーレムを配置すればいいと思うよ」
「どうやって、インプットする?」
「理織、魔法でがんばって?」
ムチャブリキターーー。
「米作りのノウハウは?とりあえずそれデータでください?魔法は後で考えるです」
理に手伝わせなくちゃね!
そんなゴーレムが水田管理するよ。
「何体いる?」
管理するのにどれだけ必要なの?
「後ででいいか?作業内容と照らし合わせる」
あーそうよね。
「はいです」
「地下2階層は?」
「野菜畑と果樹園と川だな」
「川?」
「川作るなら山が必要みたいだ」
シュウがダンジョンマスターの権限駆使して色々探してくれてる。
「年中、美味しい野菜とか果物食べるにはどうしたらいいかしら?」
一年中美味しいトマトが食べたいとかそういうこと?
「えっ?どういうこと?」
違うのかしら?
「ここは季節関係なく美味しい野菜が年中食べられるようにしたいなぁって」
「そんなことできる?」
「それもできるっぽい」
ダンジョンマスター優秀だな。
そんな要望も問題ないの?マジですかー。
「育てる野菜と果物の種類は後で教えて」
2階層も農業のノウハウをインプットしたゴーレムが管理するらしい。
「各階層の責任者決めて?ゴーレムと契約して、意思疎通できるようにして、ゴーレムの要望きいてね」
ってか、待って。
1階層分ずつにして、そんなにたくさんムリよーーーー。




