暑い日でも学校はあります
夏休みはあっという間に終わってしまった。
宿題もちゃんと終わらせたわよ。
毎日あまりにも暑いので、ひんやりバージョンのハンカチを魔法学校の人数分複写して
理芳からみんなに渡してもらった。
理芳は、なぜかため息ついてたけど、なんで?
実際にどこでいくらで売られているのかは知らないけれど、私が作ったものだし私が複写したものだからいいよね?
そう言ったら、渋々だが納得してくれた。
なんで渋々なのかしら?
学校でその理由がわかったわ。
なんで孤児のくせにそんな魔導具もってるんだ、とか?
お前にはもったいないからおれによこせ、とか?
『フェリーラザのクソ冒険者にいたわよね、こんなやつら』
『いましたね、リオール様ちょっと威圧して涼しくして差し上げたらいかがです?』
珍しくアレドが怒ってるわ。
『それもいいわね』
そう思ってたら、シュウが、
「お前らは親がいるんだから親におねだりすればいいじゃねぇか、魔導具くらい買ってくれんだろ?いつも自慢してんじゃねぇか。あれ買ってもらった、これ買ってもらったってさ。親のいない俺らからキョウカツとかカツアゲとかしてんじゃねぇよ」
おーい、シュウくん?
それは煽りすぎではないかな?
言われた方のクソガキは真っ赤になって怒ってる、のかしら?怖くないけど。
同じようなことが他の学年や中学でもあったらしい。
理芳が渋い顔するわけだわ。
7歳組はともかく、他の子はギルドに登録もしてる探索者なんだから、孤児だろうがなんだろうが買えるくらいの稼ぎはある。
とやかく言われる筋合いはない。
『何をどう勘違いして自分の方が、上位だと思ってるのかしらね?』
『ですよね、あんなスズメの涙ほどもない魔力しかないですしねぇ』
ホントにね…
2桁しか魔力総量ないのもいるしねぇ。
3桁前半の魔力量で何をイキがってるのかしらね?
『そうよねぇ、結界に触っただけで吹っ飛んでいきそうよねぇ』
『飛びますね、蘭様や嵐様の100万分の1も魔力ないですからねぇ』
『下手したら死ぬわね』
『そんな力量もわからないくらいの雑魚ってことなんですよねぇ』
雑魚って。
間違いないけど。
『子供がこんなクソガキなのは、親が悪いんじゃないかとおもうんだけどねぇ』
『そうでしょうね、魔力増やす対策とってもいないですしね』
『親も微々たる魔力なのかもね』
『あっ、リオール様、秋様から威圧が』
うそ!?ダメよ?
みんな気絶しちゃうから!!!
「シュウ?」
呼んだ瞬間に、するりと威圧が消えた。
よかった。
「何?リオリ」
ちょっと来い来いって、手招きして小声で言った。
「威圧はダメだよ。みんな気絶するから」
「威圧でてた?」
「あぶなかったよ?」
「ごめん」
「気をつけようね?」
私は頷くシュウの頭を撫でる。
うん、髪サラサラだね。
シュウの顔がうっすら赤いのは気づかなかったことにする。
うん、可愛いね。
私は、クソガキを振り返って冷たい笑顔で言い放った。
「欲しいものは親に買ってもらうか、自分で稼ぐかしてね?人様から取ろうとしてんじゃないわよ?次やったら、どうなるかわからないわよ?気をつけてね?」
クソ冒険者も、この笑顔でだいたいおとなしくなったんだけど。
ガキんちょに通用するかしらね?
直接の脅しの方がよかったかしら?
ねぇ?




