夏休みの予定は?
日本の夏は暑いのね。蒸し蒸しね。
えっ東京は特に暑い?
夜も熱帯夜で寝苦しい!?
えー?夜はぐっすり眠りたいけど?
あっ、ひんやりバージョンのハンカチで自分包んだらよくない?
温度設定できる腕輪の方がいいかしら?
エアコンがあるって?
省エネよ省エネ。
エコよエコ。
魔力はたくさんあまってるしね。
って言っても、最初に少し魔力流すだけだけど。
この世界、学生は夏休みが1ヶ月と少しあるらしい。
フェリーラザには学生自体が少なかったしね。貴族とかくらいしか行かないものだったものね。
全然違うのよね。
お休みってことは、たくさん遊べるのかと思ったけど、学校から宿題は出るらしい。
私達は午前中に宿題を終わらせて、午後は集中的に魔法学校の授業をやるんだって。
長期休みの時しかできないこととか。
それはそれで楽しみね。
もちろん毎日じゃないわよ?
お休みも必要だし、遊ぶのも子供には必要なのよ?
シュウ以外の子は魔力の実を食べ終わっている。
だいたい400万〜800万くらいの魔力量になってる。
すでに規格外よね。
シュウはあと5粒くらいかな?
さらに神凪と同じ規格外を目指してるのよね。
ホントにそれでいいの?
いいらしい。
今日の魔法学校の授業は、8歳以上の子は神凪ダンジョンと一ダンジョンで実践形式での授業なんだって。
薬草や毒草の見分け方。
鉱石の採掘の方法。
スライムの倒し方。
なんかをやるんだって、ズルい。
ダンジョンズルい。
メイド隊が引率するらしい。
戦うメイドだーーーって、中学生男子が盛り上がっていた。
ラノベに出てくる?
メイド服のスカートの中から暗器取り出す?
三節棍で戦う?あーそうなの?
よくわからないけどね。
でも想像以上に神凪のメイド隊すごいよ?
驚いたらいいよね。
で、7歳の私達、6人。
私、輝理、煌理、シュウ、蘭、嵐。
風水嵐はシュウ達とは別の施設からやってきた。
格闘家の職業と一撃必中ダメージ倍増とか言うなんかすごいギフトの持ち主だ。
やはり、探索者の両親を亡くしており、親戚をたらい回しにされ、施設に放り込まれたらしい。ひどいよね。
こちらの世界にも優しくない人が多くて悲しい。
小学校は、私達と同じところに転校済みだ。
運動が好きな輝理と嵐は、昼休みとかに走り回ったり競争したり、よく対決している。
他にも走り回ってる子はいるけど、体力も魔力も段違いだから、相手にならないのよね。
それでも、なんとか食いついていく男子が2人ほどいるね。
頑張るねぇ。
運動のできない私はすごいなーって見てるだけよ、もちろん。
シュウも体動かすの好きなんだから混ざったらいいのに、私の側にいて算数を教えろってノート開いてる。
3桁の計算に苦戦してる。
頭脳の実が育ったら効果確認して、みんなに配ろうかしら?
煌理と蘭は、ならんでぼんやりしてることが多い。
あそこの空間だけ時間の流れ違うと思うの。
絶対にゆったり流れてるわよ。
あの2人にしか見えないものでもあるのだろうか?
だって、2人で何かを指差してくすくす笑ってるのよ。
別に何もないと思うのよね、私。
で、そんな6人で何をするのかしら?
「魔力操作の1段階上の中級編をやりましょう」
雅羅がそう言って、手のひらに魔力の玉を出してみせた。
魔力操作の1段階上の操作?
手のひらに魔力の玉を出す?うん、これは普通にみんなできるね。
えっ?この玉を浮かせるの?
やったことないわね。
魔法に変換した後なら、自分から切り離して飛ばせるけど、変換前に魔力の玉のまま切り離して浮かせる?
えっ!?輝理と煌理なんでできてるの?
「どうやってやったの?」
「「えいってやったらできたよ?」」
えー!?何この子達思いっきり感覚派の脳筋タイプね。
あっ、2人とも美作だったわ。
そりゃ脳筋だわ。
さて?魔力浮かせるってなんだろう?
「出来たんだぞ!」
「俺も!」
「僕もできたよー」
えっ!?なんで私だけできないの?
ちょっと自信無くすわね。
「理織、考えすぎよ。みんながやってるのを魔力視と鑑定で見てごらんなさいな」
言われた通りに見てみる。
うそでしょー!?
魔法使ってるじゃないの。
「魔法つかっていーの!?」
「ダメだなんていってないわよ?」
えぇーーー。
それでいいならできるわよ。
魔力の玉に浮遊をかける。
手のひらから浮いた。
「はい、みんなできたわね。それじゃあ次は今浮かせてる魔力の玉の形を変えてみましょう」
浮いてるけど私の魔力だから、干渉はできるはず。
丸い玉から四角い箱に変える。
うん、これはできたね。
みんなの過程を魔力視と鑑定で観察する。
魔力で型作ってその中に玉はめた?
いやいや、魔力で型作ってる時点ですごくない?
あー手と接触してるから課題とは違う?
じゃあ、風魔法で型作ってはめるのは?それも違う?
ちょっと負けてられないわ。
しっかりイメージするのはどうかしら?
星型をイメージして、魔力に干渉。
あっ、色変わっちゃった。
「理織、色変えるのは次の課題だったんだけど?」
「あっ、ごめんなさい」
やっちゃったわ。
黄色の星をイメージしたら、変わっちゃったのよ。
一回コツがわかればあとはなんとでもなったわ。
デフォルメのウサギとかデフォルメのティルとか。
有名なキャラクターにしてみたら、イメージが甘かったみたいで、不細工なネズミになってしまったわ。
「リオリ、どうやったんだ?」
シュウの魔力玉は、丸のままだ。
「私はイメージをしっかりして、魔力に干渉しただけだよ?」
「魔力に干渉?ってなんだ?」
みんな首傾げてる。
あれ?
雅羅出番ですよーー。
「そうねぇ、今魔力の玉は浮いてるから自分から離れているように見えるけど、自分の魔力だから見えなくても繋がりはあるの。その繋がりがわかれば、干渉…魔力の玉と関わりを持つことができるの」
難しいかしら?雅羅は、問いかける。
「魔力視あったらわかる?」
私には魔力の繋がりが見えてるし、それは魔力視があるからじゃないかな?
違うのかな?
「確かに魔力視があれば楽にできるとは思うけど、なくてもできると思うのよ」
「そうなの?」
「だって自分の魔力よ?自分のなんだから感じれるわよね?」
確かに、自分の魔力くらいはわかるわよね。
『リオール様は、魔力感知もあるので、他の人の魔力もわかりますよね?』
『あーそうよね。どうりでみんなのも感じるわけよね』
私のスキル多すぎて把握しきれてないのよ。
大賢者パックとかも一気に解放されちゃったからね。
あまりの多さに確認するの嫌になっちゃったのよね。
『感知オフにして、自分の魔力確認してみたらどうです?』
『そうね、やってみるわ』
魔力感知オフ。
『うわー、普段ものすごい魔力感じながら生活してたのねー。なんか視界がクリア?キラキラがないわー。なんか静かすぎて落ち着かないわ』
『そんなにですか?』
『そんなによ』
『ご自分の魔力わかります?』
私は手のひらから浮いている魔力玉から自分の魔力を感じることを確認した。
『うん、自分の魔力はわかるわね、手のひらから魔力玉まで細い魔力で繋がってるのもわかるわ』
これがわかるなら、干渉はできる。
赤くしてみる。
青くしてみる。
うん、できる。大丈夫ね。
魔力感知オンに戻そう。
おーキラキラしてるわ。
みんなも感じられたみたい。元々魔力制御と魔力操作はやってるから、感覚がわかれば早いわよね。
「みんな、よくできました。これは魔力制御の訓練にもなるから時間がある時には、やってみてね。形を変えたり色を変えたり、次回はまた違うことをやってもらうわね」
雅羅はそう言って今日の授業の終わりを告げた。
『魔法のこと改めて教えてもらうのも、新しい発見があって面白いわね』
『ですね、リオール様は元々知識がある状態でしたから、固定概念が強い気がしますね。もっとあたま柔らかくしましょう』
『そうね、今日は痛感したわね』
なんか疲れたわね。
甘いもの食べたいな。
「ねぇーみんなで家にオヤツ食べに行かない?」
笑顔のみんなとオヤツを食べる。
うん、これはこれで幸せの時間ね。