ままごとではないのよね〜連理
「ママ、相談ある」
「どうしたの?理織」
理織は、理織と双子以外のみんなが魔法学校で、今日から魔力の実を食べ始めたことを伝えてきた。
「そうなのね、相談はそれに関係あるのかしら?」
理織が頷いたので、私はまぁそれしかないわよね、と納得する。
「シュウがね」
「秋…海棠くんかしら?」
最初に理織がなんとかしたいって言った子よね?
「そう、シュウがね、りおと同じだけ長生きしたいって言うの」
私は驚いて目を見開いた。
それって、それってーーー。
ちょっと落ち着いて私。深呼吸よ。ふぅー。
「それでどうしたの?」
「同じだけって魔力100億とかでしょ?そこまで実は買えないってがっかりしてた」
「あーそうよね、理芳兄さん10粒目までは無料で11粒目から1粒目の料金にするって言ってたものね」
「そう、秋は25粒か26粒までは自力でいけそうだけど、後の8粒とか9粒とかは無理だと思う」
「そうね、小学生に払える金額じゃないわよね」
神凪な従業員も20粒までは無理だったものね。
「そうだよね…」
あー、そんなにしょんぼりしないの。
「理織はどうしたいの?」
「…あげたらダメかな?」
まぁ、そう言うわよね。でもね?
「それは、他の子たちはどう思うかしら?」
「………」
わかってはいるのね。
だから相談に来たのね。
「とりあえずパパと海棠くんも一緒にお話ししましょうか」
「理さん、どうしたらいいのかしら?」
「どうって…」
「海棠くん、理織のこと好きなのはバレバレなのよね」
「いやまぁそれはそうだけど」
あっ、理さんも気づいてたのね。
そうよね、バレバレだものね。
「たぶん、理織嬉しかったんだと思うのよ。同じだけ長生きしたいなんて言われて。プロポーズみたいじゃないの」
そこまで考えてはいないだろうけど。
「まだ嫁にはやらないからね」
「わかってるわよ、まだ7歳だからね?そんなところで親バカ発揮しないでよ」
「うちの養子にするとか?」
「そんなの2人とも嫌がるわよ」
「だよね、知ってた」
理さんたら、もう。
「海棠くんにも確認してから、婚約って形にすれば魔力の実あげてもいいと思うのよ」
理さん、何拗ねてるのよ?
「…リオを泣かさない、リオを裏切らない、リオとずっと一緒にいる、のを守れるなら許してやらないこともないかもしれない」
「回りくどいわね」
でもなんかちょっと楽しくなってきちゃったわね。
理織に連れてこられた海棠くんは、部屋に入ったところで、
「こんにちは、海棠秋です」
と、頭を下げた。
「いらっしゃい、海棠くんはちょっとおじさんとお話ししようか」
理さんは、手招きで海棠くんを呼ぶ。
「理織は、ママと一緒に飲み物用意しましょうね」
理織は、理さんと海棠くんの様子が気になるようで、ちらちら視線を送りながら私についてきた。
「心配しなくても大丈夫よ、理織」
「でも…」
「気になる?」
理織はコクリと頷いた。
私は理織の頭を撫でながら、もう一度大丈夫よと、告げた。
飲み物を持って、戻ると理さんは海棠くんのことを、秋と呼んでいた。
あらあらまぁまぁ。
じゃあ、私も。
「はい、飲み物どうぞ、秋くんに理さん」
理織は不思議そうな顔をして、私や理さんを見ている。
「秋はいずれうちの子になるから、もう名前呼びにしたよ」
「養子?」
理織が、違う方向に解釈した。
秋くん固まっちゃったじゃないの。
「なんでそうなるのよ!いずれ理織と結婚するからでしょ?」
「へっ!?そうなの?」
理織は、秋くんに聞いてる。
そこで本人に確認しちゃうんだね?
理織には、それが普通なんだね?
秋くんは、真っ赤になって頷いた。
可愛いわね。
「シュウ、りおとずっと一緒にいてくれるの?」
「俺、リオリとずっと一緒にいる」
「なら、りおもシュウとずっと一緒にいるね」
「うん、ずっと一緒だ」
はー何この、初々しい雰囲気。
こっちが照れちゃうわね。
うーん、可愛いわね。
「2人はまだ子供だから結婚はまだまだ先だけど、婚約という形にはしたいと思う。そうしたら魔力の実を僕たちくらいまでの数は渡せるから」
「パパありがと」
「ありがとうございます」
秋くんは、90度のお辞儀をしている。
理織も嬉しそうだわ。