7歳になりました
幼稚園は入園初日に騒動があった他は、普通の幼児の生活を甘んじて受け入れてたわ。
うん、お絵描きとかお遊戯とかフェリーラザにはなかったわね。
絵のセンスはまるでなかったわ。
そしてなんと、リズム感もなかったわ。
しかも運動神経もいまいちだったんだけど。
あれっ?理織できることある?
なんでスキップもできないのよ?
『いや、驚きましたよね。あのリオール様だけがスキップだと思ってる動きには』
うるさいわよ?
自分でも驚いてるんだから。
『アレド?ひどくない?』
『リオール様ってなんでもそつなくこなすイメージだったのですが、そういえばリオール様時代にはほとんど動いてませんでしたね』
『そうだったかしら?』
ちゃんと討伐とか行ってたわよ?
『テレポートして、フライで浮いて動いてましたよ?』
『あっ、確かに。面倒で椅子ごと浮かせてた記憶があるわね』
だって面倒だったんだもん…
『実は、最強に強かったけれど運動は出来なかったってオチですかね』
『それが理織にも反映されていると?』
リオールのせいだと言うの!?
『だからよく転ぶのでは?』
うわー、嫌なことに気づかされたわ。
どうするのよ、この残念な感じ。
身体強化で補えるのかしら?
小学生になりました。
結局、輝理も煌理も私と同じく家から近くの公立の小学校に通うことにしたみたい。
帰ったら、雅羅が週に3日くらい魔法の使い方を教えてくれることになっている。
もちろん輝理も煌理も一緒にだ。
授業は、国語で文字を覚えるのはおもしろい。
算数は、すでに計算できるのでちょっと退屈。
理科は科学の前段階らしくて、興味深い。
社会はこちらの世界のことを知ることができるのでありがたい。
他の教科は、うん…とりあえずがんばるよ、って感じ。
輝理と煌理は、双子だけど得意なことが違うみたい。
運動の好きな輝理とピアノの上手な煌理。
2人とも普段はちゃんと魔力循環出来てるのに、別のことに夢中になると魔力循環が止まる。
私は意識しないでずっとぶん回してるから、2人の途中で止まる魔力循環がとても気になるんだよね。
他のクラスの子たちは、だいたい魔力がやっと3桁になりました。って人がほとんど。
『みんな5歳にダンジョン入ってるのよね?2年あったら、もっと魔力あっても良さそうじゃない?』
『スキルがまだないとか魔力循環を教えてもらってないとかでは?』
『親が教えるんじゃないの?』
なんのために5歳でダンジョン入ったのよ?
『親も探索者じゃなければ、魔力循環してこなかったのかもしれませんよ?』
『もったいないわよね』
魔力があれば、魔石作れてお小遣い稼ぎも出来るようになるのにね?
『ですね、けどこの小学校にいるってことは、魔法の勉強させる気はないのでしょう?』
『あーそういうことになるのかしらね?』
魔法が使えるのに使わないとか、どうなのかしらね?
『そもそも先生たちも5000前後ですね』
『そんなものなの?神凪は異常ってことね』
『それは異常ですよ、100億こえてるんですよ?』
『輝理と煌理も超えてるしね』
絶対よくわかんないまま、魔力の実食べ続けたわよね。
『でも、クラスにも2人ほど魔力5000超えてる子がいますよ』
『えっ?ほんと?』
魔力視で見渡すと、窓際の1番後ろの男の子と、廊下側の1番後ろの女の子?じゃなかった男の子だったわ。
2人が魔力循環をしている子だった。
『へぇーすごいじゃない?』
窓際の子は、海棠秋、廊下側の子が天木蘭。
2人とも同じ児童養護施設の子みたい。
ってことは、親がいないのかしら?
ちょっと鑑定させてね。
海棠秋
児童養護施設 宿り木で生活している。
両親は探索者だったが、中規模ダンジョンの東京ダンジョンでワイルドウルフの群れに遭遇し命を落とした、と言われているがパーティメンバーによって囮にされ置いていかれた模様。
親戚もいなかったため、宿り木にて生活している。
天木蘭
児童養護施設 宿り木で生活している。
探索者の父親が、中規模ダンジョンの横浜ダンジョンでパーティメンバーが発動させてしまった罠で命を落とした。
母親は、そのことで精神を病んで蘭を殺そうとし、自死したため、宿り木で生活している。
『アレド、2人の背景が思った以上にヘビーだったわ』
『それで、魔力があるのに公立にいるんですね』
『もったいないわね、絶対将来有望じゃない?雅羅の授業受けさせたいわね』




