美味しいだけでもよかったんだけど?
『理織、大変よ!』
ティルはいつも大変じゃないかしら?
『どうしたの?』
『この間の果樹の樹の実がね、あーもうちょっと来て!』
私はティルの後をついて、果樹の樹が植えてあるという場所に行った。
『キャル?何かあったの?』
『あったなの』
あったんだ?今度は何?
『理織、それぞれの樹の実を鑑定してみて』
『鑑定すればいいの?わかったわ』
鑑定して、鼻を吹きそうになったわ。
果樹の樹の実(黒)
魔力の実。
毎日食べると、魔力総量がプラスされる。
1.2.4.8.16.32.64.128…となるが、食べない日があると次に食べた時は1からに戻る。
プラスされた魔力総量は、食べなくなってもそのまま減ることはない。
果樹の樹の実(赤)
火の実。
火属性の魔法スキルがスキルツリーに生えるため、取得しやすくなる。
毎日食べると、取得効率がアップする。
果樹の樹の実(青)
水の実。
火と同様。
果樹の樹の実(緑)
風の実。
火と同様。
果樹の樹の実(黄)
土の実。
火と同様。
果樹の樹の実(白)
ダイエットの実。
食べた日は、摂取カロリーより消費カロリーが必ず増える。
毎日食べると徐々にゆっくりと痩せていく。
1日1個が限界量なので、早く痩せるために2個食べても意味はない。
※すべての実は、加工されると効果が消えるため、注意が必要。
色々ツッコミどころ満載の鑑定結果なわけですが…。
『アレド?元々の果樹にはこんな効果なかったわよね?』
『ありませんでしたね。世界樹の影響…ではないですよね、リオランドにもありますしね。精霊と聖水と緑の手の影響でしょうか?』
『あー向こうに無いものが、こっちには色々あるのよね』
『味は変化してませんか?』
バフついたけど、不味くなってたら育てた意味がないじゃない。
『1個ずつ食べてみてもいいかしら?』
『もちろん』
『はいなの』
私は黒の魔力の実から食べてみることにした。
うん、味は美味しいままね。
いやむしろ美味しくなってる?
『さらに美味しいわ!これでスイーツ作ってもらいたいわ』
『そしたら効果なくなりますよ?』
『私的には美味しいだけで問題ないんだけど』
『家族会議か緊急招集案件だと思いますよ?』
『えっ?そうなる?』
『なりますね』
『理織?どう?』
『美味しいわよーすっごく!サンプルで渡したのより美味しいわ』
『この変な効果は?』
『あーこれは、他のみんなに相談するけど、ティルもキャルも、問題ないからこのまま育ててもらっていいかな?』
『りょうかいよ』
『はいなの』
『もしかしたら、増やすことになったらまた苗もってくるわね』
『大丈夫よ?こっちで勝手に増やせるから』
『そうなの?』
『はいなの』
『じゃあ、その時はお願いするわね』
『アレド、なんでリオランドの方は効果ないのかしらね?ダンジョン産だからなにかしらの効果があってもいいはずなのに』
『確かにそうですね、忘れてましたけどダンジョンでしたね、あそこ』
『いくら裏庭は、聖水で育ってるとはいえ腑に落ちないのよね』
『もう一度鑑定してみたらいかがですか?』
そうね、何かわかればいいわよね。
鑑定
果樹の樹の実(黒)
魔力の実。
加工時にのみ、魔力プラス300のバフの効果がある。
そのまま食べても、バフはつかない。
効果はその日1日。
えっ!?
『アレド、魔力の実は加工時のみ、魔力プラス300のバフの効果がつくって』
『はっ?』
『他も似た感じの結果ね。白の実だけが、痩せないけど太らないって効果みたい』
『でもダンジョン産は放出難しいですよね?』
『ティルとキャルだけでも、リオランドで収穫お願いするのはむりかしらね?』
『それなら、ダンジョン産のは向こうの子に収穫してもらって、リオール様が受け取ってティルちゃんに渡す、とかでよろしいのでは?』
『で、ティルが別の場所で育ててることにすればいいかしら?』
『その方がティルちゃんたちの負担は少ないと思いますよ?』
あーそこまで考えてなかったわ。
もしかして働かせすぎてるかしら?
『裏庭の精霊たちのこと、働かせすぎてるかしら?』
『好きでやってますけど、あまり増やすのもいかがなものかと』
そうよね。
もし、みんなに相談して両方有用ってなるなら、ダンジョンの子とティルにお願いしよう。
そうしよう。




