スキルの樹の実
『理織、助けてー』
いきなりティルからSOSの念話が飛んできた。
なにごと!?
『リオール様、裏庭へ転移しましょう』
そうね。
転移。
私はイヤーカフなくても飛べるのよ。
『どうなってるのよ!?ティル』
裏庭に飛んだら、暴風が巻き起こっていた。
『理織!あの子が魔力暴走起こしてるの。契約してあげて』
『契約したら収まるの?』
『リオール様、後で説明します。とりあえず契約を。この辺り一体吹き飛ぶ可能性があります』
なんですってぇ!?
『おいで、私と契約しよう。落ち着いて!大丈夫だから。ね?』
すこし風がおさまった?
少しだけ近づいてみる。
『名前はある?』
首は横に振られる。
『私が付けていいのかな?』
今度は縦に振られる。
『あなたの名前は、キャル、よ』
キャルは光って、契約は成立した。
途端に暴風は止んだ。
『キャル、これからよろしくね』
『はいなの』
『ティル、妹よ仲良くしてね』
『了解よー』
『ところでなんで、魔力暴走なんて?』
『あーこの子、スキルの樹の実食べちゃったのよ』
あー、リオランドから持ってきた実ね。
『スキルの樹、育ったの?』
『めっちゃ育ってるわよ』
そうなの?渡して放置してたわね。
『キャルはつまみ食いしたの?』
『りおりの役にたちたかったなの』
んっ?どういうこと?
『理織、キャルね、理織と契約したいけど自分がなんの精霊かもわからないし、なんの能力もないから契約して欲しいって言えなかったみたい』
えー?
『能力なんてどうでもいーのに』
『でもティルねーさま、たくさんお仕事してるなの。キャルは何もできないなの』
『それでスキルの樹の実でスキルあったら、役に立てると思ったの?』
『はいなの』
キャルはしょんぼりしてしまった。
ホントにそんなこと関係ないんだけどなぁ。
『リオール様、キャルちゃん鑑定してもらえますか?』
アレドよ、キャルもちゃんでいくのかい?
まぁいいけど。
キャル鑑定。
スキルの樹の精霊。
はっ!?なんでよ?
『キャル、スキルの樹の精霊になってるわよ?』
『へっ?』
『そうなの?やったじゃない!キャル』
『じゃあ、キャルにはスキルの樹の管理任せてもいいかしら?』
『はいなの』
満面の笑みのキャルが光って、進化した。
えっ!?進化した?
『理織今のなに?』
『キャル、中位精霊に進化したわ』
『中位精霊なの?』
『そうよ、滅多なことでは消滅しなくなったから安心しなさい』
今なんか怖いこと聞いた気がするわね。
『ティル?消滅って何?』
『あー下位精霊はね、存在が不安定になると消えてしまうのよ。下位でも契約してれば別だけど。キャルは契約もして中位にもなったからもう大丈夫って話よ』
そうなのね。
知らなかったわ。
あーそうか、だから契約したがる子が多いのね。
なるほどね。
これはみんなに伝えても大丈夫かな?
ティルは、お願いって言ってきたのでまた契約しに誰かに来てもらわないとね。
『あっ、キャルがスキルの樹の精霊ってことは、実をみんなに渡しても大丈夫よね?』
『そうですね、リオール様のやらかしではなくなりますね』
いや、私やらかしてないよね?
『納得できないけどまぁいいわ。キャル、スキルの実少しもらっていっていいかしら?』
『はいなの』
『ありがとうね』
指で頭を撫でたら、気持ち良さそうにうっとりしてた。
ティルが羨ましそうにしてたので、同じく撫で回しておいた。
うん、かわいいね。




