新宿ダンジョン1階層〜理人
やっぱり広いな。
新宿ダンジョンの2階層のマップ作るぞって連れてこられた。
前から行くぞとは言われてたけどさ。
高校卒業したんだから、時間あんだろ?って言われたら、そりゃあるよ。
神凪ダンジョンか一ダンジョンか工房か、どれかにしか行ってないし。
でもさーまだ神凪ダンジョンだって、やっと3階層までのマップ作り終えたばっかなのにさ。
各階層に転移装置あるんだよ、今のところ。
って話をしたら、新宿ダンジョン行きが本格化してしまったんだよ。
口は災いの元なんだなぁ。
余計な事は言っちゃいかんなぁ。
虹樹兄ちゃんと琉樹兄ちゃんが護衛だから、心配はないけど、新宿ダンジョンなんて入り口入ってすこーし探索したくらいしか来たことないんだよ。
なのに、2階層に行かなきゃダメなんだぞ?
メンタルが大丈夫じゃないんだけどなぁ。
「1階層からマップ作るのか?」
「せっかくだから作るよ。通ったところの半径1キロくらいは作れるからね」
「そんなに行けんのか」
「でも、神凪ダンジョンでさえ真ん中、右、左で最低3回は行かないと完成しないからね。なのに、新宿ダンジョンだよ?終わる気がしないよ」
「この1階層は、真っ直ぐ行ったところに転移装置がある。とりあえず行ってみるだろ?」
「せっかくだから行くよ」
「まっ、階段はその向こうだからどっちにしても通るけどな」
なんだよ、そうなのかよ。
「2人はいつも15階層に飛ぶの?」
「だな、18階層に直接行ければいんだけどな」
「だから期待してるぜ?」
「2階層にもあれば、各階層にある可能性が高くなるもんね」
神凪ダンジョンはさ、小規模ダンジョンでダンジョンのランクも最深部でもCランクが精々だろうって今のところ思われてる。
だってまだ誰も最深部まで行ってないから。
ちなみに1階層はGランクの魔物しかでないからね。
でもさ、新宿ダンジョンは大規模ダンジョンで1階層の時点でEランクの魔物が出るわけだよ。
最深部だとAランクの魔物か、その上のSランクの魔物が出るだろうと予想が立つよね。
これまでの50年ほどの間の攻略最深部が28階層なんだって。
それも30年くらい前だってさ。
爺さんたちの世代の話だよね。
で、現在の攻略最深部が22階層だって。
虹樹兄ちゃんたちは、それでも5番目くらいにつけてるらしいよ。
だから、安心してマップ作ってるよ。
少し先の開けた場所に転移装置の色のマーカーが現れた。
神凪ダンジョンと魔物や薬草のマーカーの色は同じだから、転移装置も同じ色だと思うけど。
うん、同じだね。
神凪ダンジョンは、人がいないから転移装置に群がる人に若干引く。
『これでもしタッチパネルあっても、操作できなくない?アナどう思う?』
あっ俺、念話取ったのさ。
人がいたら、アナと話せないしな。
『リヒト、タッチパネル見つけました』
『マジで?』
『転移装置の上に浮いてます』
えっ!?
『あっホントだ。あれどうやって使うんだ?』
『魔力操作で、魔力伸ばして掴めないです?』
『って言うか、なんで虹樹兄ちゃんたち見えないんだ?魔力視とか取ってもらった方がいいのか?』
『もしくは、今目に魔力集めて見えるかどうか確認してからでも問題ないですよ?』
『だな』
しっかしなんであんな所に。
「虹樹兄ちゃん、タッチパネルあった」
俺は小声で告げた。
2人とも、ぐいんって顔だけをこっちに向けた。
ちょっと怖いんだけど?
「どこだ!?」
ちゃんと小声なのすごいよね。
叫ばれたらどうしようかと思った。
「今、目に魔力集められる?」
「問題ない」
「転移装置の上見て」
「「あっっ!!!」」
マジかよーってなるよね。
わかるよ、その気持ち。
「こんだけ人いたら転移装置に登るわけにいかねぇしな」
いやいや、登らないでね?
「魔力操作で、魔力伸ばして掴めないかな?どう思う?」
「理人はできそうか?」
ちょっとやってみるねと、魔力を練って手みたいに伸ばしてみる。
タッチパネルに少し触っただけで、伸ばした魔力を戻して大丈夫だと感じた。
戻すと、手元にタッチパネルがやってきた。
「兄ちゃんたち俺とタッチパネル他の人から隠して」
するっと動いたのがわからないくらいの動作で俺とタッチパネルを人の視線からさえぎってくれた。
すごいな。
タッチパネルに魔力をながす。
俺はどの階層もクリアしてないから、どこにも飛べないが、タッチパネルの情報を見る限りは、各階層に転移装置がありそうだ。
俺たちは、無言で頷き、タッチパネルへの魔力供給を止める。
すると、またタッチパネルは転移装置の上へと戻った。
「とりあえず、理人は転移装置に魔力登録してこい」
2階層で見つかれば、帰りは一気に飛んで来れるからな。
俺は魔力を登録して、2階層への階段を目指した。




