下位互換〜理
あのイヤーカフの魔導具を鑑定しただけでは、石の有無で魔法陣で自体がまったく別物であることに気づけなかった。
転移の魔法陣とテレポートの魔法陣だった。
もしかして、両方のスキルをもっているのかな?
転移スキルで1億とか必要なのに、テレポートは転移の上位互換じゃないのか?
そんなスキルを4歳児が取得できるだろうか?
創造魔法で作ったのか。
そっちの方が現実的だな。
よくやらかすからね、リオは。
「連理さん、リオは本当に4歳だろうか?」
転移の魔導具の魔法陣をもらって、解析したら改めてそんなことを思ってしまったよ。
生まれてから4年しか経ってないのは、間違いないんだけどね。
「いつも驚かされるわよね。転移の魔導具だなんて」
「それもそうなんだけど、神凪用の魔宝石のついた魔導具の魔法陣を解析してみたら、どうもあえて性能を落として作ったようなんだよね」
連理さんは、怪訝顔をして、
「どういうこと?」
たぶんだけど…と前置きをしてから、
「元々はどこにでも飛べる仕様の魔法陣だったっぽいんだよね、それを魔宝石の場所に飛ぶように性能落としたんだと思う」
「なんでそんなことを?」
「たぶん売り出す方の理由と同じなんじゃないかな?どこにでも飛べるのはマズイと思ったってことだと思う」
「でも、うちの人たちはそんなことしないと思うけど」
「そりゃ、そうだろうけど、もし盗まれたら?落として誰かに拾われたら?なくしたら?そんなことも想定してあるんだと思う」
「でも理織は、4歳よ?」
うん、間違いなく4歳なんだけどね…
「わかってるよ、でも普通の4歳は魔導具とか作らないと思うよ」
「それは…」
連理さんだって、リオが普通じゃないことくらいわかってるよね?
基本的には、ただの4歳児なんだけどね。
「まぁ、どんな子でも僕たちの可愛い娘なのは変わらないけどね」
連理さんはそうねとクスッと笑った。
「で、魔宝石をつけて、魔力流して使用者登録して盗まれても他人が使えないように考えたんじゃないかと思うんだ」
「確かにあの子の作るものって、安く誰でも使える廉価版と性能の高い高価なものと出てくるわね。空調の腕輪とかもそうよね」
「そうだね、4歳だけどとても色々なことを考えてるんじゃないかな?」
「舌ったらずで、説明推測するの大変だけれどね」
「あれはあれで、可愛いからいいんだよ」
「それはそうだけど、たまになんか思いついた時に悪い顔するのよね、内緒でなんか作ろうとかするときに」
あーするね。
4歳児の顔ではないね、あの表情は。
「あれ?この間もしてなかったかな?」
「あっ、気づいてた?たぶんスキルオーブの時だったんじゃないかと思うんだけど…」
「えっ?スキルオーブつくったりしないかな?」
「…だいじょうぶ、よね?」
「大丈夫じゃないかもしれないね」
はぁぁぁ、連理さんとため息が被っちゃったよ。
「理人のポーションの件もあるし、チビキャラに付与10個の件もあるし、スキルオーブの件もあるから、みんなを集めた方がいいかな?」
最近、緊急招集ウチからばかりだな。
「理理のギフトが増える件も伝えるべきかしら?」
「なんで増えたからわかってたんだっけ?」
「そこは確認してなかったわね」
「ポーションも売るなら、理芳さんや理結くん案件だね。適正価格もわからないし」
僕はただ工房にこもって、魔導具作ったりしてたいだけなのに、色んなことに時間が溶けていく。
ミスリルやオリハルコンやアダマンタイトでもっと遊びたいのになぁ。




