聖女は週一
「りのねえ、どこいくの?」
私が起きてきたら、理理が出かけるところだった。
月曜日〜金曜日までは学校に通っているのは知っている。
日本は、小学校と中学校は義務教育という制度があり、国民全員が7歳から15歳まで必ず学校に通い勉強するのだという。
なので、大人で文字の読めない人や計算のできない人はいないのだと言う。
すごい国なんだなと、心からそう思うわ。
理理は制服とは違う、白いローブを着ていた。
「ギルドでクエストだよー」
「ぎるど?」
「そう、ダンジョンがあるところだよー」
「だんじょん、りおもいく」
「あー、りおはまだダメかなー」
「いくー」
「うちのダンジョンじゃないから連れて行けないよ」
「うちのだんじょんいく?」
「リノは連れて行けないから、お母さんに聞いて?」
理理逃げたね?連理にも聞くけども。
「りのねえ、だんじょん、たたかう?」
「戦わないよー、ケガした人を治しにいくんだよー」
治癒師なのかな?
鑑定させてもらっちゃおう。
そうそう、初めてダンジョン入ってから1ヶ月くらいたったんだけど、毎日魔力循環して、枯渇してたら1日に100ポイントくらいずつスキルポイント貯まりだしたんだよ。
で、鑑定を取得して、増加5倍を取得したの。
ポイントが貯まると、選択できるスキルも増えて、経験値3倍も取得した。
魔力操作のレベルが3になったら、一回魔力循環したらスキルポイントが3増えるようになった。
どんどんスキルポイントが貯まってるの。
鑑定のレベルも上げたい。
鑑定しても、ポイント増えるしね。
理理鑑定
職業 治癒魔術師
ギフト スキャン
称号 聖女
私の今の鑑定レベルだと見えるのはこれだけ。
って言うか、理理、聖女なの?
すごくない?
聖女って職業じゃないんだね。
職業が聖女の人もいるのかも?
ギフトのスキャンってなんだろう?
『アレドわかる?』
『データを読み取ることをスキャンと言うらしいです。理理様のスキャンはたぶん、負傷者や病人の治すべき箇所を読み取ると言うことなのではないかと』
『なるほど、悪いとこがわかって、治癒の仕方がわかるってことよね?それは聖女って呼ばれちゃうかもね』
玄関から、白ローブの大人の男の人が理理を呼びに来た。
「聖女様、お時間です」
うわー、理理。
すっごい嫌そうな顔してるんですけど。
理理は、頷いてから、私を見た。
「リオ、行ってくるね」
「いてらさい」
私は手を振ってお見送りした。
理理が玄関を出てから、連理に聞いた。
「ママ、りのねえ、せいじょ?」
理人が吹き出してるのが聞こえた。
「理織、理理には言わないであげてね。聖女って呼ばれるの嫌みたいだから」
「あい、せいじょってなに?」
「わからないよね。理理ね、ギルドでケガした人を治すって言ってたでしょ?他の人が治せないケガでも理理は治せるみたいで、周りから聖女様って言われて、違う、治癒魔術師なのにって言っても、誰も聞いてくれないみたいでね。しかも学校がお休みの日にしかギルドに行かないから、その日にケガした人がたくさん集まっちゃうんだって。魔力足りなくなるくらいいるみたいなの」
うわー理理大丈夫なのかしら?
周りの大人にいいように使われてないかしら?
「りのねえ、だいじょぶ?」
フェリーラザにも、聖女って呼ばれてた人いたわよね。
自分のことより、他人のことばかり気にしてて、いつも疲れた顔していた。
あの人はあれで幸せだったのだろうか?
私にはむりだわ。
「理理はね、たぶん大丈夫よ。あの子ね、よくブチ切れるから。理不尽なこと言われたり、されたりしたら、もうギルドに行かないくらいのブチ切れ方だから」
それはそれで大丈夫なのか?と問いたくなるけど。
「で、本当に行かなくなるのよ。ギルドの偉い人とか何度も謝りにきて、治癒に来てくれってお願いに来るのよー。だから大丈夫」
理理すごいな。
私には甘々なお姉ちゃんだからな。
そんな顔しか見たことなかったな。
もしかして、理人と理哉も?
いや、連理も理も?
待て、理一と瑠理もだろうか?
神凪一族、表と裏?の顔全然違う人達の可能性が浮上してきたなぁ。
私にはみんな、甘々な優しい家族だから問題ないけれども。
しかし、理理は称号持ちなんだなー。
称号って、なんかスキルに効果的なもの付くのかしら?
『アレドは、称号の効果みたいの付くかわかる?』
『称号持ちが少なすぎてデータが取れていません』
『そっかー、私にも封印されてるけどあるよね、称号がさー、見られたら困るやつがさー』
あれだけは封印解除しても、絶対隠蔽して偽装しなくちゃダメよ。
「ママ、うちのだんじょんいく」
「理織はまだ行けないのよ」
「どして?いく」
「理織はまだ小さいからむりよー」
「まえいった」
「あれは、職業もらうための特別の一回よ」
「とくべちゅ…」
知ってるよ、知ってたけどね。
でもさ、魔物倒さないとレベル上げられないんだよー。
まだ魔導具作れるわけじゃないし。
この幼女で、どうやったらレベル上げられる?
「そう、特別。もっと大きくなったら行きましょうね?」
「おおきなる、いつ?」
「そうね、背が伸びて、体力がついてたくさん歩けるようになったらかしらねぇ」
「わかた。歩く」
この日から私の日課に散歩が加わったのだった。
体力量増加もしなくちゃなのね。




