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深淵のルシオール  作者: 三木 カイタ
蘇る狂気
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第5話 罪 2

 私が持っていたのは、優秀な才能だけでは無く、類い希なる美貌も持っていた。

 この美貌も才能であり、私はこの才能を充分に生かす事が出来た。


 実際、私が初めて女性を知ったのは十歳の時だった。

 相手は私を拾った女。三十を超える女だったが、この女をうまくコントロール出来れば私の神殿内での立場や待遇が格段に良くなる。それを計算に入れて関係を持った。

 誘ったのは女。誘わせたのは私だ。

 これまでは聖女気取りだった女が、欲望を押さえきれず、年端もいかない少年であった私を誘い、関係を持ったのだ。

 その事実だけで、私の今後の自由の幅が広がった。

 私はただ、泣いて無理矢理関係を求められた純情な少年を演じれば良かったのだ。

 その後、脅迫じみた下策を労せずとも、女は私へ何くれと無く取りはからい、関係も一度だけで済んだ。

 再度必要があれば、女の欲望を刺激してやれば良い。


 その後も、多くの女性と関係を持った。年齢も様々だ。

 愛だの恋だのといった、実にばかばかしい感情とは常に無縁でいられた。

 幼い頃に、人を人として認識できなかった事が影響して、そうした感情が欠落しているのかも知れないが、それで特に困りはしない。愛情を感じている演技は、実にたやすい事だった。

 逆に、愛情を感じない事が、そうした感情に縛られずに済むので、私にとっては大いなる恩恵である。


 女と関係をとる時は、いつも相手に誘わせて、相手に別れさせる。これが、自分にとって一番利益を生ませる方法だ。

 必要になったら、必要な時にだけ利用する。

 金であったり、知識であったり、地位であったり、様々の物を女は進んで提供してくれる。

 実に便利で、おまけに巷にあふれている資産だ。

 

 そして、必要がなくなったら、向こうから別れさせる。こちらが切って捨てると、女はめんどくさい。向こうに別れるきっかけを作る事で、その後の関係も良いまま別れる事が出来る。つまり、その後も再利用しやすくなるのだ。

 「女」とばかり言ってきたが、実はそれが「男」であっても私は一向に構わない。利用価値冴えあれば、性別には拘らない。拘る理由が見いだせない。

 事実、複数の男性貴族とも関係を持っている。



 私は現在は十七歳。

 すでに成人しており、拾われ育ったスラムの神殿を出て、グレンネック本部の事務局副幹事長を任されている。

 とは言っても、たいした身分とは言えない。少なくとも私に見合う身分とは言えない。

 この神殿は、他の神殿のように、特定の個神や、「実り系の神」「水系の神」「戦系の神」「光系の神」などと系統立てて奉じる教会とは違い、神そのものを奉り、信奉していく天界総神殿で、一般受けせず、規模も大きくないのだ。

 これが天界の第一級神、特に太陽神、地母神、美の女神辺りを奉じた神殿であれば、信者や後援者の数も規模も大きく膨らんでくる。

 とは言っても、私の望みは教会の中での成功ではない。当然だ。私は神への信仰などごくわずかにもないのだから。

 私の望みは貴族となり、政治、宮廷社会でのし上がっていく事だ。

 その為に利用できる人物を探している。

 賢く善良で、無害な人間の仮面をかぶって・・・・・・。

 




 そしてついにチャンスが巡ってきた。

 アズロイル公爵からの仕事の依頼が来た。

 神殿とは全く違う種類の仕事の様だが、上手くこなせばその報酬は「騎士」として、貴族の仲間入りを果たす事が出来る。

 土地と恩賞も与えられる。

 アズロイル公爵家の「騎士」となれば、その社会的な地位は無視出来る物ではない。

 私の才覚を持ってすれば、爵位を手に入れるのも夢物語ではなくなるのだ。

 なんとしてもその仕事を完璧にこなし、アズロイル公爵に気に入られなければならない。


 気になるのは仕事の内容だ。どんな仕事でもこなしてみせる自信も覚悟もあるが、なんというか、この仕事の内容は実に奇妙だ。

 奇妙でいて、えらく容易く感じる。

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