第9章 大会の幕開け
王都の大競技場に、国中から集まった若き騎士たちの熱気が満ちていた。開会式を終え、いよいよ大会が始まる。
最初の種目は剣術の個人戦。トーナメント形式で行われ、勝ち残った者が次の段階に進む。リオは予選を順調に勝ち抜き、準決勝まで進出した。
「次の対戦相手は...」
掲示板を見たリオの表情が硬くなる。次の相手は、開会式で一際目を引いていた騎士、アレックス・ブレイブハートだった。王国屈指の名門貴族の息子で、天才と呼ばれる実力者だ。
準決勝の試合、リオとアレックスは互いに一歩も譲らない激しい戦いを繰り広げた。リオの素早い動きとアレックスの力強い攻撃が火花を散らす。
(くっ...このままじゃ...)
リオが苦戦する中、突如として彼の中で何かが覚醒した。
『真実視 Lv2』
その瞬間、リオにはアレックスの動きが手に取るように分かるようになった。次の一手、その次の一手まで。
「これは...!」
リオは驚きつつも、その能力を最大限に活用した。アレックスの動きを先読みし、絶妙のタイミングで反撃する。
「なんだと...!?」
アレックスの驚きの声とともに、リオの剣が決定打を放った。
「勝者、リオ!」
会場が歓声に包まれる。リオは信じられない表情で自分の手を見つめていた。
決勝戦でも、リオはその力を遺憾なく発揮し、見事優勝を果たした。
表彰式で金メダルを首にかけられたとき、リオは複雑な思いに包まれていた。喜びと同時に、自分の力の正体への疑問が膨らんでいく。