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お客様!おかえりはあちらですよ!



――――


 あーあー、桃歌にバレっちまったよ。

 厨房に桃歌たちの注文を伝え、やる事がないからバックワードを拭き掃除していた。

 流石にバイトに入って1か月も経たない俺が紅茶を淹れる事はない。練習は一応しているが……


 俺の仕事は注文をとりに行ったり、皿を片付けたり、掃除したりと主に雑用だ。

 元々ここの店長とは中学の時からの知り合いで『高校に入ったし、うちでバイトしないか?』と誘われて今に至る。

 まぁ、バイトはしようと思っていたし、誘ってくれるなら……っと思って始めたのだが。


「リア充は爆破しろ」


 まぁ、ルフランは喫茶店だからもれなくカップルがやって来る。

 そして、今も目の前で『あーん!』とかイチャイチャしてるバカップルどもがいる。


「店長ー!ルフランに爆竹とか置いてないっすかー?」


「あるわけないだろ。うちを潰すつもりか?」


 店長は中年のダンディな男。因みに独身。

 後は大学生バイトの人が何人かいて、高校生で働いてる人は俺だけだ。


「いやー、流石に手榴弾を投げたら危ないし、爆竹ならまぁ、軽く爆破出来そうだし」


「大切な客を爆破しようと思うな!俺もたまに爆破したくなるが、我慢しているんだ。お前も我慢しろ!」


 そして、店長は桃歌たちが注文した品を出した。が……


「あいつらはパンケーキなんて頼んでないぞ?」


「せっかくお前の可愛い友人が来たんだ。サービスしてやらんとな。勿論、お前の給料から引いておくぞ」


「おいーっ!!勝手に引くんじゃねぇよ!!」




――――



「ったく、とんでもねー店長だよ。労基に訴えてやろうか」


 桃歌たちの品+パンケーキ2皿を乗せたお盆を片手に桃花たちのテーブルに向かった。


『おうおう!後輩ちゃんたちのせいで俺たち酷い目に遭ったんだけどー?』


『ほらここ見てぇ!青タンがができてるよー!』


『そんなこと知らないわよ!あんた達が悪いんでしょ!』


 桃歌や鳥牧さんの知り合い……て訳ではないよな?


「どしたー?痴話喧嘩なら外でやってくれー、他のお客さんに迷惑だぞー」


「神谷くんっ!!」


「痴話喧嘩じゃないわよ!こいつら何度も絡んで来て面倒いのよ!」


「えー、面倒いとか言わないでよー。俺たちはただ2人と仲良くしたかっただけなんだよー」


「それに店員さんのには関係ないだろ!早く仕事に戻れよ!」


 おー、これはどうするかな?

 こんな面倒い案件は店長に任せるのが無難だよな。


「やっぱ、地味な方の子は胸大きいねぇー。何カップなの?」


「おぉー、俺も気になってたとこなんよ」


「…………っっ!!!!」

 

 男たちのいやらしい視線に気づいた鳥牧さんは慌てて真っ赤にして胸元を隠した。

 

「地味子ちゃん、照れた感じで可愛いねぇー!」


「……お客様、大変申し訳ないのですが……」


「えー、今いいとこなんだから邪魔しないでよー!」




「当店では他のお客様に対しての迷惑行為は固く禁じています。ましてや、そんな親父くさいセリフを言うなんて、見た目は若そうにお見えですが、精神年齢はもっと上なのでしょうか?あと、こう見えて店長にバイト代を勝手に天引きされて少し腹が立っておりまして、尚且つ学校帰りのカップルのイチャイチャを見せられて、わたくしは大変イライラしています。お客様方は大変お胸がお好きのように存じられるみたいなので、早くご自宅に帰ってお母様のお胸に飛び込んでみてはどうでしょう?おかえりはあちらです!」









――――




 うん、佑はだいぶ怒っているみたい。

 早口かつ長文で話していたから全部の内容は聞き取れなかったけど、佑は一応店員さんなんだからそんなこと言ったらダメなんじゃない?


「はぁぁっ!!何意味分かんない事言ってんだよ!」


「じゃあ、分かりやすくお伝えします。そんなにおっぱいが好きならさっさとお家に帰ってママのおっぱいでもしゃぶってろ!!」


 えっと……あたしが言うのも何だけど、もう少しいい方がなかったのかな?バイトクビになっちゃうよ?


「何だこのふざけた店員は!?文句言ってやるから店長呼べよ!!」


「どうも私が店長です。お呼びでしょうか?」


 気づかないうちに店長の思われる人がチャラ男たちの後ろに立っていた。


「あんたが店長か?聞いてくれよこのバカ店員がふざけた事ばかり言うんだよ!!」


「ほうほう、それはうちの店員がご迷惑をおかけしました。しかし、あなた方もそちらのお客様と周囲にいるお客さまにご迷惑を致しましているので、少し裏の方でお話ししましょう」


 店長はチャラ男たちの肩を組んでバックヤードに消えて行った。


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