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多分それは愛ゆえですね。



――――


「憂鬱だ……」


 競技は最終局面を迎えようとしている。

 現在の総合得点は2年が1位1年が2位3年が3位となっている。

 これから行われる選抜リレーで1年が1位になれば1年は逆転で優勝となる。


 漫画やアニメであったら熱い展開になるのだが、残念ながら今の俺は暑くなるようなテンションではない。


 更に現在のリレーの順位は2年が首位で1年はドベで半周差がある。

 ここから逆転するのは至難の業である。


『くそぅ、もうちょっとで1年が初優勝だったのになぁ』


 俺の前に走る同級生は悔しそうな表情をしている。


「なぁなぁ、やっぱ負けると悔しいのか?」


『当たり前だろ!負けて悔しくないわけない!!』


 こいつは中々熱い男のようだ。


『いいか、お前はアンカーだ。俺がなんとか差を縮めるから頑張って逆転してくれ!』

 

 因みに俺がアンカーを任されている。

 どうやら俺は1年の中で50m走が一番速かったらしい。


「おぉ、マジか……」


『マジだ!!本当は俺がアンカーで走りたかったんだが、お前の方が速いから譲ったんだ。今日の俺はこの選抜リレーに賭けているんだ!!』


 並々ならぬやる気に溢れていたこの熱男は続けて話す。


『今日、俺、この選抜リレーで優勝したら好きな子に告白するんだ……』


「死亡フラグか?」


 佐といい、この熱男といい、何体育祭に告白するかをかけているのだろうか?


『そんな事いうなよ!俺だって普通に好きな子を呼び出して告白したいよ。でも、俺のカッコいいところを見せた上で告白したいんだよ。お前だって佐に勝った時カッコよかったじゃかいか』


「まぁ、そのせいで色々ややこしい事になっているのだがな」


『うん?お前たちがどうなっているのか知らんが、体育祭とはいえ勝負事に勝ったのだから素直に喜ぶべきだろ。双子の弟とはいえ。それに……』


 次の走者として熱男が呼ばれた。


『女の子にカッコいいって言われるのは嬉しい事だろ。その為にお互いに全力でぶつかる。その上で負けたらまた這い上がればいい。それだけの事だよ』


 熱男はサムズアップし告白を賭けた戦いに身を投じた。


 なるほど、俺は自惚れていたな。

 今までは佐に気を遣って色々と手を抜く事が多かった。

 佐の得意な走る事も俺が勝ってしまったらアイツが可哀想という事で今まで手を抜いてきた。

 今回本気を出して佐に勝ってしまったなら俺は佐にとっての壁になろう。

 

 そして、高嶺さんが俺に振り向いてもらえるように俺もまた佐を超えて行こう。


「となるとだ、俺がここで1位にならなきゃならんのだが……」


 現在熱男くんが走っているのだが、3年には追いつきそうではあるのだが、2年との距離はまだ離れている。


「中々の逆境じゃないか……、ワクワクしてきたぜ」


 多分、漫画やアニメの主人公もこんな気持ちなんだろうな。


『佑、がんばれーーっ!!!!』


『あんたなら追いつけるよ!!!!』


『おーっ!!ゆーくんがんばれーーっ!!』


『神谷くん頑張ってーーっ!!』


 必死に応援してくれるソウルブラザーズ。

 それと同時に……。


『あー、こんな差があったら無理だろ』


『だよなー。流石に1年が2年や3年に勝つのは無理だろ』


 ここで逆転は無理ゲーとばかりに諦めている1年生たち。

 そんな奴らに俺はこう言いたい。



「俺は1年2組の神谷佑だっ!!!今からこの逆境を跳ね除けて1年を逆転優勝させる男だっ!!!この俺が本気になったら不可能な事は可能に出来るんだよーーっ!!!!」


 なんか今俺主人公になった気分だ。

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