1/4ぐらいは佑と同じ血が流れてますから。
『ねぇねぇ、何でうちの学校に転校したのー?』
『やっぱ芸能界って厳しいのー?』
『どうやったらあやちーみたいに可愛いくなるの?』
朝礼が終わると斐芽は一気にクラスメイトから質問攻めにあった。
噂を聞きつけたのか、別のクラスの連中も廊下から斐芽を見ていた。
いやー、有名人は大変だなぁ。
「まさかの転校生がアイドルなんてね。どこぞの創作作品みたいだね」
「え、風見ってそんな有名なのか?」
「あやちーを知らないとか地頭は人生のほとんどを損してる!!CD貸してあげるから早く履修して来なさい!!」
「え、そうなのか?とりあえず借りとくわ」
「あー、俺も風見さんの事あんま知らないからCD歌してほしいなぁ」
「あ、爽太くん!も、勿論!!」
因みに斐芽のファンである桃歌は興奮のあまりときめきメモリーズ!のCDの布教活動に勤しんでいるみたいだ。
「いやー、しかし一緒のクラスになるなんてなぁ。てか、斐芽ってそんな人気なんだな」
「人気も人気よ!あやちーの若者からの支持は絶大よ!!……というか佑はあやちーが転校してくる事知ってたの?」
「そりゃ勿論だとも……と言いたいとこだが、斐芽の姿を見るまですっかりメールが来てた事忘れてたわ」
「ちょーーっと待て、佑!!なんであやちーのメルアドを佑が知っているんだ!?」
「そりゃ、俺のいとこだからだよ」
「おいおい、マジかマジか!?こんな身近にあやちーの親戚の方がいるなんて……」
衝撃的な事実なのか久志は驚愕しており、桃歌は久志に同調するように頷いており、爽ちゃんと琢磨はポカーンとしていた。
どうやら、爽ちゃんと琢磨は斐芽の事をあまり知らないみたいだ。
まぁ、俺も全然知らんのだが……。
すると、俺の携帯からメールが届いた。
【ゆーちゃん、ヘルプミー!!質問攻めで頭がパニックだよー!!】
どうやら、そろそろ俺の出番らしい。
「はーい、皆さーん!!斐芽が困ってるみたいだから、ここで質問タイムは終了でさっさと自分の席に着けー!」
『いきなり何よっ!!勝手に仕切るんじゃないわよ!!』
『そうだそうだー!長髪お邪魔虫眼鏡はさっさとお家に帰れー!』
「いやいや、放っておく事はできんのよ。一応叔母によろしくと言われてるもので」
斐芽からのメールの後に斐芽の母ちゃんから【斐芽はのほほーんとしているからしっかり斐芽を支えてあげて】とメールが届いたのだ。
俺としては親戚である斐芽が困っていたら一応助けるつもりだ。
『え、叔母って、どいうこと?』
「えーと、別に隠す事でも無いから話してもいいのかな?実はこちらの神谷佑くんと私はいとこの関係なんだよ!」
斐芽の一言でクラスの空気が固まったようだ。
『えっ……、佑のいとこって……本当なの?」
「いとこだよー。1/4ぐらいはゆーくんと同じ血が流れているよー」
「まぁ、斐芽が実は昔泣き虫だった事から弱点は脇の下をくすぐるって事も知ってるぐらいの仲だな」
『ま、マジなの……こんな天使のあやちーと佑が親戚だなんって』
『この世の終わりよー』
勝手にこの世を終わらせんでおくれ。
「うん?ゆーちゃんみんなから嫌われてるのー?」
斐芽が屈託のない表情で尋ねて来た。
「うーん、嫌われているというより、馬鹿にされてる感じかな」
まぁ、実際馬鹿な事ばっかしてるから言われても仕方がないと思う。
「ふーん、そうなんだー」
急に斐芽は立ち上がった。