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琢磨の回想に入りまーす。



――――


 うちは一言で言えば貧乏だ。


 というのも、親父が浮気をして俺を含む3人の子どもを残して家を出ていったからだ。


 俺たちを食わしていく為に母ちゃんはほぼ毎日朝から晩までパートとして働いている。

 そんな母ちゃんは優しい人で自分がキツい状況でも明るく振る舞っていた。

 

 けど、うちが貧乏という事で小学生の頃の俺はいじめを受けていた。


 物を隠されたり、挙句の果てには殴られたりもした。


 でも、母ちゃんに心配をかけたくない一心で俺は黙っていた。


 中学に上がる頃には俺は憎き親父譲りの強面、ガタイになりいじめられる事は無くなっていった。


 俺もようやく静かに学校生活を送れる……と思っていた。


 あの出来事が起こるまでは……。



「おい、その傷どうしたんだ!?」


 始まりは弟の怪我だった。

 『弟は転けて怪我しただけ』と言っていたが、明らかに転けて怪我した風には見えない。


 それから弟がいじめられているところを目撃したのは数日後である。


 いつも通り帰宅していると同じ中学の不良たちに絡まれている弟と妹を目撃した。


 どうやら前々から弟はいじめられていたそうだ。


 そこで俺の堪忍の尾が切れた……。


 気がつけば弟たちをいじめていた不良たち血祭りにあげていた。


 弟がひどく怯えているのが分かった。


 そうか……俺が怖いんだな。


 そこから俺と弟の間に壁ができた。

 今までは楽しく兄弟で話していたが、今は母ちゃんか妹を通して会話をする事が多くなった。



「おう、この間は舎弟が世話になったみたいだな」


 ここから俺にとっては地獄であった。


 来る日も来る日も不良に喧嘩を売られるようになり、その度に好きでもない暴力を振るう毎日であった。


 もしも、ここで俺がコイツらを倒さなければまた弟に危害にあってしまう。

 その為だったらどれだけ弟にも避けられてもいい。

 そう思いながら不良たちを返り討ちにしていた。


 そして気がつけば不良たちは俺の事を鬼の地頭。

 通称 鬼頭(きとう)と呼ばれるようになった。


 家族の為なら鬼でもなんでもなってやるよ。


 俺の中では高校には行かず卒業したらどっかで働くつもりだったが、母ちゃんから『高校にだけは絶対に行きなさい!!』と強い口調で言われて高校に入学する事になった。

 母ちゃんには本当に頭が上がらない。


 とは言うものの、地元から近い高校だとまた不良たちに絡まれてしまうので地元から少し離れた幸徳高校に進学する事にした。


 まぁ、この高校はバイトが許可なくできるから、できるだけバイトをして母ちゃんに楽させてやろう。

 そして、兄弟たちにも美味しい物を食わせてやろう。


 俺に青春は要らない。


 入学式終了後、他のクラスメイトたちは談笑で盛り上がっていた。

 ここには俺の事を知っている奴は居ないみたいだな。

 静かに過ごせそうだ。


「というわけで、そこで寝ているマッチョヤンキーくんは俺の友達にならないかい?」


 そう、アイツとであるまでは……。

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