報われない片想い。
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「うーん、今日は楽しかったなぁ!!」
プールで久しぶり斐芽と会い、その後も少しプールで遊んでから帰宅した。
その後電車に揺られて、最寄りの駅に着く頃には黄昏時になっていた。
「俺はだいぶ疲れたぞ」
因みに斐芽と別れた後も3人でしばらく遊んでいたが、事あるたびに2人はナンパされていた。
そのたびに俺が割って入ってナンパを中断させていた。
今ならディフェンスの才能を開花させられそうだぜ。
「いいじゃないの。女の子2人デートできるなんてそうそうないわよ」
「あはは、神谷くんは大変そうだったけど、私も楽しかったよ!」
「まぁ、俺も楽しかったけどさ……」
美少女2人とデートなんて中々ないシチュエーションだしな。
今後の俺の人生で一生ないかもしれない。
「あたしはママと買い物して帰るからねー。佑はちゃんと杏ちゃんを家まで送るのよ。帰るまでが1日彼氏の役割なんだからね!」
そう言うと桃歌は颯爽と去って行った。
まだ、1日彼氏の設定は終わってなかったのか……。
「えっと……送っていくよ」
「うん、ありがとう」
夕焼けのせいか鳥牧さんの顔が少し赤くなっているように見えた。
――――
「改めて今日はごめんね。神谷くんに色々迷惑をかけちゃって……」
帰りの道中、鳥牧さんが頭を下げて謝罪した。
「いいよいいよー。彼女が2人いるシチュエーションなんてそうそうないし、貴重な体験だったわ」
まぁ、色々あったけど何だかかんだで楽しかった気がする。
奢るのも2人分だったから俺の財布に結構なダメージを負ったけど……。
「それなら良かったー。桃歌ちゃんならともかく、私の彼氏のフリなんて迷惑だったかなって……」
「えー、俺としては桃歌の彼氏のフリよりも鳥牧さんの方が楽しかったよー!」
桃歌にはこき使われたしな……。
それに対して鳥牧さんはずっと優しかったなぁ。
「そ、そうなんだ。なんか嬉しいな」
鳥牧さんは満面の笑みを浮かべた……と思ったら。
「そういえば、神谷くんは高嶺さんの事が好きって本当?」
「ぶっ!!誰からそんな事聞いたの!?」
「えっと……桃歌ちゃん」
鳥牧さんはバツが悪そうな感じで話した。
桃歌の野郎……。
「まぁ、好きっというか、気になるというかな……」
「あ、なんか困らせてごめんね。気になったから聞いてみただけだから」
鳥牧さんは申し訳なさそうな感じである。
「ははは、なんかはっきりした答えじゃなくて申し訳ない。でも、今度高嶺さんと夏祭りに行く約束したんだよね」
「えっ……、本当?」
実は帰りの電車に乗っていた時に高嶺さんからメールが来て、【今度の夏祭り一緒に行かない?】との事だった。
しかも佐抜きの2人きりでた。
ガッツポーズを決めたかったが、なんか桃歌にいじられると思い、嬉しい気持ちは心に閉まっておいたのである。
因みに俺は即答で【行く!!】と返信しておいた。
「その日遊んでみて、俺の気持ちをはっきりさせたいかなぁ」
今でも高嶺さんの事を友達として好きなのか、異性として好きなのかハッキリしてない。
正直、このモヤモヤする気持ちを夏祭りでハッキリさせたいのだ。
「…………そう、なんだ……」
何やら鳥牧さんが暗い表情をしている。
俺、なんか不味い事言ったかな?
「ま、まぁ、高嶺さんは佐の事好きみたいだから、高嶺さんの事好きになったとしても叶わない恋で終わりそうな気がするけどね!」
『やっぱり、片想いって……報われないの……かな?』
何やら小さな声で呟いていた。
「え、なんか言った?」
「ううん、何でもない!私の家はもうすぐだからはここまででいいよ。高嶺さんとの夏祭り楽しんでね!!」
鳥牧さんは走り去って行った。
気のせいだと思うけど泣いていた?
鳥牧さんの事が気になり追いかけようと思ったが、去り際に聞こえたこの言葉のせいで、俺はしばらくその場から動く事が出来なかった。
『佑くんのバカ……』




