なんてたってアイドル!
――――
『みんなぁーっ!!こんな暑い中集まってくれてありがとーーっ!!』
『いえーーーっっっっい!!!!!』
桃歌が待ちに待った野外コンサートが始まった。
広場にステージが設けられていてそこで行われていた。
「きゃーーっっっ!!!!生ときメモ!よぉーーっっ!!可愛すぎぃーーーっっ!!!!」
いつも毒舌でツンデレな桃歌とは打って変わって、今の桃歌はただのドルオタと化していた。
「うわぁ、やっぱりときメモ!のメンバーは生で見るとみんな可愛いねー!」
鳥牧さんもキャッキャとしていた。
略称、ときメモはそんなに人気があるんだなぁ。
『最初から盛り上がっていくよーーっ!!【真夏のバレンタイン】!!!!』
「きゃあああっ!!いきなり【真夏のバレンタイン】歌っちゃうの!?」
真夏のバレンタインって何だよ?
季節外れ感が半端ないぞ…………って言ったらファンの人に怒られるから黙っておこう。
「やっぱり、あやちー!は可愛いねー。私は1番の推しかな」
「だよねー!!あたしもあやちー!推しっ!!」
「あやちーって誰の事?」
「あやちー!だってば、!をちゃんと付けなさいよ!!」
だから、!ってどうやって発音するんだよ!?
「えっと、あやちー!はあの右から2番目の女の子だよ」
「いやぁ、あやちー!はいいよねぇ。確かあたしたちと同じで高校1年でグループ内でも1番の人気。天然キャラだけど歌、ダンス共に上手くて、ファンサービスも完璧なまさにアイドルの中のアイドル!!」
「へぇー、右から2番目ねぇ……って斐芽やないかい!」
「え、神谷くん、何であやちー!の本名知ってるの?」
「知っているも何も、アイツは俺のいとこだぞ」
「「マジか!!?」」
女子高生アイドルあやちー改め風見斐芽。
俺のおかんの妹の娘である。
つまり、俺のいとこだ。何年も会ってないけど。
そういえば最近芸能活動をしているって叔母さんから聞いた様な……。
「ちょちょ、あたしも知らない情報よそれっ!?」
「いや、流石に幼なじみといえども自分のいとこの事までは知らんだろ」
それにしても、あの泣き虫だった斐芽がアイドルしているなんてなぁ……。
俺の頭に浮かぶのは一緒に木登りするって斐芽が付いてきたが、斐芽は降りれなくなりビービーと泣いている姿である。
そんな事しか頭に残っていないからか立派にアイドルしている斐芽を見て感慨深くなった。
『やっほー、みんなーげんきー?』
あ、斐芽がMCを始めた。
何を喋るのかな?
『私は本番前にうどんをいっぱい食べてお腹いっぱいだよー』
『あやちー!可愛いいーーっっ!!!!』
うん、いつもの斐芽だな。
親戚の集まりでもマイペースで黙々とご飯食べてるもんな。
『あははっ、みんな元気だねー。続いてはー【玉虫色の恋心】!】
玉虫色って何色なんだろう?