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その日少年は不思議な出会いを果たす。



――――


「あー、異世界転生してみたいなぁー」


時刻は12時、つまりはお昼ご飯の時間である。


校内放送で流れてくる音楽。主に有名な曲が多いが、たまにアニソンが流れる事がある。


放送部にも俺の同志がいたりするのかな?


「ゆーちゃん、いきなりどうしたの?」


いつも通り俺、爽ちゃん、久志、拓真と教室で昼食を食べていた。


俺以外は弁当を持参。ただし、拓真は見た目通りのドカ弁。


いつもはおかんが弁当を作ってくれるのだが、昨夜アニメ鑑賞をして、感極まって大声で叫んでたのが原因だろうか、朝食はどころか弁当も用意されてなくパートに出て行かれた。


双子の弟の(たすく)の分はしっかり用意してあったのでつまりはそういうことなんだろう。


「確かに異世界転生は憧れるね。可愛い神様が異世界に転生してくる、そこで俺TSUEEE、そして美少女ハーレム。実にいい」


久志が眼鏡をクイっと上げて話す。


つい、1か月前までは……


『異世界?そんなものある訳がない、非現実的だ。そんな妄想するなら問題を一問でも解いた方が有意義だ』


と言っていたあの久志がなんてな……


なんか感慨深いなぁ、俺のオタク文化的の布教活動の賜物だな。


「異世界は俺も行ってみたいねぇ、俺よりつえぇ奴に会いにいきてぇぞ」


「どこぞの路上でファイトする奴かよ」


因みにヤンキーマッチョの拓真にも熱心にオタク文化を布教していたら、仲間に加わった。


「おーい、佑ー!」


教室の外から俺の顔そっくりさんが声をかけてきた。


「どうした、佐?」


もちろん、ドッペルゲンガーみたいのではなく、我が双子の弟の佐だ。


『佐くんだ!やっぱカッコいいなぁ』


『だよねー、なんか寡黙で俺についてこいって感じでいいよねー』


クラスの女性陣がヒソヒソと感極まっていた。


佐は入学してからまだ1か月しか経っていないが、我らが幸徳高校の陸上部の長距離走者エースに君臨している。


俺とは別の桃歌、爽ちゃんと同じの公立中出身で、3年生の時には全国大会で3位になっている。


私立高校からは何校も推薦の話が来ていたが、何故か幸徳高校に進学した。


それに加えて真面目そうな見た目と寡黙さが女性陣の心を掴み、実際何人も告白されており、大分モテモテらしい。


長い髪と眼鏡を除けば、ほぼ俺と同じ見た目なんだけどな。


俺は生まれてこの方、1回も告白された事はないぞ。


「これ渡すのを忘れていた」


佐は1000円札を差し出してきた。


「お前さんにお金を貸したっけ?」


「いや、昨日の夜、母さんのパートの出勤時間が急に早くなったみたいで、朝早く行かなければならないから、2人分の朝と昼ごはん代を俺が預かっていたんだ。お前、昨日の夜はアニメ鑑賞で発狂してたから渡しそびれたんだってさ」


おかんはどうやら昨夜の罰としてメシ抜きにした訳ではないらしい。


が、気になるのはそこではなく……


「話はわかったが、何で昼食時間にご飯代を持ってくるんだ?」


「俺は朝練があったからお前よりも早く学校に行った。そして、お金を渡すのを忘れていたからだ」


「まぁ、そんなんだと思ったわ」


佐は天然で常にマイペース。このような事はよくある。


最近では学校に行くはずなのに教科書を入れ忘れて部活道具だけを持って学校に行ったこともある。


周りからのイメージは寡黙で真面目ってイメージだが、実際の佐は天然キャラである。


まぁ、朝ごはんは自分で作ってたし、昼食のパン代が浮いたと思えば良しとするか。





――――


場所は変わって校舎裏。


昼食のパンを食べて、喉が渇いたので飲み物を買いに来た。


実は校舎裏の自販機は他の自販機より何故か10円安くなっている。


安くなっている理由は分からないが、この事を知らない人が多いみたいで、俺は最近空き時間を使って校内の秘境を探しているのだ。


『えっと、これじゃなくて、これでもなくて……。うーん、どこの角度がいいんだろ?』


女の人の声が聞こえてきた。


どうやら先客がいるみたいだ。


これまでもヤンキーの方々やカップルでイチャイチャしている光景は何度もあり、リア充爆破しろと思いながら飲み物を買っていたが、女の人が1人でここで見かけるのは初めてだが……


「って、うぇぇえっ!?』


その女の人の姿を見て絶句した。


それもそのはず、目の前にいる女の人は水色の髪をしており、目は赤色。服装もどこぞの貴族が着ていそうな格好をしており、うちの学校には勿論のこと現在社会で到底見かける事のない出立ちをしており、まさしく異世界人。


そして、えらいべっぴんさんなのである。


「ぴゃゃーっ!!」

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