それはそれで楽しければよし!
「ふっ、完璧だったな……」
演出を4人で考えた【仮面超戦士アガール】のコスプレ。
俺たちは大満足である。
「アンタたちは何茶番劇をしてるのよ?」
呆れた表情で桃歌が近づいてきた。
「おー、桃歌のマイちゃんのコスプレ似合ってるじゃん!」
「そ、そんな事どうでもいいのよ!ところで何でアンタは雑魚的のコスプレをしているのよ?」
俺のコスプレは一般のサゲール兵。因みに久志がアガールでコッケッコ男爵は琢磨、パリピは爽ちゃんの配役だ。
「いやー、戦闘シーンには雑魚敵は必要だろ。それよりも良いやられっぷりだっただろ?」
似ている奴を当てはめていったら、自然に俺がサゲール兵になった。
「いやいや、敵の攻撃をバク転で避けるアクロバットな動きを雑魚敵いないって……」
えー、俺としてはただの雑魚敵じゃつまらないから、大袈裟に動いただけなのにな。
「そうだぞー!佑があんな動きするから、無駄に俺も緊張したぞ!」
琢磨は不満そうな表情をしていた。
てか、鶏の覆面を外した琢磨は、ただの上半身裸のボディビルダーだな。
「でも、中々盛り上がっていたからコスプレした甲斐があったよ」
「久志は仮面は取らないのか?今暑いぞ」
一応夏という事で気温は実に30℃以上。
流石にずっと覆面とかを付けているとキツいはずだ。
「ふっ、ヒーローは簡単に仮面を取らないのさ……」
「いや、熱中症を舐めないでください。休憩時間はしっかり仮面は外してください」
「………はい」
コスプレ経験が俺たちよりも遥かに上である鳥牧さんの真面目な一声に久志は素直に従った。
熱中症は危険だからな。
「これでみんな揃ったね。これからどうするー?」
「え、じゃあとりあえず…………」
――――
「いやー、あそこまでいったら芸術品だな」
あの後、3組に分かれ、音楽会場が気になる爽ちゃんと桃歌、とりあえず腹ごしらえをしたい久志と琢磨。
そして俺と鳥牧さんは他のコスプレイヤーの人たち見たいという事で辺りを見る事にした。
「うんうん、私もあんな風に可愛いくなりたいなぁ」
「え、鳥牧さんは今のままでも充分可愛いじゃん。ランちゃんの衣装もめっちゃ似合ってるしさ」
「あ、ありがとうございます。そういえば、初めてのイベント参加の記念に2人で写真撮りませんか?」
俺のコスプレサゲール兵なんだけど……
「大丈夫だけど、ランちゃんと世界線全然違うけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ!あ、でも、覆面は被らないでね!」
それだと全身タイツの変な格好をしているただの俺なのだが……。
「ま、まぁ、大丈夫だけど……」
「じゃあ、撮りますよー!」
と、鳥牧さんはスマホを片手に俺に近づいてきた。
「ち、近くない?」
「こうしないとツーショットで撮れないよ」
鳥牧さんが近い、豊満な二つの山が俺に当たってしまう。
当ててるのかな?
「うん、綺麗に撮れた!友達とこんな楽しいコスプレするの久しぶりだなぁ」
「そういえば、鳥牧さんはいつからコスプレしてるの?」
素朴な疑問を鳥牧さんに聞いてみた。
「そうだね。あれは私が中学の頃かな……」