表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/154

全ての自分を解放するとき。



――――


「ふう、一息つくかな」


 学校が終わり、直帰で家に帰りまた勉強する。

 高校に入学しても、この僕のライフワークは変わらない。


 僕にも勉強以外に趣味はある。

 ……それは読書である。


 本を読むのは良い、何故なら先人の知識を文章を通して得る事が出来るのだから。

 勉強の合間の読書が僕の気が抜けるひと時なのである。


 しかし、僕が読む本はもっぱら哲学書や偉人たちが書いた本のみで他の恋愛小説とかには興味がない。


「さて、今日は学校で読んだ本の続きでも読むか」


 鞄から本を取り出すと、無理やりアイツが入れた「貧乳だけど元気にやっています!』が手にあった。


「くそ、せっかくの楽しみの時間なのに今日が削がれるな」


 本の表紙には女の子が描かれており、本の厚さからいって小説であろう。


 本当ならこの本をゴミ箱に捨てたいのだが、流石に人の本を勝手に捨てるのは倫理的にダメだと思ってしまい我慢をした。


 ただの気まぐれ、気の迷いなのか、本を開いてしまった。


 まぁ、少し読んだら終わりにしよう。

 そしてアイツが何か言ってきたら、『つまらなかった』と答えよう。







――――


「どうだった?略して『貧元気に』の感想は?」


 翌日、休憩時間にアイツが近づいてきた。


「……実に興味深い内容だったよ」


 この小説を呼んで衝撃を受けた。

 所詮は俗物だと馬鹿にしていたが、その実内容は奥深く、貧乳である主人公が巨乳の女に蔑まれながらも強く生きており、巨乳に倍返しをする内容。

 どれだけ、衝撃を受けたかというと、続きが非常に気になり、夜であったが本屋へ行き、最新巻まで買った程だ。

 お陰で今日は寝不足である。



「おー、気に入ったのなら何よりだ!」


「神谷はいつもこんな素晴らしい小説を呼んでいるのかい?」


「隣に双子の弟がいるから苗字じゃなくて佑でいいよ。そうだなぁ、ラノベを読んだり、ゲームしたり、色々してるぞ」


 こいつ、何て素晴らしい人生を送っているんだ……。

 僕なんて今日まで勉強しかない人生だったのに。


「僕も君みたいになれるのかな……」


 羨ましい……その一言だ。

 両親や兄を恨み、勉強して難関大学を目指すより遥かに人生を謳歌している。

 そんな……佑みたいな人生を送りたい。


「慣れるさ、俺と友達になったら。一緒にバカしようぜ」


 差し出してきた物は『新世紀微乳少女』。

 全くコイツは……


「あぁ、これからも宜しく頼むよ」


 それを僕は暑い気持ちで受けとった。

 そして、貧乳派に目覚めたのであった。



 後日の話になるが、佑から借りてきた本が父に見つかり、叱責を受けるのかと思ったが、どうやら父も佑から借りたラノベを見たようで、衝撃を受けていた。


 以後は僕と父は同じ趣味を持つ関係となり語り合う事が増えた。

 因みに語り合う僕たちを母と兄は呆れた顔で見ている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ