意外に男も鋭いところがある。
――――
「最悪だぁ……」
なんとあたしと同席になったのは堂園久志と地頭琢磨の変人2人と同席となった。
あたしとしては杏ちゃん、願わくば爽太くんと同席になることを望んでいたが、まぁ、佑でもいいんだけどね。
というか、この2人とはあまり関わりが少ないから何を話せばいいのか分からない。
「えーっと、花木さん?佑がいないとこ話すのは初めてだよね?」
重たい空気が流れている中で堂園くんが口を開いた。
「まぁ、そうね。いつもは佑が一緒だったし」
「そんなことより腹が減ったからなんか頼もうぜ」
「はいはい、腹ペコ琢磨はなんか頼んで食べてなさい。単刀直入に聞くけど、鳥牧さんは佑の事好きだよね?」
意外に堂園くんが鋭くて驚いた。
「……何でそう感じるの?」
「うーん、直感かな?何か鳥牧さん佑の事よく見ていたし。今も爽太の事はあんま見てなくて佑の方ばかり見ているし」
あちらのテーブルを見ると確かに杏ちゃんは佑の方ばかりを見て話をしていた。
『ところで最近の異世界転生モノの小説って色々あるけど、大概転生したらイケメンで女の子にモテモテだよな』
『確かに。俺も転生したら獣娘とラブコメしないなぁ』
『あ、天宮くんは獣娘が好きなんですか?なら、このラノベオススメですよ!』
あちらでは異世界転生系で盛り上がっているみたい。
「……あんまり、杏ちゃんには言わないようにって言われてるけど、堂園くんが言う通りよ」
「えっ!!鳥牧ちゃん佑のことが好きなの!!」
「琢磨、静かにしてろ!まぁ、知らないふりはするから大丈夫だよ。しかし、鳥牧さんは佑を好きになるって男を見る目あるよね」
堂園くんはしみじみとした表情でお冷を一口飲んだ。
「ご注文はお決まりになりましたか?」
メイドさんが注文をとりにきた。
「僕はコーヒーと小腹が空いたからサンドイッチをください。あ、チェキ付きで」
「俺はこの【メイドが作る。あなたの思いは太陽系オムライス】のチェキ付きで」
地頭くんは意味の分からないオムライスを注文。
「じゃあ、私はこのチョコレートケーキセットを飲み物は紅茶でください」
「「チェキは頼まないの!?」」
「……じゃあ、チェキ付きで」
2人の圧力に負けてチェキ付きを注文した。
「かしこまりました!少々お時間をくださいね!」
メイドさんは一礼してテーブルを離れていった。
「ところで堂園くんは何で佑と仲良くなったの?入学当時はそこまで仲が良かった印象じゃなかったのに」
というか、最初に佑は『うるさいから静かにしてくれ』って堂園くんに言われていた気がする。
「ははは、それはまだ僕が勉強に命をかけていた時だからね。絶対に医大に行くつもりだったから」
「へー、堂園くん医大を目指しているんだ」
まぁ、学年で1位。更にいえばほぼ満点であれば医大とか難関大学を目指しそうだ。
「……実は、僕の父さんは医者で病院の院長をしているんだ」
「そうなんだ……って、マジで!?」
何というか意外である。
言い方は悪いがまったくそうは見えない。
「まぁ、佑と出会って全てが変わったな……」
堂園くんはしみじみと語り始めた。