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良い人は良い人止まりになり、なお悲しい。


「それで相談だけど……」


「えー、佐の言葉だろ?次は何について聞きたいのだね」


 結論から言わせてもらおう。

 高嶺桜子さんは俺の弟の佐が好きなのである。

 それに気づいたのは話をしているうちに佐に関する事が会話の内容が多くて、冗談で佐のこと好きなのか聞いたら……


『やっぱバレてる感じ?』


 と顔を真っ赤にしながら返事をしたのだ。

 うん、高嶺さんに迷惑がかかりそうだし、ややこしくなりそうだから、変な気を起こさないようにしないとな。


「うん、いつも相談を聞いてもらってごめんね」


 まぁ、佐が目的で俺と話しているわけではないみたいだがな……少しもどかしさはある。


「どうしたら、佐が走る以外の事に興味があるのかなぁって、同じ部活所属してるけど休憩の時も走ることしか興味がなさそうで……」


「まぁ、あいつは好きな事走ること、得意なこと走ることのただの走り屋だからな。興味もいかに早く走ることだからなぁ」

 

 佐に走ることを奪ったら、あいつのアイデンティティは失ってしまうからな。


「とりあえずあいつと仲良くしたいなら、どうやったら速く走れるのかを話題に出すのはどうかな?」


「そっかぁ、やっぱ走ることが1番興味があるのかなぁ。だけど、そこに私が佐くんをす、好きになったところなんだけどね」


 佐、羨ましいぞこの野郎、俺もそんな事言われてみたいぜ。

 因みに高嶺さんは中学の時の地区予選の際、佐が圧倒的に走る姿を見て一目惚れらしい。

 高校に入ってまさかの同じクラスになって嬉しさのあまり卒倒しそうになったとの事。

 

「とりあえず、私も佐くんに振り向いてもらえるように、走るの頑張るよ!」


「うーん、頑張って!」


 正直、あいつの好みも良くわからんしな。このアドバイスが適切なのか正直分からん。

 まぁ、高嶺さんと佐がうまく仲良くなればいいのだけどな。

 ……なんか、俺、騒いでいるだけのただの脇役だな。






――――



 正直よくない状況なのだと思う。

 佑が教室に帰ってきて、再び4人で馬鹿騒ぎしてたが、佑が少し元気がないように感じた。


 あの日杏ちゃんに佑が気になっている人が高嶺桜子ということを伝えた。

 すると、杏ちゃんは……


『あの高嶺さんかぁ、じゃあ、私に勝ち目ないよう……』


 と意気消沈していた。


 あたしとしては高嶺さんよりは杏ちゃんの方が佑にお似合いだとは思う。

 だけど、佑は高嶺さんの事が好きなら杏ちゃんのフォローに回りにくいし、更には高嶺さんは佐の事が好きだと噂で聞くし……、佑の周りの関係は複雑すぎる。


 「どしたのそんなうなだれて?」


 美久が声をかけてきた。


 「いやー、応援したいけど応援するのが難しいって難題に頭を抱えているのよ」


 「よくわかんないけど、あんま考え過ぎない方がいいよー。テストも近づいてるから、あんまり頭使ってたら赤点取っちゃうよー」


 赤点必死の美久に言われたら元も子もない。

 勉強はしっかりやってるから、美久よりは赤点取る可能性は低いわよ。


「おーい!朝礼の時間だぞー!全員席に着けー!」


 そんなこんなしているうちに担任がやってきて朝礼が始まった。


「せんせー!突然なんですが、清楚系女子と活発系女子はどっちが好みですかー?」


 何やら元気を取り戻したっぽい佑が突拍子もない事を先生に聞いていた。

 元気になったと思ったら何を聞いているんだ?


「うーん、先生は活発系女子派かな。そうじゃなくて、はよ席に着け!」


 この担任は意外にノリは良い方なのである。

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