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高嶺の花が気になるのですよ!


「ごちそさん!!」


 梅雨に入りかけており、雲行きが怪しい天気が続いている。

 俺は普段自転車で通学しているが、しばらくは徒歩通学になりそうだ。

 雨が降ったらカッパを着ればよいのだが、だいぶ暑くなってきたので蒸し焼きにされてしまう。

 やっぱ、近くの高校を受験してよかったわ。


「佐はもう行ったの?」


「だいぶ前に行ったわよー。朝練があるからだってさ」


 残念ながら陸上部には雨天中止という概念はないらしい。

 雨でも室内で筋トレしたり階段ダッシュしたりしている。さらに雨が降った状態でも走らされたりしている。

 大変なものだ。


「じゃ、学校に行ってくるわ!」


 しっかり手には傘を持ち学校へ向かった。






――――



『この間のデート楽しかったね!次はちょっと遠くに行ってみたいなぁ』


『じゃあ、今度の日曜日に遠出するか』


 現在通学中であるが、すぐ目の前にはカップルがイチャついてやがっている。

 朝から憂鬱だー、俺はいつになったら彼女いない歴年の数を止める事ができるのだろう。


「朝からお盛んだね」


 隣にいつの間にか久志が並んで歩いていた。


「だよなー。リア充爆発してくれないかなぁー」


「いつも彼女欲しいー、リア充爆発しろーっていつも言ってるけど、佑は彼女できた事ないの?」


「いたことねーよ!むしろどうやったら彼女できるのか知りてぇよ!久志は彼女出来たことあるのかよ?」


「残念ながら、昔から勉強に取り憑かれていて、最近まで異性の事は全く意識してなかったよ」


 勉強だけをしてきた人生ってなんか怖いな。

 もうちょい、遊ぼうぜ。まぁ、今は勉強という呪いから解放されたのか、元のガリ勉っぽさが全く無くなったな。


「因みに気になる人はいるのかい?……というか、いるよね?」


 久志が眼鏡をクイっと上げ笑みを浮かべる。


「な、なんだよ!」


「あの方だろ?佑が気になっている女の子は」


 久志が指を差した人は目の前のカップルよりも前を歩いている女性。


 そう、高嶺桜子(たかみねさくらこ)……さんである。


「高嶺桜子、身長は平均値、髪はセミロングで胸は平均的だけどスレンダーなスタイル。成績も優秀で運動神経も抜群。物静かで清楚系だけど誰にでも当たり障りのない対応をしてくれる陸上部所属の1年3組の生徒である」


「なんで謎の解説が入るんだよ」


「いやー、改めて高嶺さんって欠点のないチートだよね」


 まぁ、高嶺さんは久志が言う通り、チート的な存在である。二次元キャラもビックリする程に。


「因みに佑は高嶺さんが近くにいる時は全く下ネタは話さなくなるよ」


「げ、そんなことねーよ!」


「いやー、佑が清楚系美女が好きだなんてねぇ。佑とは真逆の性格っぽいよね」


「うるせいやい!」


 高嶺さんが気になるって話はあながち間違いではない。

 が、名前の通り高嶺の花的存在だ。

 オタクの俺とは天と地ほどの差がある。


「でも、僕としては佑の恋を応援したいと思ってるよ。佑には大きな恩があるし」


「大きな恩って、そんな大した事してないだろ」


「いや、僕は佑に自分が何が好きであったかを教えてもらった。佑に教えてもらわなかったら一生何も知らず勉強だけの人生だったよ」


 久志はこう言ってはいるが、本当に俺は大した事はしてないのだが……


「佑ならきっと高嶺さんを攻略できるって!」


「俺はまだ高嶺さんを攻略するとは言ってないぞ」


 高嶺さんの攻略方法を一方的に語る久志を横目に俺は高嶺さんと初めて会った日を思い出していた……

 

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