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未完成恋愛よありがとう!





――――


場所は屋上。

 佑はキャンプファイヤーを遠目で眺めていた。


「佑、本当にこれで良かったの?」


 後夜祭が始まるまでクラスの片付けが行われていたが、佑はどこか浮かない表情をしていた。


 後夜祭自体も……


『俺はいいかな……』


 と不参加である。


 因みに堂園くんと地頭くんは『佑が参加しないなら参加しない』との事で後夜祭は不参加である。


 後夜祭が始まるが本当に佑の姿はなく、ふと校舎側を見たら屋上に佑の姿を見かけた。

 こんなに元気がなさそうな佑はそうそう見た事がなく心配になり、あたしも屋上にやって来た。


「……良かったさ、2人が幸せならそれでいいじゃん」


 佑はキャンプファイヤーから目を離さずに答えた。


 あたしも佑たちのライブ会場にいたけど、あの歌は佐と桜子ちゃんを応援する反面、佐に嫉妬しているようにも聞こえた。


 佑はこんなに桜子ちゃんが好きだったなんてね……。


「でもさ、佑ちゃんが幸せじゃないよ……」


 あたしと同様に佑の事を心配に思ったのか、爽太も屋上に来ていた。


「爽太くんの言う通りよ!!佐と桜子ちゃんが幸せになっても佑が桜子ちゃんに好きだとも言えず、ましてや、双子の弟と付き合うなんて……」


「いいんだよっ!!」


 佑は珍しく声を荒げた。


「俺さ、結局のところ脇役なんだよ。恋愛もののゲームでいうと、主人公は佐であって、俺ではない。俺は2人の恋を応援する脇役だ。俺が高嶺さんに告白する以前に2人が両思いだと知った時点でゲームオーバーなんだよ。くそっ、なんてクソゲーだよ、こんちくしょう!!」


 こっちを向いていないが、佑が泣いてる事だけは分かった。


 佑にとっては初恋で初めての失恋。


 あたしも爽太くんが好きだから、もしも爽太くんが私以外の人と付き合ったと考えたら……。


 想像するだけで辛い。

 

「佑ちゃんは優しすぎるよ……その気になれば高嶺さんを振り向かせる事だって出来たはずなのにさ。それなのに佐の為に佑ちゃんが高嶺さんから身を引くなんて……」


 爽太くんは佑に近づき肩に手を置いた。


「でも、これだけは分かってほしいけど、佑ちゃんは絶対に脇役なんかはじゃないよ。俺や桃歌ちゃん、そして久志や琢磨も佑ちゃんに助けられたからこそ今の俺たちがいるんだ。佑ちゃんは俺たちのヒーローなんだよ」


「爽太くんの言う通りよ。アンタは私たちにとってヒーローなんだから、そんなに泣かないでよ……」


 佑が泣いてる姿を見ていたらあたしまで涙が出てくる。

 爽太くんもきっと同じ気持ちのはず。


 佑の初恋は失恋で終わっちゃったけど、いつかその悲しい気持ちが報われて幸せになってほしい。


「もしも、佑に一生彼女が出来ないなら……あたしが佑の彼女になってあげるわよ!」


「いや、それは遠慮しておくわ」


 佑はスパっと返答した。


「なんでよ!!佑はあたしの事嫌いなの!?」


「いや、だってさ……桃歌が彼女なんて想像もつかないわ。今の気を遣わない幼なじみの関係の方が俺は楽だわ」


 なんか、佑に振られた気分だわ。

 いや、あたしも佑と彼氏彼女の関係になるのは想像できないわ。


「ま、まぁ、そんな悲観になりすぎないで、一緒にキャンプファイヤーを見ようよ」


 このまま後夜祭が終わるまであたしと爽太くん。そして佑の3人の幼なじみトリオで屋上からキャンプファイヤーを眺めていた。


 大丈夫よ佑、アンタの事が大好きで付き合いたいって思っている女の子は身近にいるんだからね。




『神谷くん…………』


 佑と爽太くんがキャンプファイヤーを眺めている中、あたしが後ろ振り向くとそこには佑の事が大好きな女の子が立っていた。


 こうして初恋が実り、散っていった幸徳祭は終了した。

 


 


あとがきです!


実際に相手のことを思って身を引くことは勇気のあることだと思います。


告白することも出来ないのは辛いですよね。


初恋が実った佐と桜子、初恋が散っていっていった佑。


今後どのような展開になっていくのでしょうか?


因みに私は高校3年間片思いで結局告白できなかったので相手に告白できる人ってすげぇ!って思っています(笑)

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