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後夜祭はキャンプファイヤー!



――――


『まもなく、後夜祭が始まります。校庭でキャンプファイヤーで行うので後夜祭に参加される生徒は校庭に集まってください』


 日も暮れてきて後夜祭が始まろうとしていた。


 後夜祭への参加は強制ではなく自由参加だ。

 3年生は受験を控えており大概は下校する人がほとんどだ。

 後は門限や個人個人で打ち上げしたい人たちも下校するので後夜祭に参加する人はぼちぼちである。


「佐くんは後夜祭には参加する?」


 佑たちのライブ後も俺は桜子と共に文化祭を回っていた。

 因みにうちのクラスは展示品のみで確か世界の奇食についてだったか?

 それをポスターに纏めて展示するだけなので、文化祭当日は特にやる事はないのだ。


「あ、あぁ、参加するぞ」


 本音を言えば今日は朝だけしか走ってないので、後夜祭には参加しないで走りたいところだが、ライブで佑が俺の背中を押してくれたので、桜子に告白するまでは家に帰るつもりはない。


「よかったら後夜祭も佐くんと一緒いていいかな?」


 俺は佑の歌った【高嶺のキミへ】の歌詞を思い出した。

 あの歌詞には俺と桜子は両思いとなっていたが、本当なのだろうか?

 現に桜子はあの歌を聞いても『良い歌だったね!』だけの感想である。


 もし本当なら少しは照れてもいいはずでは?


「いいぞ。じゃあ、校庭に行くか」


「うん、ありがと!」





――――



「わぁ、綺麗だね」


 校庭の中心に設置されたキャンプファイヤーを中心に人が集まっていた。

 周囲を見渡すと大概は友達同士で集まっているが、カップルも当然いた。

 

「そうだな……」


 こういう時は『桜子の方が綺麗だぞ』と言った方がいいのか?

 ……いや、そんなギザな台詞は俺には言えないな。


「佐くん、今日は本当に楽しかったよ。初めての文化祭だったけど佐くんと出店でご飯食べたり、色んなものを見たりして本当に楽しかった。一生ものの思い出になったよ」


 桜子はしみじみと語っていた。

 周りはキャンプファイヤーに集中しており、桜子に告白するなら今しかない!


「あ、あのさ、桜子……」


「どうしたの佐くん?」


 桜子は視線をキャンプファイヤーから俺の方を見てくる。

 その姿を見て、やっぱり俺は……。


「好きだ……」


「えっ…………?」


 言ってしまった。

 もう後戻りはできないな。


「今まで桜子に酷いこと言ってしまった俺がこれを言うのはおかしいと思うけど、俺は桜子の事好きなんだ。多分桜子は佑の事が好きなんだと思うけど、俺が桜子の事を思う気持ちは誰にも負けたくない。付き合ってくれとは言わない……けど、俺の気持ちは桜子に知ってて欲しい」


「…………」


 桜子は呆然としていた。

 それもそうだよな、急に俺に告白されたんだからな。

 佑は俺と桜子が両思いだと歌っていたが、俺としては桜子は佑の事が好きなんだと思っている。

 

「わ……しも…………」


 つまり、佑と桜子は両思いだ。

 ……そう思っていた。


「私も佐くんのことが好き……。私は佐くんと付き合いたい」


 桜子は涙をポロポロと流しながら返事をくれた。


 ……え、今桜子は俺のことが好きだって言ったよな?


「一生懸命頑張る佐くんが好き、走る姿の佐くんが好き、ぶっきらぼうだけど本当は優しい佐くんが大好きなんだよ」


「俺も明るくて優しい桜子が……大好きだ」


 その後、俺と桜子は言葉を交わす事なく、肩を寄せ合いながら火柱をあげているキャンプファイヤーを眺めていた。






――――


「言えたじゃねぇか……」


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