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6,ボス戦は一瞬。





全部で18体もいたミノタウロスをすべて倒した桐島ハンターは、纏っていた風を消し重圧な扉の前で止まる。

これまで戦闘後に疲れなど見せなかった桐島ハンターが膝に手を付き、荒い呼吸で息を整えていた。


それほど体に負担のかかるスキルだったという事だ。


本来ならボス戦に使うか、使用後に休憩を取るような後負荷な能力。

それを使ったのは先に入ったハンターの為だろう。


「桐島ハンター大丈夫ですか?」


「……問題ねぇよ。それより準備しろ。おそらく何人か死んでる」


何かのスキルを使って部屋の中の気配を探ったようだ。

あまり時間は残されていないらしい。


「水嶋、旗を用意しろ。ついでに入ってすぐバフも掛けろ。俺も最初から全力だ」


「……?」


「中のヤツはほぼ全滅だ。ボスがAランクハンター2人でも倒せねぇくらい強いって事だ」


「……分かりました」


準備が整い扉に手をかける。

少しずつ開いていく扉から中の気配が伝わってくる。


これまで感じた事が無いような嫌な気配。

そして塩の臭い。


普通のボスじゃない事はすぐに分かった。

開けられた扉から見える光景は、倒れた人と3体のミノタウロス……そして水。


天上から入る少ない光を水面が反射し、部屋全体が見える。



そこは神殿だった。

壁に移る水影がまるで水の中にいるような錯覚をさせ、ここがダンジョンでなければ神聖な雰囲気にのまれていただろう。


だが、その神殿には3体のミノタウロスと倒れたハンターが4人いる。

残り2人は戦っているが劣勢で、毛色の違うミノタウロスの攻撃に血を流している。


「白金牛……それに環境能力」


「いくぞ。あの二人はもう限界だ。友近は回復に専念しろ、旗の回復じゃ戦線復帰は無理だ。その2人に回復したら先輩のアシストしろって言っとけ」


「バフ掛けます『聖典スコラ・楽団カントーラム』――『指揮旗』」


体に力が入ってくる。

水嶋ハンターの能力で強化されたのだ。


「『鬼神』――『英雄昇華(アドバンス)・クーフーリン』――『雷装』」


桐島ハンターが技能を使い、一気に飛び出す。

あまりにも早い動きに、私には最初何が起きたのか分からなかった。


近くで轟音が鳴ったと思った次の瞬間、神殿の中央にいた白いミノタウロスが吹き飛ばされる。


「俺たちは周りの相手だ」


「了解です」


「道中のミノタウロスとは格が違う。最初から全力で行け」


私よりもベテランのBランクハンター3人と、Aランクハンター2人が負けたのだ。

気を抜くつもりは無いし、最初から全力で行く。


『金剛明王』を出現させ、『夜叉』になる。

私は技能が2つしかないので、これが全力だ。


Cランクまでのダンジョンなら過剰な能力だったが、今は少し不安になる。


だがその不安も、一歩を踏み出した瞬間には消えた。


足に軽く力を込めて蹴った瞬間、私は敵の目の前に居た。

瞬間移動をしたのではなく、ただ蹴っただけで50メートル以上あった距離が一瞬で消える。


「っ……『重盾』」



 バゴン‼


大きな音と共に腕への衝撃が来たが、痛みは感じず相手だけを吹き飛ばしていた。

水嶋ハンターのバフが身体能力を強化しているのだ。


『重盾』を使っているのに重く感じず、腕への負担も少ない。

それに超心体の効果以外でも体の回復が行われているようだ。


『ブモォォオオォ‼』


吹き飛ばされたミノタウロスがすぐに立ち上がり迫って来る。

特殊な個体で、普通のミノタウロスよりも大きいく叫び声にも重圧がある。吹き飛ばした私にヘイトが向き、完全に周りが見えていないようだ。


でも当然、私以外のハンターも攻撃に参加している訳で……。


「ナイスヘイト管理っす『略奪』」


「『アサシン・スラッシュ』」


「あらあら若い子に夢中ね『スリープ・ナイトメア』」


略奪で力を奪い、アサシン・スラッシュで機動力を無くし、スリープ・ナイトメアで意識を内部攻撃をする。

その上で西ハンターがハンマーを振り降ろし、牛が吹き飛ばされる。


丁度、吹き飛ばされる先に私がいて、今度は思いっきり踏み込む。


「―――『カウンター』」


私が下にいた事でミノタウロスは上に吹き飛ばされ、そのまま……


「――転移したっす!」


「おーけー、任せてちょうだい『闇の手』」


もう一体のミノタウロス近くに転移した個体を影から出てきた手が摑まえる。


「武蔵ハンター!同じ技で()()()()!」


「……了解です!」


もう1体のミノタウロスと戦っていた水嶋ハンターの指示に従い、水嶋ハンターが飛ばしたミノタウロスに向かって跳ぶ。


今度はまっすぐに行くよう真横から―――


「―――『カウンター』」


ミノタウロスの背中を吹き飛ばし、ちょうど角が前の方向で吹き飛ぶ。

いうなれば6mあるミノタウロスロケット。同じ硬さの物質がとてつもないスピードでぶつかればどうなるか……。


すでにかなりのダメージを負っていた2体のミノタウロスはぶつかった瞬間に、ドロップ品を残して消し飛んだ。


「すごい威力っすね。あんなの当たったら一瞬でお陀仏っすよ」


「あなた不謹慎よ。亡くなったハンターもいるのに」


「冗談じゃないっすか。……あ、ミナミナちゃんの魔女っ子コス最高っす」


「……痛い目あいたいようね」


南波ななみ 真奈美(みなみ)ハンター。

魔女装備に魔女スキルを使うBランクハンターで、『魔女の茶会』と言う女性のみのハンター組織に所属している。


「桐島ハンターの援護はいいんですか?」


「もうすぐ終わるっすよ。目を離さないでください、明人さんの大技が出ます」


そう言われ、白いミノタウロスと戦う桐島ハンターを見る。

と言っても、桐島ハンターが早すぎて、何をしているのか私には分からないんだけど。


ただ次の瞬間、白いミノタウロスの中心にでかい穴があき、そのままドロップ品に変わった。

何が起きたのかはやっぱり分からなかったけど……最後に一瞬見えた光がとても綺麗で魅せられた。


「あれが『雷装』っす。『雷装』は3度同じ箇所に当てると、3度目に絶対貫通で防御を無視して穴をあけるんす。防御よりの白金牛には効果抜群なんすよ」


「……す、ごいですね」


「言葉も出ないって感じっすか?明人さんはAランクでも上位の実力者っすからね。どうです、うちに来たくなったでしょ?」


「それとこれとは別です。……あ、出口が出ました。帰りましょう」



なんかボス戦なのにあっけなく終わった気が……。


「そりゃそうっすよ。Aランク上位の2人が協力したら、いくらBランクゲート上位のボスでも一瞬っす」


「……凄いですね」


「まあ英雄世代っすからね。あの姿に憧れてハンターになったっすから」


英雄世代。

20年も前から魔物の進行を防ぎ人類を守ってきた英雄たち。


西ハンターが憧れるのも分かる。

口は悪いし顔も怖いけど、戦ってる姿はまさに英雄だった。


「凱旋だ!胸張って行くぞ」





――――――――――





【特殊個体――撃破報酬】

・海神の欠片を獲得しました。


『金剛明王夜叉』 → 『化神バルバトス』


【特殊個体――撃破報酬】

・海神の欠片を獲得しました。


『超心体』 → 『神格化』






ダンジョンボスのステータス。


白金牛

Aランク中位~上位の魔物

全長4m

体重20t


技能

環境技能【孤島】 水に囲まれたステージにおいてステータスが2倍になる。

【白金の鎧】 防御2倍

全状態異常耐性【上】 状態異常を80%の確率でレジスト

【海神の加護】 ステータス2倍、知力さらに2倍、水ダメージ1.5倍

【水魔法】

【土魔法】

【王の素質】 同種の味方が生存しているときステータス2倍

【ダンジョンキーパー】


ステータス (決戦時8倍+防御、知能2倍)【仲間生存時2倍】


攻撃力 30 (240:A)【480:S】

防御力 70 (1120:SS)【2240:SS】

体力  30 (240:A)【480:S】

魔力  40 (320:A)【640:S】

知力  40 (640:S)【1280:SS】


※ボス戦は敵のお供から倒しましょう。



武器 雷装トライデント (評価S)

硬度400 攻撃600 装備条件 攻撃力400以上

能力

【トライデント】 武器と接続する。 攻撃+600 1秒ごとに体力を1失う。

【雷装】 槍に雷を纏わせる。攻撃を与えた箇所の防御力は33%下がり、3回目には貫通し周りも破壊する。

【硬度回復(中)】

【英雄への試練】 装備条件が4倍になるが、硬度を倍にし、攻撃も倍にする。



補足:

装備条件を満たさない場合、能力が使えなくなり、攻撃も半減します。


権力の旗 (評価S)

硬度600 攻撃200

能力

【権力の旗】 自身のステータス2倍

【指揮旗】 自身も含めた味方のステータス1.5倍

【硬度回復(上)】

【旗に集いし者たち】 味方全体にリジェネ(中)



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