29,勝負配信だ!
【普通の配信?】挑戦者が現れた!【特別ゲストいるよ】 Live
武蔵夏輝/Musashi Natsuki Ch 登録者787人 視聴者688人
「昨日いろいろあった」
:挨拶は?
:今日は雑談無し?
:かわいい!
:今日多いな
「ゲスト紹介する」
という事で始まりまった配信、とりあえずゲストの西ハンターを映す。
「ハーレム西ハンターです」
「トライデント所属の西達也っす。今回は解説として呼ばれたのでよろしくっす」
;解説?
:ハーレム?
:トライデント!!
「ノリいいっすね」
配信場所は訓練場。
ロマノフの軍所属ハンターが訓練する場所で、ドームの中にいろいろな施設が揃っている。イリーナさんとの訓練もココでしていたし、使用許可も配信許可も貰っている。
ただ、配信していいのはこの運動場だけだ。他の施設ではハンターが訓練をしているし、それを映すのは機密情報漏洩で逮捕される。
出入り口ではイリーナさん含めたロマノフハンターが目を光らせているので気をつけよう!
:何の配信か分からんのだが……まさかここでトランプ勝負!?
:馬鹿な……われわれの想像を超えてくるだと!
:イリーナさんは?
「視聴者が増えていく……やっぱり日本人のハンターの方が人気あるのかな?」
「事前告知のおかげだと思うっす」
「今日の配信は見てのとおりです」
:は?
:分からんって
:かわいい!
:西ハンターが解説役……広い運動場……ハンター……やはりトランプか
:上下運動……動きの解説か!
:いや、ここは左右の動きに違いない
「皆にも伝わったようだし、早速始める」
「伝わってないと……何でもないっす」
「では最初の挑戦者、入場ですッ!」
イリーナさん達が立つ出入口から1人の男性が入って来る。
名を桐島勇人。なんか、トライデントに文句が言いたい反抗期真っ盛りのハンターです。見た目は桐島ハンターを若くした感じなんだけど……若くしたせいでヤンキーみたいな見た目が増した。
これはもう、見た目からやられ役だよ。
「はい、では挑戦者の勇人くんには対戦相手を指名していただきます」
昨日いろいろあって……面倒なんで対決で決めよう!ってなった。
なんかトライデントが気にくわないらしいので、トライデントメンバーは本日の攻略を取りやめここに集まってもらいました。挑戦者である勇人ハンターにはこの中から一人指名して対決することになります。
「お前だ」
「はい。指名されましたよ西ハンター」
「お前だ……キリッてかっこつけてますよ。きっと映えを狙ったんすね。あと、指名されたのは夏輝ちゃんっす」
私のチャンネルを意識してかっこよく登場勇人ハンター。
これには視聴者も大盛り上がり。
:あれ?
:ハンター同士の戦いだ!
:へー、参加してたんかワレ
:え?勇人ハンターどっかの組織に入ったの?
「では解説お願いします」
「もう少し自分で説明してほしいっす」
指名されたので上着を脱いで準備運動を始める。
当然武器は盾。魔力のこもった木の盾を二つ両手に持ち、軽く腕を振る。
対戦相手の勇人ハンターも槍を構え、始まりの合図を待っている。
槍は盾同様魔力のこもった木製だが防具は普段つけているもの。見る限り私の防具よりもランクが高そうだ。
観客はロマノフハンター5人と私を除いたトライデントメンバーの4人、あと何人か特別室で視聴中。
:今胸がぶるんって
:早すぎて見れなかった……再度求む
:でかーい!
:馬鹿な……われわれの想像を超えたデカさだと!?
:着やせするタイプだったか……
:解説の西さんどう思いますか?
「勇人ハンターは魔法型のCランクっす。対する夏輝ちゃんは物理型のBランクっす。ランクで言えば夏輝ちゃんが上、身体能力でも上っすね。ただ、技能と手数では勇人ハンターがやや勝ってるっす。この勝負、距離が重要になってくるっすね」
:そんなまじめな解説求めてない
:ハーレム野郎、ちゃんとおpを見ろ
:火の魔法で服を燃やせばエッな展開に……
:がんばれ勇人ハンター!燃やすんだ!
「両者準備が整ったみたいっす。それじゃあ始め!」
西ハンターの合図で動き出す両者。
私は距離を詰めて、勇人ハンターは距離を取る。
「ウォーター」
牽制に水の魔法が飛んでくるが、盾でガードして進む。
魔法型のハンターらしく、身体能力では私が勝っている。
距離を取ろうとしても私の方が早く、すぐに至近距離での戦いが始まった。こうなると魔法は自爆覚悟になり、使うのを躊躇うだろう。
ただ、予想外に槍を使うのが上手い。リーチの差から私の攻撃を届かせるには一歩足りない。
「ウィンド」
至近距離で風の魔法が迫る。
それを盾で防ぎ、反対の手で槍を抑えて懐に入る。
「ほい」
「ッチ」
魔法で隙ができて一発……殴ったけど手ごたえがない。
たぶん風の魔法で防がれた。
しかも距離が開いて……。
「ファイア」
「木の盾じゃ、燃えちゃうよっと」
飛んできた火を避ける。
牽制程度の弱い魔法だけど、なんかずっと出っ放し。イリーナさんがテロリストに使ってた奴の劣化版みたい。
これじゃ近づけないな……。
「炎帝……燃やせ!」
「これ、いつまで出せるの?」
「はっ、魔法は数だぜ。さっきの水も風もまだ生きてる」
火を避けて下がると、地面のシミが水になり、風が火を拡散させる。
「――爆発ッ」
「――『ゼロカウンター』」
小規模な爆発……周りを巻き込むように土が巻き上がる。
運動場にある結界が反応し、爆発はこのフロアだけでおさまった。
「……威力は高いけど、今回の作戦じゃ使えなさそうだね。最悪生き埋めだ」
「……ッグ」
「私の勝ちだね。お疲れ様」
土煙が収まると倒れる勇人ハンターを上から抑える私がいた。
何をしたかというと、爆発を全部推進力に使ったのだ。結構な距離があったけど、ジェット噴射みたい飛んで言って盾を叩きつけた。魔法で守ってたみたいだけど流石に威力があり過ぎて守り切れなかったみたいだ。
血は出てないけど内出血とかなってるかもだし、治療は受けなよ。
「解説の西ハンター、今の戦闘はどうでしたか?」
「やはりスペックの差が出ましたね。あのまま戦い続けても魔力切れで勇人ハンターは勝てなかったでしょう。最後の賭けに爆発を使ってみたものの、あれでは威力が拡散してそこまでダメージを与えられない。大きな岩などがあればまだ威力もあったんでしょうけど……」
「……誰?」
:すごい!
:かわいい!
:かっこいい!
:クソッ……なんて耐久性だ!
:馬鹿な……我々の想定と違う展開だと!?
:西は真面目にやれ
「真面目に解説しただけなのに酷いっす!」
「誰もそんな解説求めてないと思うよ」
真面目なのかギャグなのか……きっとギャグに違いない。
地面に倒された勇人ハンターは自分の負けを認め運動場の端に移動する。
何故か睨まれてる気がするけど、西ハンターが真面目にしないから怒ってるじゃん。反省しな。
「はい。じゃあ次の挑戦者の入場ですッ!」
入口の方を見ると次は女性のハンターが入って来る。
名を野瀬真紀。野瀬社長の娘さんで見た目は着物を着ていそうな和風美人。ただ西ハンター曰く腹黒らしい。
きっと扇子で口を隠しながら高笑いするに違いない!
彼女も魔法型のハンターで魔女技能も持っている。厄介なのが、今回の彼女の装備、なんと孤独の魔女シリーズをそろえている!
「では、挑戦者の野瀬真紀さん、対戦相手を指名してください」
「では夏輝ハンターでお願いします」
「二連続指名なしにしない?」
「指名されたっすよ。早くいってくださいっす」
という事で二連続私。
なんで私なのかなー?同じ魔法型のハンターと戦ってアピールすればいいと思うんだけど。
一番年下で弱そうだから?
そうですか……。
「彼女も魔法型っすね。真紀ハンターは魔女技能も揃えているっす。ただ、地力の差で夏輝ちゃんが勝つと思うっすよ」
:どっちもかわいい!
:どちらも女子って事はエッな展開が必ず起こると言う事!
:つまりどちらを応援しても良いって事だ
:夏輝ハンターがんばれー!
:真紀ちゃんがんばれー!
:いや、ここで応援すべきなのは真紀ハンターだ。なぜなら夏輝ハンターがエッな展開になっても罪悪感が少ない!
:ミノ姫が負ける。これは決定事項だ
「すごいっす。コメントが真紀ハンターを応援一色になってるっす」
配信がジャックされた気がしないでもないけど……。
向かい合った私は―――魔力を感じて避ける。
さっきまで私がいた地面から黒い手が伸び、そのまま消える。魔女技能の『闇の手』だ。
「不意打ちはダメでしょ」
「視聴者の期待に応えてあげようと思って」
「……西さんの言う通りだ」
お腹真っ黒!
「ほら合図をして」
「じゃあ始め!」
合図と共に飛び出す私。
作戦はさっきと同じで、距離を詰めて叩く!とてもシンプルな作戦だ。
「――【使い魔・猫】」
距離を詰め、もう一歩の距離になった時、彼女の影から猫が飛び出す。
猫と言っても虎くらい大きな猫だけど……。
盾が猫とぶつかった瞬間、猫の形が崩れスライムのようになって攻撃してくる。
「――爆破」
猫に気を取られた瞬間に盾に触れられ―――爆発。
寸前で盾を投げつけ距離をとる。爆発は使い魔に直撃して、猫が溶けていなくなった。
勇人ハンターのような大規模な爆発ではないが、威力は同じかこっちの方が高い。
それに服とかが爆弾に変えられると正直対処できない。
残り盾が1つ。純粋な魔法使いだけど、攻めるのが難しい。
「あいつみたいに燃費も悪くないわ」
「3つの魔法を同時に使うのって普通にすごい技術なんだけどね」
「魔力が無くなった魔法使いなんてお荷物でしょ?」
距離を取ると闇の手や魔法が飛んできて、近づくと地面が爆発する。
遠距離攻撃の手段が無い私には相性が悪い相手だ。
まぁこのまま戦っていれば相手の魔力が切れて終わるんだけど……それじゃあ面白くないよね。
やっぱり、どっちが勝ったか明確なほうが視聴者も分かりやすいだろうし。さて、ちょっと無理しますか。
「――【ゼロカウンター】」
地面が爆発するのに合わせて技能を使う。
爆発は盾でガードし、空中で向きを変えて距離を―――あれ?
「それを待ってたの」
目の前に大きな土の壁が現れ激突。
土壁が砕け私も弾かれる。かなりのスピードが出ていた事で、体中に衝撃が入る。
落下時に受け身を取って体勢を立て直すがかなり痛い。
特に盾を持っていなかった方の手が深刻で、たぶん折れてる。
「うーん。作戦負けかな」
「あら、負けを認めるの?」
「まだまだこれからだよ。傷は回復するし」
折れたはずの腕は少しすると動かせるようになり、体の痛みも引いていく。
ただ、問題は盾が無理に使った影響でボロボロなことだ。あと何発か魔法を防ぐだけでも真っ二つに割れそう。
さすがに武器を失ったら負け扱いにされるだろうし……どう攻めようかな?
「諦めたらどうです?貴女が勝てるとしたら私が魔力切れを起こすくらい。それまで逃げ続けるなんてみっともない姿、見せたくないでしょ?」
「方法が無い訳じゃ無いんだけどね。この方法はちょっとズルいから」
彼女の周りは罠がたくさんある。
あそこに飛び込むのは今の私の装備だとちょっと無理。
だから、彼女のほうから出てきてもらう。
土壁の欠片を手に取る。
石みたいに頑丈なそれを上に投げる。
「投石?」
「ちゃんと避けてよ」
落ちてくる石に狙いを付けて――蹴る。
「――【ゼロカウンター】」
ちょっと反則かもしれないけど、私の遠距離武器だ。
さっきの私よりも早い石。
「ッ――【浮遊】」
当たれば致命傷になりかねない攻撃。
当然避ける必要があるけど、驚いて反応に一歩遅れていた。そして避ける為に使った【浮遊】の技能……魔女のようにゆっくりではなく全速のスピードで。
「――【ゼロカウンター】」
私から意識を逸らしていた。
その瞬間に私は懐まで入って……そして触れる手。
地面に向けて落とす。
さっきの勇人ハンターのように地面に押さえつける形になった。
これで地面の爆発も土魔法も封じれる。
「私の勝ちよ」
「イッたいわね」
「私の方が痛かった。土壁頑丈にし過ぎよ」
勝敗が付いたので解放する。
これで二人目終わり。……あと4人いるってマジ?
「お疲れっす。とりあえず水分どうぞ」
「ありがとう。解説の西ハンターから見て、今の戦闘はどうでしたか?」
「そうですね。負けた真紀ハンターですが戦闘は有利に進めていました。これはやはり手数の差でしょう。特に遠距離攻撃の無い夏輝ハンターは近づくしかなく、罠を巧みに使い誘い込んでカウンター。彼女の戦法は分かりやすく相手の弱点をついていましたね。ただ、1つ言える事は最後すでに彼女の魔力は空に近かったという事です。罠を多く仕掛けた事で魔力が無くなり、盾になる使い魔を出せなかった。避けるしかなく、浮遊を使ったものの……と言ったところですね。やはりスペックではまだBランクハンターに追いつけていなかったようです」
「……誰?」
:西ハンターが解説してる!?
:馬鹿な……我々の想定と違う結果だと!?もっと服が破れる予定だったのに
:真面目なのに不真面目に聞こえる。これ如何に?
:かっこいい!
:怪我大丈夫?めっちゃ飛んでたけど
:凄い衝撃音だった
:女の子を組み敷くなんて最低ー。でも上も女の子だから許す。
「さて、怪我は大丈夫そうっすか?」
「えぇまあ。……って、次も私なの?」
「大丈夫っす。次で最後ってなったんで」
「……何が大丈夫なのよ」
指名せいにしなければよかったわ。
「じゃあ次で最後の挑戦者です。どうぞ」
入り口を見る。
特に誰も入ってこない。……あれ?
西ハンターがカメラを持ち、私の後ろを映す。
「最後の挑戦者は――イリーナ・アダモヴィッチさんです!」
「ハロー!みなさん、私が最後の挑戦者よ」
「……棄権するわ」
「ダメっす」
:わー!イリーナさんだ!
:がんばれイリーナさん!
:イリーナさん可愛い!
:我々が知る確定した未来ではイリーナ嬢が勝つ!
:イリーナさんがんばえ~
:負けたら罰ゲームしよ!
おいそこ、私を応援しろ!
ここのステータスはほとんど意味がありません。
桐島 勇人 男 年齢24
好きな動物 猫
好きな女性のタイプ あざとい系
技能
ステータスアップ【上】攻撃力、魔力、知力
槍補正【中】
槍術【上】
【スラッシュ】
【賢者の加護】 知力・魔力2.5倍、全魔法ダメージ1.5倍。
【獣人化――虎】 ステータス2倍、五感強化、爪・牙攻撃強化
【並列思考】 同時にいくつかの事を考えられる。
【水魔法】
【風魔法】
【火魔法】
【雷魔法】
ステータス(知力・魔力5倍、攻撃2倍)【全ステータス2倍】
攻撃力 8 (16)【32:D】
防御力 6 【12:F】
体力 5 【10:F】
魔力 6 (30)【60:B】
知力 7 (35)【70:B】
運 10
野瀬真紀 女 年齢26歳
好きな食べ物 寿司
嫌いな食べ物 揚げ物
異性に求めるもの 甲斐性
技能
ステータスアップ【上】魔力、知力
【魔法の探究者】 魔力、知力2倍、全魔法ダメージ2倍、攻撃力ステータス半減
【エルフの加護】 全ステータス1.5倍、風魔法ダメージ2倍
【エルフ化】 全ステータス1.5倍 弓補正【上】獲得
【土魔法】
【水魔法】
【魔女】闇の手
【魔女】爆弾魔法
【魔女】使い魔・影猫
【対魔:毒】
ステータス(攻撃0.75倍、防御・体力1.5倍、知力・魔力6倍)【全ステータス1.5倍】
攻撃力 4 (3) 【4:G】
防御力 4 (6) 【9:G】
体力 3 (4) 【6:G】
魔力 9 (54)【81:B】
知力 8 (48)【72:B】
運 7




