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16,技能鑑定~~これから本気出す





「見苦しい姿を見せた。改めて、俺はトライデントの社長をしている瀬戸せと 伊月いつきだ。君の事は聞いている」


「有名人に会えて私も光栄です」


瀬戸伊月ハンター。

元Aランクハンターで今は引退している。


もうすでに60を超え、白髪の入り混じる髪をオールバックにした初老の男だが、かなりの逸話を残した偉人である。

日本国内だけならば英雄に次ぐ英雄。ゲートが現れる前から国防の為に戦ってきた人物でもある。


「さて、桐島のバカに頼まれなければ引き受けるつもりは無かったが、まずは契約からだな」


そう言って一枚の書類を取り出す。

内容はエレベーターの中で聞いたモノとだいたい同じ。違いは相手も技能の詳細を話さない事だろう。


「契約書と言っても違約したところでだがな。違約金は発生するが契約自体があまり固くない。絶対に話すなって事じゃ無く広めるなってだけだ。つまり、俺を紹介するくらいなら問題ない」


「私の技能も桐島ハンターくらいになら話してもらっても大丈夫です。瀬戸さんを紹介してもらったし」


「そうか。奴も降臨系は知りたがってたしな」


契約書にお互いサインし、瀬戸さんがそれを机の中に仕舞う。

ちょうどその時、扉がノックされ女性の方が入って来る。


「失礼します。お飲み物をお持ちしました」


「ああ、ありがとう。西の奴が来なくてよかったぜ」


「実際持って来ようとしてましたが、私が止めました。これは私たちの仕事なので」


温かいお茶を置いて女性は退出する。


「ハンターとしては一流なんだがな……。さて、話の続きだが、まず何から話すか……俺の技能からでいいか」


「発動言語の上級では無いのですか?」


「もともとは上級だったんだが、ハンターをしていたらいつの間にか進化していてな。俺のは看破じゃなくて技能鑑定になった。発動言語と一部内容も分かる」


強化された技能で、私の技能を見るらしい。

ちなみに情報系技能は高く、持っているだけでも珍しい。


発動言語看破以外にも技能名鑑定や素材用途検索、取得技能看破、素材効果理解などをまとめて情報系技能と呼ぶ。


「強化された情報系技能を持つ者は少ない。これが知れると鑑定してくれという奴がどんどん現れるからな」


だから広めるなよと釘を刺される。

まあ、もともと話すほど知り合いはいないし、SNSとかで広めるくらいしか方法はないんだけど。


「次に、引き受ける気になった理由でも教えるか……。まず、技能は系統別に別れる。桐島の奴がお前を気にかけているのは技能が2つしかない上に降臨系の技能を持っているからだ。降臨系、明王なら『夜叉』の技能だ」


明王の技能は降臨系と召喚系の混合技能。

もう一つの超心体は強化系だ。


「降臨系は強化されると唯一種ユニークの技能に変わる。これは世界に1人しか持ちえない技能だ。先に取得した奴が居ると偽の加護に変わる。前任の死後がどうなるかは知らん。この技能が頭一つ抜けて強い」


「偽の加護は誰か持ってるんですか?」


「お前も知る奴が持っている。……降臨系の強化技能は1つまでしか持てない。偽の加護もこれに含まれる。技能が消せるとは言え降臨系はどれも高く、組織にでも所属しないと消す事は考えないだろうな」


技能の中にはマイナス効果のモノもある。間違えて取ってしまった時に一つだけ技能を消す方法があるのだ。

ちなみに消した技能の再取得にはもう一度同じ技能書が必要になる。


そもそも値段が高い技能は数が少なく、降臨系なら安くても10億はする。

これを個人が買うとなると、資金が足りても運に左右されるだろう。



瀬戸さんがお茶で口を潤し話を続ける。


「話を戻すと、お前の技能に興味があるのさ。明王は混合技能だ。混合技能が強化されるなんて珍しい事例でもある。日本ではおそらく初だ。全部知ってる訳でも無いし絶対とは言い切れないがな。明王が使えなくなったという事は、これが強化されているのは確実だ。問題はもし先人が居た場合、召喚系が使えないのかどうか……。とりあえず調べるか」


「分かりました。早速お願いします」


「おう。て事で血を一滴くれ」


はい?


「調べるのに血が一滴いるんだ。これ針とポーションな。そのポーションをやる」


と言って机の上に針とポーションを置く。


戦闘での痛みなら耐えられるが、こういった先端の尖った針や注射って怖いよね。

ポーションをかければ治るとはいえ、自分で刺すのに腰が引ける。


「献血みたいなもんだ。そんな覚悟を決めた目で刺す必要は無いぞ」


「分かってる。……いて」


「よし、この紙に垂らしてくれ。―――これで調べられる」


ポーションを傷口に一滴たらすと、その傷が治る。残りのポーションは貰っていいという事なのでそのままバックに仕舞う。

その間に血の付いた紙に文字を書き込んでいく瀬戸さん。情報系の技能は本人にしか見えないモノが見えるのだ。


書き終わるのを待つ事1分、筆が止まると同時に驚愕の表情で固まる。


「これは……そう言う事か。奴が気にするわけだ」


「なにか?」


「ああすまん、2つ予想外の事が起きた。1つはお前さんの技能は両方強化されている事、もう1つが英雄の降臨では無い事だ」


瀬戸さんが書いた文字を読む。

一つ目は『神格化』、効果は4つ。

能力強化――S。五感強化――A。状態異常耐性――A。リジェネ――A。総合評価――S。

2つ目は『化神バルバトス』、効果は5つ。

特殊能力強化――S。能力強化――S。発動:召喚『バルバトス』――S。発動:技能『ゼロカウンター』――S。発動:『降臨――バルバトス』――SS。総合評価――SS。



評価の項目を初めて見る為、どのような評価なのか分からない。

普通に考えてAやSは上の方だろう。


「SSがあるのは知っていたが、総評SSは初めてだ」


「え、そうなんですか?」


「英雄技能でも総評はSだ。おそらくだが、英雄の上位互換なんだろうな」


神の名前があるし、そうなのかも。


「まず見方を教える。基準になるスキルが各種ステータスアップ技能だ。これには特、上、中、下の4段階あり、それぞれの評価はS、A~B、C~D、E~Gだ。能力強化――Sはステータスアップ【特】と同じ数値だと俺は考えている。そして、お前のはすべて全ステータスが上昇する」


ステータスアップ技能【特】は平均5億する技能書だ。

全部で5種類、合計25億円。ここにさらに五感強化A、つまり五感強化【上】、状態異常耐性【上】、リジェネ【上】。

ありえないくらい能力が盛られている。

そしてバルバトスの方も……。


「元が10億クラスってのはどいつもヤバい性能をしているが……。もしこの内容が漏れれば『超心体』は100億クラスに爆上がりだ」


「今のうちに買い占めれば億万長者?」


「バカ言え。10億クラスなんてほとんどが無二の技能だ。技能本を1万個開封して1個出るかってレベルだぞ?探して見つかるかよ。ルーキーがそのレベルの技能を二つ持ってる事自体おかしいって気づけよ」


「それもそうね……」


そもそも、技能本はハンターくらいしか使わない。一冊100万で、買うならもっとする本を運任せで開封する人が居るだろうか?

それに100億クラスなら売るが、10億クラスならハンターは使う。なんせ自分の命を対価に攻略しているのだ。ハンターなら安全の為に使う。


……まあ、10億売って引退っていうハンターも多いけど。


「発動言語の3つについてだが、まず召喚はそのままバルバトスを召喚する。バルバトスは10mの巨人で魔剣【ヘルスレイブ】を持って現れるらしい。ちなみに明王は基本B評価だ。こいつ一体でおそらく上位個体のミノタウロスと戦えるぞ」


「……つまり、私はもうAランク?」


「お前自身はまだまだだが……先に3つ目の降臨について教える。これを使えばAランクに届くだろうよ。降臨はまず、追加で能力強化――Sと特殊能力強化――Bを得る。そして状態異常耐性――S、剣補正――S、魔剣召喚【ヘルスレイブ】を得る。魔剣の能力については調べられなかった。召喚すれば武器鑑定技能で分かるだろう」


うんうんと頷くが、正直何を言っているのか理解できなかった。


急に出てきた魔剣【ヘルスレイブ】、10mの巨人が持つ武器を私が召喚して使えるのだろうか?たぶんミノの牛刀みたいに小さくなるんだろう。

それで、能力強化――Sが合計3つ?25億×3で75億。うん、まだ100億行ってないね。

あと、特殊能力強化ってなんですか?後で聞こう……。

武器補正の技能は知ってる。Sって事は【特】だから……これも確か5億円。技能の効果はその武器が扱いやすくなるのと、武器が強化されるんだったっけ?どうせなら盾補正がよかった。


自分の中でQ&Aを繰り返し、なんとか理解していく。


「最後に『ゼロカウンター』だが、これはよく分からん。ベクトル操作らしいが、どう動かすか俺には理解できなかった」


「あ、それならなんとなく分かります」


「そうか。……本来、降臨1つで英雄技能と同レベルだ。他のも合わせれば英雄技能を超えているだろう。複合技能の価値が俺の中では最上位に上がったぞ。……正直この情報をうちだけが持っているのは不公平だ。Aランクのハンターだけにでも伝えたいが……君が決めてくれ」


現在の複合系は評価が器用貧乏だ。

金剛夜叉明王も、雑魚専とか言われていたりする。


これを発表すればその評価がひっくり返る事になるだろう。

そして、その技能を持っているのが私だという事も同時に広まる。注目されるというのは良い事悪い事を同時に呼び寄せてしまう。

それを許容するかと瀬戸さんは言っているのだ。



ただ、すでに配信でも触れているし遅かれ早かれという奴なのだ。

それならこれを利用して、視聴者確保を目的にするのもありかもしれない。



私は―――



「……その前にこの特殊能力って項目は何ですか?」


「説明忘れてたな。特殊能力ってのは能力強化の一種で……」





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