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まだプロローグじゃないプロローグ

作者から:

この度はこの作品に目を通していただきありがとうございます。

初心者の作品なので、誤字脱字や話の方向性がぐちゃぐちゃになる事もあると思いますが、気に入っていただけると嬉しいです。

数ヵ月更新が止まるかもしれませんが、作者に他の書きたい作品ができただけだと思うので、大目に見てやってください。





西暦2001年、世界の秩序が『ゲート(GATE)』によって壊された。


ゲートが現れ始めた当時は政府がその存在を秘匿していたが、後の大氾濫により存在が知られることになる。

そして、その大氾濫で世界の秩序は崩壊した。



あれから20年、世界は平穏を取り戻した。

ゲートから現れる魔物たちにはランクがあり、魔物を倒す事で強くなる人間が現れたからだ。弱い魔物から倒していき、第一回の大氾濫は18人の英雄により収束する。

そしてゲートの調査が本格的に行われ、ゲートはコアを破壊する事で閉じる事が分かった。


世界が平穏を取り戻す為、英雄たちはダンジョンを攻略していった。



ダンジョンからもたらされる恩恵は大きく、新たにダンジョンハンターになる者も増え始め、結果世界は以前とは違った形で平穏を取り戻したのだ。

……だが、誰もが知っている。この平穏がいつまた壊れるか分からないという事実を。





『―――ダンジョンが現れて20年、今年もSランクのゲートから魔物が現れる事はありませんでした。現在確認されているSランクダンジョンは8つ、始まりのダンジョンと呼ばれるこの8つを攻略しない限り、これからもゲートの脅威にさらされるだろうと専門家の方々は仰られています。この事について現在Aランクハンターとして活躍されている水嶋みずしま優斗ゆうとさんに伺いたいと思います。水嶋さんはどうお考えでしょうか?』


『ええ、私も専門家たちと同様の考えでいます。それにSランクゲートは20年の間一度も氾濫をしていませんが、これからもそうだとは限りません。氾濫を起こす前に攻略しなければ、大氾濫以上の被害が出ると僕は考えています』


『その事についてなんですが、とある専門家はこう言っています。この8つのダンジョンは攻略できないダンジョンで、強くなったハンターを閉じ込める為にあるのではないか?と、水嶋さんはこの意見には反対ですか?』


『そう仰られる方もおられますが、僕は違いますね。まずゲートの特徴について、話していきたいんですが、ゲートには通常のゲートとブラックゲートが存在します。前者は出入りが可能なダンジョンであり、ハンター協会が一部管理しハンターのレベルを上げています。後者は入ると攻略するまで出られないゲートですね。ゲートのコアがボスの魔物に取り込まれている為だと考えられています。Sランクのゲートはこのブラックゲートになります。ブラックゲートにはもう一つ特徴があり、それが上限人数と封鎖です』


『上限人数と封鎖?』


『はい。あまり知られていませんが、ブラックゲートには上限人数が決まっているのです。例えば11人が上限人数で先に10人のハンターが攻略に失敗したとします、この後入れるのは1人だけとなるのです。1人が入った後ダンジョンは封鎖され、1人がダンジョン攻略に失敗するとまた11人で攻略が可能になるんです』


『……その1人は可哀想ですね』


『……ええ、実際とある国が先に上限人数ぎりぎりまで送り込み、その後英雄が3人でしか挑めなかった例もあります。万全の準備っをしても荷物持ちが入れず全滅なんて事もありました。Sランクゲートもこの例にあたり、上限人数は100人と判明しています。つまり英雄100人で挑むようなダンジョンという事です』


『英雄100人……恐ろしい数字ですね』


『話を戻して、なぜ攻略できるかなんですが、ゲート封鎖からの時間が過去20回の攻略すべてで違うからです。つまり、攻略者が戦って―――』







2021年1月1日、今年もSランクダンジョンは氾濫せず、平穏な日々は守られた。

ニュースが流れていたテレビを消して、私は今日もダンジョンに向かう。


ゲートにはランクがあり全部で8つ、S~Gまでのランクで分けられる。

このランクはゲートの大きさであり、氾濫までの日数でもある。


Gランクであれば30日で、ランクが一つ上がると日数が倍になる。ただしブラックゲートはさらに伸びるとされている。


Sランクゲートは本来の計算では3840日で、10年と190日で氾濫する。ブラックゲートだったから氾濫しなかっただけだが、いつ氾濫するか分からないのだ。

―――それにゲートが現れたのが本当に2001年だったのか今では分からないからだ。2000年に既に存在したという派閥と2001年に存在したという派閥に別れている。


これは大氾濫の時期に関係する。

最初の大氾濫が起きたのは2001年10月下旬~中旬で、当時はハンターもいなかった。氾濫したゲートはCランクまでのゲートとなっている。

そして、この1月前に同時期に現れ始めたのがGランクのダンジョン、2月前にはFランクのダンジョンで、この計算でCランクが現れた時期を割り出すと2000年の3月に現れた事になる。


ゲートの大氾濫は周期を合わせていると見方があり、2005年の5月に大氾濫が起き、Bランクまでのダンジョンが氾濫を起こした。2011年の7月ではAランクまでのダンジョンが大反乱を起こしている。


規則性は出現から30日周期だという事以外分かっていない。





―――Sランクの氾濫が起きた時、世界は本当に滅ぶかもしれない。



「まあ私に関係ないんだけど」


いつも通りハンター協会に向かうと、協会の受付嬢に声を掛ける。


「おはよう西野さん」


「おはようございます武蔵ハンター」


武蔵むさし小五郎こごろう、私の名前だ。今年で17歳になる。

親が付けてくれた大事な名前だが、私は少しこの名前が嫌いだ。


ダンジョン世代と呼ばれる2001年以降に生まれたハンターを第3世代と呼ばれる。私もこの第3世代だ。


ハンターになって4年。中学から受けられるハンター試験に合格し、4年でランクCまで上がったが、いまだに私は欲しいものが手に入っていない。


ハンターになる人間にはいくつかのパターンが存在する。

世界を救いたいヒーロー願望パターン。

ハンターに憧れる王道パターン。

お金や道具が欲しい一攫千金パターン。

魔物を殺したいヤバい奴パターン。


私は3つめの一攫千金パターンだ。


「じゃあ今日も協会のダンジョンに申請するよ」


「Cランクゲート『春雨』ですね。……武蔵ハンターはチームを組んだりしないんですか?」


「うん。私は人と関わるのが苦手でね。特に目的が合わない事が多いんだ」


「そうなんですか……はい、申請オッケーです。ではゲートの受付にこの申請書を持って行ってください」


Cランクゲート『春雨』はここから少し離れた場所にある。

申請書を貰い協会の建物を後にした。



私がダンジョンに行く理由は一つだ。

欲しいアイテムがあるから。


そのアイテムはかなり高額で、見つかった数も少ない。

それ目当てで『春雨』に挑むハンターも多いのだが、まあ落ちない。私もCランクのハンターになってから何百と挑んでいるが、一度も落としたためしがない。

買おうと思っても市場に出る事は無いし、オークションだと10億を超える値段になる。



宝くじの一等以上に高い物を、ただのCランクハンターが買えるわけもなく……。

私は毎日魔物と戦っている。


……別に戦うのが好きな訳ではないし、戦っているうちに大きく固くなった手足や筋肉とかも嫌いだ。



私は性同一性障害、つまり男の体であり女の心を持っているのだ。

そして私が求めているのは『TSポーション』。つまり、体を男性から女性にするポーション。


男が好きだから女になりたい訳じゃない。

そもそも初恋もまだだし、体に違和感を覚えてそれどころじゃない。


性の自覚を持ち始めた小学4年生の頃、何度も悩んで体を女にするか心を男にしたいと思った。

そこで見つけたのが『TSポーション』だった。


始めは性適合手術もあったのだが、体を切る事に抵抗感があり『TSポーション』の存在を知ってからは性適合手術の事は頭から消えていた。



だから私の目的は『TSポーション』を手に入れる事。

もうすぐBランクになるけど、手に入れるまで『春雨』ダンジョンにいるつもりだ。



『春雨』ダンジョンのゲート前にはいつものお姉さんが立っている。

1年以上ここに通っているから、彼女とも知り合いだ。最近は歳を気にし始めたので、その事を言うと怒られる。まあ、私は言わないし怒られた事も無いんだけど。


「おはようございます武蔵ハンター」


「おはようございます佐々木さん」


「今日も頑張ってくださいね」


「はい。行ってきます」


佐々木さんに挨拶し、申請書を提出したらそのままゲートに向かう。

青い光を放つ丸いゲート。それに触れた瞬間、私の体はゲートの中に吸い込まれた。



そして、降り注ぐ小粒の雨に体が濡れる。

『春雨』ダンジョン、平原型ダンジョンで雨が降るダンジョン。


魔物は『かまたぬき』、手が鎌になっている鎌鼬かまいたちの親戚だ。

ただしその能力は恐ろしく、雨の中では体が透明になり、鎌には風の魔法で切れ味が凄まじい。


そして、雨が降っているフィールドには大抵いる。



ダンジョンに入って僅か20秒、見えない何かに斬りつけられる。

私には特殊な力があり、これが無ければ今ので死んでいただろう。


 ガキン……キンキン


続けざまに二度、つまり三匹の魔物が襲い掛かってきたのだ。

他のハンターなら雨の降らないフィールドを作ったりと、他にも解決策があるんだろうけど、私にはこの方法しかない。

まあ、この方法で1年以上通用しているのだから、変える必要も無いんだろうけど。


「『金剛明王こんごうみょうおう』―――『カウンター』ッ!」


私の特別な力、ハンターの間では技能ギフトと呼ばれる物。

私の技能は『超心体』と『金剛夜叉明王こんごうやしゃみょうおう』だ。


『超心体』は心と体の能力を上げる技能で、心は精神への攻撃に耐性を持ち、体は超人の身体能力や治癒能力を手に入れ、毒への耐性や視力、聴力等も向上する。

『金剛夜叉明王』は常に体を固くする能力と、3つのスキル。


この二つが合わさると硬い体が出来上がる。


そして『金剛夜叉明王』の3つの能力。

『金剛明王』は金剛明王を顕現させ敵を攻撃する。

『カウンター』は攻撃してきた相手の力をそのまま跳ね返す能力で、明王がいる場合は明王の手に引き寄せられる。

そして3つ目が『夜叉』の能力で、これは明王を顕現させていた時のみ使え、明王を自身の体に宿す能力。


私がハンターとして活動できるのはこの能力のおかげである。



見えない敵が明王に捕まり、倒される。

落ちたドロップ品は鎌だけ。


ゲートの中で魔物を倒すと、ドロップ品だけ残り体は消える。

氾濫で外に出た魔物は体は残るがドロップ品は落ちない。


私の欲しいポーション類はドロップ品でしか落ちず、制作方法も分かっていないのが現状だ。



「はぁ、次いこ」




―――結局この日も収穫はなく、ゲートを出るとすでに暗くなり始めていた。



「お疲れ武蔵ハンター」


「これ換金お願いします」


「お、今日もたくさん狩ったね。鎌が118本、皮が55、それから宝石の小が1つにポーション(中)が1つ、あと技能書だね。全部売ってもいいの?技能書は未開封だし」


「はい全部売ります。技能書も未開封で売ってください」


「一攫千金狙うなら技能書は開けてもいいと思うけどね」


「……。いえ、やっぱりそのままで売ってください」



技能書は未開封で100万円。

私の持つ『超心体』や『金剛夜叉明王』も技術書で手に入る。


……ちなみに私の持つ二つはどちらもかなり希少で、売ったら10億以上したらしい。当時は知らずに使って後悔した。

いくら強くても、そもそもTSポーションがあれば引退するつもりなんだから売ればよかったと。


技術書は中が開けるまで分からず、安ければ1000円の技術書から1000億円を超える技術書まで存在する。

これまで10個開けたが、2つ以外は全部1000円前後の使い道がない技能だった。


ちなみにこれでも運はいい方なのだ。

なんせ、1000万円で20億を当てたようなモノだから。



―――あの時、売ってればなあ……。



「はい、だいたいの査定価格は250万くらいかな。ポーションの需要が高まってるから50万で買い取るわ。宝石は2万円くらいね。もう少し高くなるかもだけど、ここで売っていいの?」


「はい。お願いします」


「分かったわ。……あ、今日の活動でBランクに上げれるけど、上げていいわよね?」


「え……まだ、上げなくても」


「―――Bランクに上がると、テレビの企画なんかがあってね。Bランクのハンターにしか見せてないんだけど……」


そう言って見せてもらったのは、ダンジョンアタックの企画だった。

たまにテレビでやってるやつなんだけど、今回は初のBランク、しかもブラックゲートが対象になっている。


すでに参加が決まってるハンターも豪華で、テレビによく出る水嶋みずしま優斗ゆうとさんもいる。

これだけ豪華なんだから……と、報酬の欄を見た時―――



「すいません。Bランクに上げてもらってもいいですか?」


―――報酬の1つに『TSポーション』があるのを見つけた。



そうか、こんな方法でも手に入るのか……。





――――――――――





『ブラックゲート攻略ダンジョンアタック』

最大人数 18人

企画側同行ハンター 3人

攻略日時 1月15日 金曜日 9:00集合~予定1週間以上

集合場所 渋谷ダンジョン協会前


参加表明 6人

Aランクハンター 水嶋優斗 加藤かとうれん

Bランクハンター 藤堂とうどう勇作ゆうさく 藤堂とうどう彩芽あやめ 重森しげもり良太りょうた 伊藤いとうまこと

企画側同行 Cランクハンター 3人


募集要項

Bランク以上のハンター


ダンジョン内で得たアイテムは企業の物となる。


参加報酬

50億円以内のアイテムを1つ。(『TSポーション』在庫2、『技能スクロール』、武器防具等、在庫が無い場合1億円の現金が報酬となる)


ダンジョンアタック報酬

1位 『未来視』の技能書 目安100億円~500億円

2位 『プロメテウス』の技能スクロール 目安100億円

3位 『呪われたダイヤ』 目安80億円

4位 『デュランダル』 目安70億円

5位以下 『身代わり人形』 目安3000万円






補足:

すでに参加表明している6人はアイテムを選び終わっています。TSポーションの在庫は2つあり、主人公が参加を表明した時にアイテムを選ぶため、TSポーションを手に入れる事が出来ました。


技能書と技能スクロールの違い。

技能書は中身が分からず、空けて初めて技能が確定する。

技能スクロールは、その魔物が持つ技能が確定で落ち、アイテムが落ちた瞬間に技能が確定している。



作中には書く予定の無いステータス


武蔵小五郎 男 身長185㎝ 体重92.5㎏

趣味 妹に可愛い服を着せる(自分が着ても可愛くないから)

特技 力持ち、記憶力がいい


技能

【金剛夜叉明王】

効果1:パッシブ

攻撃力と防御力はこの2つの合計になる。

効果2:パッシブ

攻撃力と防御力を2倍にする。

効果3:発動:金剛明王

金剛明王を降臨させる。明王は全長5mで腕を6本持ち、与えた武器を常に持って現れる。(破壊されると次からその武器は無くなる)

効果4:発動:夜叉

金剛明王を自身の体に宿す。金剛明王を発動中にのみ使用可能。ステータス2倍、攻撃力と防御力を+4倍(初期値の4倍を増やす)

効果5:発動:カウンター

攻撃を跳ね返す。敵→←自 敵←←自分 攻撃を明王に向ける。敵→←自 敵↑↓明←自


【超心体】

効果1:パッシブ

ステータス1.5倍

効果2:パッシブ

五感強化

効果3:パッシブ

全状態異常耐性 (30%の確率でレジスト)

効果4:パッシブ

リジェネ(小)。 小さな傷を少しずつ治す。



ステータス (パッシブ:全ステータス1.5倍+攻撃力と防御力2倍)【夜叉:全ステータス2倍+初期値4倍の攻撃力と防御力】


攻撃力 10 (30+30:B)【100+100:A】

防御力 10 (30+30:B)【100+100:A】

体力   9 (13.5:F)【27:E】

魔力   2 (3:G)【6:G】

知力  12 (18:F)【36:D】

※ 運 30:A


運はステータスアップでは伸びません。


成人一般~上位

攻撃力3~15

防御力3~12

体力 3~12

魔力 0~15

知力 3~12

運  1~40



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