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1話 封印されたみたいだが

 

 魔王城にて勇者パーティーと魔王、そして魔王四天王は対峙していた。


 勇者と魔王、勇者パーティーメンバーと魔王四天王が戦闘を行っている中、1人戦闘に参加していない者がいた。


 デッドエンド王国の王太子であるサキナイルである。


 それぞれ戦っていた勇者パーティーと魔王たちの距離がある程度近くなったと思ったサキナイルは、懐から魔導具を取り出し戦闘中の彼らに向かって魔導具を投げた。


 魔導具は光を放ち封印結界を展開した。


 勇者パーティーと魔王たちを封印結界に閉じ込めたのを確認したサキナイルは、バッグから認識阻害の付与されたローブを着てフードを目深に被ってその場を後にしデッドエンド王国に帰国した。


「父上。魔王たちを封印致しました」


「公の場では国王陛下と呼べ。して勇者パーティーはどうした?」


「はい。勇者パーティーは魔王たちと相打ちになりました。

生命力が強く魔王たちは瀕死で動けない状態でしたのでその隙に封印致しました」


 サキナイルは、両者が戦闘に集中している隙に魔導具を投げ封印したのだが、勇者パーティーは魔王たちと相打ちになり死んだことにした。


「聖女もか……」


「はい」


 国王は、聖女のソフィアと王太子のサキナイルを結婚させるつもりでいた。


 そして現在、回復魔法や治癒魔法を使える者はいるが世界で創造神教から聖女認定されているのはソフィアだけである。


 なので聖女の力が必要になった時、自国の貴族からの要請は勿論、他国からの要請もあったりするので、聖女認定するのも聖女の居住地も神殿である。


 だが派遣するかの交渉は聖女が籍を置く国がするので高額な派遣費を請求でき、聖女派遣費の2割は神殿に支払われたとしても多くのお金が国に入ってくるので国も潤うし国王自身も私腹を肥やせるのである。


「過ぎたことは仕方がない。ちと予定とは違ってしまったがな」


「我が国に魔王を封印した英雄であるお前が居るのだから世界を取りにいくぞ」


「はい。国王陛下」


「世界に魔王の封印を小国と馬鹿にしてくる他国に我が国に英雄が誕生したことを知らしめる」


「勇者たちの死は伝えないのですか?」


「聖女以外は他国の者だからな。封印したのがお前であっても魔王と四天王を瀕死まで追い込んだのだ。

命を犠牲に魔王封印に貢献したとして英雄にするだろう。

だが……そうだな。聖女の死だけは伝えた方が良さそうだな。派遣できんのに聖女要請されても面倒だし、神殿に聖女の死を隠すと厄介だからな。

それより唯一の英雄であるお前の凱旋パーティを行うから体の汚れを落とし、身支度してこい」


 そう言ってサキナイルと話し終えたグオクズ国王は、宰相を呼び世界に魔王封印の報せを出すよう命じた。





 一方、サキナイルが後にした魔王城では封印結界に変化があった。


「パリ〜ン」


 封印結界が割れたのである。


「こんな弱い封印結界で我々を封印できるわけないのにな」


「まぁ、デッドエンドの国王と王太子は野心だらけの愚かな親子が勇者パーティーに王太子の同行を進言した時から何かしてくるとは思っていたがな」


「あの王太子、俺様と結婚しろとか超気持ち悪いし、断っても何度もウザかったです」


「ああ……ソフィアに言い寄っていな。あの国は小国な上歴史が浅い国だから聖女が結婚出来ないのを知らないんじゃないかな」


「ただ愚かなだけだろう。聖女が自国に誕生して神殿に打診したりしていたりするだろうから神殿から説明がされたりしているだろうが忘れているか理解できなかったかだろう」


 聖女は、創造神に次代の創造神の伴侶たる力があるかを試され、神託を授かり神殿にて認定される。


 なので現世では結婚できない現世での生を終える直前に全盛期の姿に戻されて天界に招かれ次代の創造神の伴侶となるのだ。


 ソフィアが言い寄られている度にレオンはキレていたな」


「当たり前だ。私の伴侶となる女性なのだからな」


「創造神様の神託を無視した上に次代の創造神様に喧嘩するとかある意味尊敬するわ。国の滅亡や魂ごと消滅させられたいのかね」


「父上は生きているうちは直接手をくださないだろうけどな。他国に神託授けて、国は残し愚かな者たちだけを討たせるんじゃないかな」


「第1王子は聡明で優秀そうだったから彼にも神託授けるかもな」


「あの……堕天してしまった身なので、言いにくいのですが我々を天使に戻しで頂き、天界に戻れるようにしていただけませんでしょうか?」


 ただ着いてきただけで偉そうにし、足手まといでしかなかったサキナイルとその父親のグチに花を咲かせていたら魔王にそう言われた。


「ああ、悪い悪い。父も天使不足で困っているから早く送って差し上げないとな。えい、えい、えい、えい、えい」


 勇者レオンは、手にしていた聖剣で魔王と四天王を刺していった。


「何、その軽い掛け声」クスクス


 賢者のマジルトが笑いながらそう言ってきた。

 刺された魔王たちも苦笑いをしていた。


 刺された魔王たちの真っ黒い装いも背中から生えている黒い羽が真っ白なものに変わった。


「ありがとうございました。先に天界に戻り創造神様の無茶ぶ……お手伝いをしながら次代様方が天界に来られるのをお待ちしております」


 今、創造神の無茶振りと言いそうになって言い直したな。


 まぁ、確かに父は無茶振りしたり面倒を押し付けて来る時があるからな……気持ちはわかる。そう思ったレオンであった。


「ああ、ルシファー。お前の弟のミカエルが熾天使で天使長の座にいたお前の後任として大天使というの下位の階級でありながら創造神の右腕として天使たちをまとめている。

創造神の無茶振りだけでなく、ルシファーが堕天した際に天使の三分の一を堕天させて連れて行ってしまった。だがミカエルより階級の上の天使は、それでもそれなりに天界にいるから大変だと思うからミカエルのことも支えてやってくれ」


「ミカエルが私の後任ですか。階級は低いですが力はありましたからね。

あとは私の尻拭いで押し付けられた感じですかね」


 そう言って天使に戻ったルシファー、レヴィアタン、ベルフェゴール、ベルゼブブ、マモンは天界に帰っていた。

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