いよいよ入学!(前編)
『計画実行だ』
「やっとか」
男は嬉しそうに言い、電話を切った。
「やっとこのときが来たか」
こらえきれずその男は笑った。
「ふふふ」、、、
登場人物
★柴田 奏・・・中1で3組。趣味は読書。運動が苦手。
星野 煌梨・・・奏と同じクラス。運動神経抜群。
加藤 一華・・・奏たちのクラスの担任の先生。
天野 天音・・・生徒の前にあまり姿を見せない校長先生。定年退職をするといううわさも。
北条 卓也・・・教頭先生。超優しい。奏の寮費や、学費を免除してくれた。
滝野瀬 宙・・・理事長。
「すご~い」
電車から降りた私(奏)は、都会のビルなどの中でもひときわ目立っている星彩学園を見上げてつぶやいた。
その横を車が通り抜ける。その中には、星彩学園の制服を着た女の子が座っていた。
そっか。みんなは車で学園まで送ってもらえるんだ。
奏のうちは貧乏で暮らすのでやっとだ。
もちろん車などない。
そんなことできないってわかってるのに、『いいなぁ』と思ってしまう。
そんな私がこの学園に入ることができたのは、教頭の北条卓也先生が学費と寮費を免除してくれたからだ。
私は小学校でいじめられていた。
不登校になった私は、うつ病になりそうだった。
そんな時、担任の先生が訪ねてきたのだ。
なんだろう、私なんかやったかな?
いつもは来ない担任の先生の訪問に私は不安になった。
でも、担任の先生が来たのは、私の中学校進学についての相談のためだった。
「奏ちゃんどうする?中学校。
今、同じ学年の子たちと一緒に中学校に進む予定だけど、、、」
担任の先生によると、私が通う予定だった中学校は小さくて、この学校の子たちしか来ないのだという。そうすると私はまたいじめられる可能性がある。それを心配して相談に来たのだろう。
「できれば同じ学校には行きたくない・・・」
私が言うと先生は少し考えてから言った。
「奏ちゃんは成績がいいから受かるかもよ、私立。
どこの学校に行きたいの?」
「う~ん。」
全然これからのこと考えてなかった。
もし先生に聞かれなかったら、私は中学校どうしていたのだろう?
私がしばらく黙っていると、先生は私の考えていることを察したらしく、
「じゃあ、考えといてね!
もう行かないといけないから。」
といい、私の家を出て行った。
それから、先生は毎週家に来るようになった。
私と先生はいろいろ調べて結局、星彩学園を受験することになった。
星彩学園は、超難関校だ。
私は必死に勉強した。
学校に行ってない分、勉強する時間は他の人よりいっぱいあった。
先生はどの中学校を受験するかが決まってからも勉強を教えに来てくれた。
時間はあっという間にたち、明日はもう受験だ。
「今日は早く寝よう」
そういって私は部屋の明かりを消した。