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【Post Logos】〚Ac:理性信仰〛
人間達は神に与えられた物達の根源を"理性"と名付けた。
やがて人間達は、言語によって世界を分類することは神より授けられた特権であり、野生的な本能からの逸脱こそ人間としての最上の徳であると考えるようになる。人間達にとって理性は神の存在の証明であり、人間達は理性をもつことが人間が人間たる所以であると信じて疑わなくなった。
本能批判と理性信仰は過激化する。
やがて人間達は自分達自身をも分類するようになる。
分類された人種は、身体的特徴と安易な偏見とともに人種による職能の分類という形で結実する。
人種ごとの人口も合理的に調節・管理されるようになり、結婚制度や家族制度といったものは消滅した。人種の混血もなくなり、人種の区別はより見えやすくなってゆく。
人間達は子供時代に学校を通して理性的に振る舞うことと自分に与えられた仕事の仕方を学び、大人になると自分の生まれ落ちた人種に与えられる仕事をこなすだけの、そんな存在へと変貌していた。
人種はおろか血の繋がったもの同士ですら彼らには、もはや分かり合う必要がなかった。