【Post Logos】〚Ba:降臨〛
天上で1人の少年が目覚める。
思っていたよりも寝すぎてしまったようだ。
少年は眠い目を擦って地上の様子を確認し、驚愕する。
「これは、、、何があったんだ、、、?」
少し転寝が長かったとはいえ、せいぜい6万年程しか経っていないはずである。その程度の時間のうちに約150万年間ずっと保たれていた人類の種の多様性は消滅し、人間以外の全ての人類が淘汰され、さらに人間達は高度な文明をも築き上げていた。
「これは、まずい。」
与えられた世界の管理者として少年は焦ったように立ち上がる。
少年は地上の人間達の様子を凝視する。
立ち上がって地上の様子を確認する少年の視線は焦りから興味へと変わっていく。
人間達は与えられた言語と理性を基に文明を築き上げていた。
「へぇ。」
少年の口元が歪む。
「君達はどんな世界を作ったんだい。」
歪んだ表情を浮かべた少年は、少し振り返って何かを確認した後、その姿を消した。
神の出現から6万5423年。
バビロン郊外の砂漠に1人の少年が降り立つ。
太陽に反射する金髪に紅い瞳。整った顔立ちに、程よい身体つきをした少年は、遠くに見えるバビロンを囲む城壁を目指してゆっくりと歩き始める。
しばらく少年が砂漠を歩いていると、物を運ぶ人々の列が見える。
近付いていってみると、ラクダに荷物を載せた人と荷物を背負った人達の集団だった。
「やあ。」
「こんにちは。君もバビロンに行くのかい?」
少年が話しかけるとラクダに乗った人が応えてくれる。
「うん。なんで君だけラクダに乗っているんだい?」
少年は気になったことをそのまま質問する。
ラクダに乗った人物は、少し驚いた表情を浮かべる。
「なんでって、そりゃ、それが効率が良いからだよ。学校で習わなかったかい?」
「?」
少年が首を傾げる。
「私よりも彼らの方が身体的に強いから力仕事は彼らに、私達は測量に優れているから先導役をしているのさ。」
「彼らも何も君達は同じ人間だろ?」
ラクダに乗った人物は少年の言葉を聞いて笑う。
「何を言っているんだい。彼らと私とは違う人種じゃないか!!」